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第十九章・6
「啓さん。愛してます」
肌を擦り付け、亜希は啓の返事を待った。
『ありがとう、亜希』
そう続く返事を、待った。
だが、亜希の予想は裏切られた。
いい意味で、違っていた。
「愛してるよ、亜希」
は、と亜希は目を開いた。
「啓さん。今、なんて……」
「愛してるよ、亜希」
亜希の胸は、いっぱいになった。
涙が、あふれてくる。
「啓さん……!」
「もう、何の気兼ねもなく言えるんだ。亜希、心から愛してる」
「嬉しい……。啓さん、僕、嬉しい……」
啓の逞しい腕が、亜希をしっかりと抱いた。
その心まで、抱きしめた。
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