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第19話 カラスによる福音書1

カラスのはなし 今日も今日とて、人間もとい吸血鬼にこき使われてやってる俺様。 3日に一回、俺様は白い服を来た吸血鬼の生命の元を貰いに行く。 あー、めんどくせえ。 だけど、俺様は俺様の為に使われてやってるのだ。 何故なら! あの白いのを研究室に届けると、必ずピンク色のうまぁぁああああああい肉が貰えるのだ!! 人間界ではろーすとびーふって呼ぶらしい。 もう、これの旨いのなんのって。 めちゃ旨な訳! 俺様の大好物のネズミなんか比べ物にならないくらいうまぁああああああああい訳!! 鼻からみみずが出そうなくらい最高な訳!! と言う訳で、俺様は今日も白い服来たダザイって奴を、直ぐそこの木に止まって待ってたんだけど、なんか騒がしいの。 様子を見に行ってやったら、狭い箱の中に人間が二人も詰まっている。 一人は俺の待ち望む宝物交換券を持ってるダザイ。 もう一人は、誰だ? よく分からんけど俺様にはあの白い液体が必要だ! 「おい。サンプルはまだか。」 俺様が唸ると、ダザイが言う。 「邪魔が入った。今日のサンプルは無しだと伝えておけ。」 はぁぁああああああああああああああ?! 何言ってんだ。フザケンナ!! 俺様のろーすとびーふはどーなる!? 「邪魔ってそいつのことか?さっさと片付けてサンプルをくれよ。俺も仕事で来てるんだからさ」 俺様は紳士だ。 どんなに頭に血が登ろうとも冷静さを保ってやるのだ。 俺様はエライ。 「それがそうも行かなくてな。そこの床を見ろよ。」 「あぁー、粉々じゃねーか!もう出した後なのかよ!!」 俺様の宝物交換券が、無残にも床で粉々になっている。 ヒドイ。酷すぎる。ツライ。泣きそう。 「そういう訳だ。また明日来てくれ。」 いや、まてまてまて。 俺様のろーすとびーふは? っていうか、さっきネコと喧嘩しちゃったんだよおおお!! ヤバイんだよおおおお!! 持って帰らないとろーすとびーふどころか、プルタブすら貰えなくなるんだよおおおおお! ネコの告げ口こえーんだよおおおぉぉぉ。 「今日は駄目だ。監察官が俺を付け回している。何としても持って帰るからな。」 「なんだと。」 言うが早いかネコが来た。 冷ややかな目で俺を見やがる。 こええよおおぉぉぉ。 俺様ってば大ピンチ。 だけど、俺様はヒーロー。 ヒーローは悪を打ち破らなくてはならない。 ダザイはネコを嫌っている。 要するに同志。 とりあえず追い払ってやる! 俺様のろーすとびーふの為に!! 俺様はありったけの力でネコに飛びかかる。 ネコの爪なんかに怯む訳にいかない。 待ってろ、俺様のろーすとびーふ! そして、今日も俺様は研究室でカッコ良く怒られた。 ヒーローは辛いぜ。

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