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第7話
「いい子だね。奥まで覚えて」
褒めてやる。
ベータは健気に耐えた。
奥まで犯され、何度もそこに注がれたのだ。
アルファのセックスは本気になれば苛烈だ。
受け止められるのはオメガしかいない。
だがそこまで本気ではなかったとしても、かなりベータは頑張った。
今は頑張ったご褒美に穴以外の場所でイカせてあげている。
オメガ相手にはしないことだ。
オメガとする時は思いやる余地など無いほど、セックスに狂い、本当に満足するまで穴の中に注ぎ続ける。
何度も何度も何度もだ。
オメガでなければ死んでしまうような行為だ。
もちろんベータ相手にそこまではしない。
項を噛みながら、乳首を弄ってやっていた。
膝にのせ、背中から抱きかかえるようにしてそうしていた。
人の肌の匂いのする項。
その匂いか好きだと思った。
オメガからの頭が沸き立つようなフェロモンはないけれど。
女性やオメガとは違って退化したような乳首はそれでも感じていて、ちゃんと尖るし、凝る。
後ろでイクことを覚えた今では、両胸の乳首を指で摘まれ扱くように潰されると、喘ぎ身体を震わせて、尻まで揺らすようになっている。
項を噛みなから後ろから何度も貫いたせいか、乳首を虐めているのに、中で感じでいるのがわかって、それはオメガと一緒だった。
「お腹の奥が熱くなるんでしょ」
ささやいてやると、真っ赤になって頷く。
ペニスよりそこでイクようになるのが面白い。
「イって?」
甘えたように言って、項を強く噛み、強く乳首を潰した。
初めて乳首を抓った時は苦痛の声を上げていたのに、この2日で変わったベータの身体はそれを快楽として覚えていた。
イクっ
切なく叫んで、しかも中でイった。
過去に抱いたどのベータよりも覚えが良くて、可愛かった。
もう一度突っ込みたいと思った程だった。
でも。
ダメ。
これはベータだ。
オメガとはちがう。
壊れてしまう。
太ももか口で等と考えていた。
最終日もしっかり使うつもりだったからこそ。
「シて?」
ベータがせがんだ。
限界のはずなのに。
嫌も
抜いても
無理も
言わせないようにはしたが、もうベータには無理なのはわかってた。
ベータはただの男だ。
オメガとは違う。
アルファとセックスするように身体は出来てないのだ。
ここまでベータに無理をさせたこともなかった。
もう予定以上のことはしてる。
「シて。オメガみたいに。今だけはオレのでしょ?あなたは!!」
もう、力のない腕がアルファに縋る。
その目は本気で、怯んだのはアルファだった。
「オレのだあなたは!!今日と明日はオレだけのだ!!」
悲鳴みたいな声。
生まれて初めて。
散々遊んできたのに、罪悪感が生まれた。
同時にそれは愛しさで。
欲しい、とも思った。
アルファを本来受け入れる場所ではない場所で、それでも欲しがり続けるベータを。
「オレを壊して」
ベータが泣く。
ああ、三日で終わらせるつもりなのはベータなのだとわかる。
全てなかったことにして、それを抱えて生きていく、いや、この三日て終わってしまっても良いと思ってるのだ。
可愛い。
可愛い。
こんな可愛いさをオメガには感じた事がなかった。
「お願い・・・オレを犯して」
泣きながら言われて。
抱きしめて。
キスして。
脚を担ぎ上げて。
ゆっくり沈みこんでいく。
ベータの、その悲しくなるほど切なく欲しがる穴の中に。
奥まで納めた。
コブが引っかかり射精が終わるまで、抜けないし、アルファの満足まではとても長い。
「壊したくない」
そのくせ本気でそう言った。
ああっ
いいっ
ああっ
切なく挿れられるだけで鳴いていたベータはアルファに健気に微笑んだ。
「壊して」
それがベータの本気だった。
だから。
だから。
それでも手加減した。
オメガとする時とはやはり違う。
でもだからこそ、命が衰弱していきながら感じているベータが分かった。
限界を超えて弱っていくのに、それでも欲しがり感じるベータがあまりに哀れで。
命懸けでセックスしているのに、それでもアルファの本気には届かない。
でもだから。
だからこそ。
愛しかった。
殺されてもいいから抱かれたい。
そこまで思われたことがなかった。
殺すつもりで抱いてるオメガとのセックスとも、あの何もかも吹き飛ばすあの熱狂とも違う、切ないセックス。
殺したくないと思いながら、ギリギリまで踏み込むこのセックスは。
良かった。
とても良かった。
このセックスは。
セックスだけじゃなかった。
やっと満足して、ベータも死ななかったことにアルファは感謝して、もう目だけを虚ろに開けて、ヒクヒクしている屍みたいなベータを抱きしめた。
もちろん、引き抜いてからだ。
もう一度したら確実に殺してしまうとわかっていたから。
もちろん三日目もなかった。
ベータはそのまま入院したからだ。
やはり殺しかけてしまった。
ベータには無理だった。
当然だ。
口の硬い、アルファの御用達の病院に入院した。
恋人の期間が終わってしまうから入院は嫌だと泣くベータにアルファは言った。
「また会おう。時々。誰にも言わなければいい」
そんなのははじめてだった。
1度抱いたベータとまた会う、それも、何度も。
それは本当の浮気になってしまうとわかっていたけれど。
このベータが欲しかった。
またしたかった。
三日目は病院のベッドの隣りにずっといて、甲斐甲斐しく世話をして、何度も優しいキスもした。
良くないことだと、アルファもベータも。
わかっていた。
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