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第ニ十章・6

 亜希の健康診断が進むにつれ、啓は深刻になって行った。 「心エコー検査も、しよう」 「啓さん……」  眉間に皺を寄せた啓に、亜希は不安げな声を掛けた。 「僕、どこか悪いんですか?」 「まだ、よく解らないんだ」  検査結果は、どれも異常値を示している。  明らかに亜希は、その心臓に疾患を抱えていた。 (以前に診断した時は、正常だったのに)  啓は心の中で唸りながらも、亜希の肩にそっと手を置いた。 「大丈夫。たとえどんな病気でも、私が必ず治してみせるから」 「はい、啓さん」  亜希のカルテが新しく作られ、主治医は啓になった。  この笑顔を守るために、私はどんなことだってやろう。  そう、啓は決意を固めた。  亜希は、虚血性心筋症だった。  二人の未来に、大きな障壁が立ちはだかっていた。

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