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第8話
たまに会ってセックスをする。
そういう関係になった。
いや、セックスをしなくても良かったのはアルファの方で、したがったのはベータの方。
それも、セックスのためにアルファが自分に会ってるとベータが思っていたからだ。
それはそれは一生懸命で胸が痛むほどだった。
必死でするフェラチオも、悲しいくらい上手になって、でも、なったところでオメガとのセックスには及ばないのだ。
でも。
可愛い。
ベータはとにかく一緒に出歩くのは嫌がった。
釣り合わないから、と。
部屋で2人のベッドの中以外では、出来るだけ離れていようとする。
だけど、ベッドに入れば一生懸命で。
でも、それもアルファにされてしまえば、グダグダになって哀れな程に感じてしまうのはベータなのだ。
アルファの巨大なペニスが引き抜かれるまで、ただただそれに狂うばかり。
1度は殺されそうになったソレによがり狂う。
でも、
オレばかり
オレばかり気持ち良くて
と泣くのだ。
ちゃんと俺も気持ちいい。
可愛い。
好きだよ。
そう言っても泣く。
愛してるは言えなくなった。
それを言ってはいけない気がして。
お互い言わない。
言っても「好き」、くらいだけ。
項を噛まれて後ろにアルファのペニスぶち込まれて狂ったようになるベータを面白がれなくなったのは初めてで。
切なくて。
胸が痛くて苦しくて。
浮気用の部屋になってしまったマンションの部屋からベータを送り出す時、出ていくベータを引き寄せて行かせたくないと思うようになってしまっていた。
でも、そんなことは出来ないとわかってた。
セックスより話す時間が長くなる。
色んな話をした。
しないのは2人のこの先と、番のオメガについてだけ。
もちろんセックスもする。
それも大切だ。
だがこんなに胸が切なくなるセックスは初めてだった。
死にそうにセックスに狂ってる相手に、支配的な満足や欲望よりも切なさと愛しさが勝つなんて。
喉を犯しながら、苦しげな様子に胸が痛くなるなんて。
でもさせるし、喉まで犯されながらベータはそれでもイクのだけど。
1番好きなのが終わった後、朝まで抱いて眠ることだなんて。
そんなの初めてだった。
ベータはいつも泣きながら眠る。
これが良くないと思っているのだ。
だけど。
どうしても。
互いに会うことをやめられなかった。
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