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第3話

「ちょ、ちょっと待ってください。僕があなたの息子だって?!」 「そうだが?」 相手はさも当然と言わんばかりの反応を返してくる。 いよいよ僕も、ベッドに大人しく寝ている訳にいかなくなった。 僕が飛び起きようとすると、僕の心臓のある方の胸を右の掌で抑え、静止する。 ひやりとした感覚が左胸に伝わる。 「こらこら。まだ安静にしていなさい。傷口は塞がっても、君は貧血なのだからね。」 じわりと左胸に体重をかけられ、僕は仕方なくされるがまま仰向けを保つ。 そもそも腕が痺れて動けないので、そんな事をする必要は無いのだが、あまりに僕が身動いだので、静止の手を退けるに至らなくなってしまったのだろう。 仰向けのまま、天井を見つめながら僕は切り返す。 「貧血って、やっぱり僕の血を啜ったのですか?」 言いながら、気持ちが悪いと憎悪と嫌悪が湧き広がる。 「無論。」 平然と太宰先生は答えた。 「どの位盗られたのですか?」 事と次第によっては輸血をしないといけないのではないのだろうか?? 現にこうして僕は動けないでいる。 「どの位って、そんなの全部に決まっているだろう?」 「全部?!」 至極当然といわんばかりにこちらを見つめてくる。 「全部って、じゃぁ僕は何故ここにこうして生きてられるのですか?まさか不死身・・・。」 「な訳ないだろう?」 何が可笑しいのか、先生はいつの間にか笑いを堪えている。 くつくつと声を漏らしながら密かに笑う先生が疎ましい。 「じゃぁ何で僕は生きてられてるんですか。全身の血を抜かれたんですよね?今僕の心臓は一体何故動いているのです?」 僕は嫌悪と憎悪と疎ましさで一気に言葉を投げつける。 気持ちが悪い。 「それは、俺の血を半分分け与えたからさ。」 「え?」 「お陰で、俺も貧血なんだよ。まぁ君の血を飲んだから、再生は早いけどね。」 くつくつと笑いながら、口の端から牙を覗かせる。 「しかしまぁ、俺も人間の心臓を取り出すのは初めてだったからね。成功して良かったよ。」 僕は衝撃で頭が真っ白になる。 心臓を、取り出した? 口が塞がらないでいると、それを、察してか説明を続ける。 「心臓からも血を取り除かないと、全て取り除くことは不可能だろう??」 当たり前と言わんばかりに説明を続ける。 「そして、空になった君の身体には俺の血が注がれた訳だ。これで血の盟約が完了って訳だよ。」 「血の盟約。」 ぼそりと呟くと、黒髪の男はなおも楽しそうに続ける。 「つまり、俺の血を与えられた君は、俺の息子になった訳さ。」 くくっと笑うと続けて祝辞を述べられる。 「HAPPY BIRTHDAY!俺の息子。森王子くん!」

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