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第二十四章 突破

 亜希との結婚は、許さん。  そう、啓の父は切り捨てた。 「話は終わりだ。もう、寝る」 「お父様。今は、結婚の話をしているのではありません」  啓は、父に食い下がった。 「どうか、手術を。亜希への治験を許可してください!」 「何? 亜希とかいう人間は、その患者なのか?」  なおのこと、許されん。 「両親もいない野良猫のような存在ならば、死んでも悲しむ者はいないだろう」 「お父様。それが医者の言葉ですか!?」  啓は憤り、父の胸ぐらをつかんだ。 「もし許可できないとおっしゃるのでしたら、私は病院を辞めます」 「啓。落ち着け」 「亜希と共に王子病院さんへお世話になり、そこで手術をします!」  今まで逆らったことのない息子の謀反に、父は動揺した。  そこへ、涼しい声が響いた。 「啓。そこまで言うのなら、手術をなさい」  啓の母・蒔絵(まきえ)が、立っていた。

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