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第28話
僕は何が起こったのか解らなかった。
僕から呻きが上がる寸前、耳元で声がした。
「ばかな子。」
びっくりして目を開ける。
目の前には、いつものあんが居た。
あんもびっくりした様子で、顔を真っ赤にしてこちらを見ている。
頬をぷくっと膨らましながら。
「おうし、ひどいですよ。」
僕は状況が理解できなかった。
「キスする前に目を開けちゃうなんて・・・凄く勇気がいる事なんですよ。もう少し待ってて下さい。」
あんはヘナヘナと表情を緩め、顔を真っ赤にして今にも泣きそうだった。
ぼくは咄嗟に謝る。
「ご、ごめん。ごめんね。あん、ごめん。」
僕は、頭の中が混乱しながら、でも確かに目の前で泣きそうになってる女の子に謝った。
結局その後も、何処となくぎこちなさが抜けずに過ごし、家路についた。
朝、目が覚めると何処となく体が気怠かった。
でも、熱を測っても平熱で、食欲もいつも通り。
慣れない事して疲れたんだな、と思った。
学校へ行くと、元気なみゆきがいつものように飛んでくる。
「おうし、どうだった??」
みゆきがうきうきとして、聞いてくる。
僕は映画の感想を述べた。
「今回も面白かったよ。あの海賊船長シリーズもの。」
「じゃ、ないでしょう??あんとは上手くいったの?」
僕は何て答えようかと思案する。
ヘマをした、なんて言ったらこっ酷く叱られそうだ。
「普通に映画見たあと、手繋いで散歩して終わったよ。」
みゆきは見る間に不満そうな表情に変えて行く。
どつやら凄く期待されてたらしい。
そんなに期待されても困るよ。
「まぁ。最初はそんなもんかー。次はもっと頑張りなさいよー!」
言うと同時に、ばしんっと背中を叩かれた。
励ましはありがたいけど、痛いよ、みゆき。
そんなやりとりの後、朝礼が始まった。
朝礼の後、礼拝堂に向かう。
あんの様子はいつもと変わらず、いつものように会話した。
翌日もいつもの日常を繰り返す。
気だるさだけを除いて。
その翌日も、いつものように学校へ向かった。
熱もなく、食欲もあった。
だけど徐々に体調は悪化している気がする。
気だるさ以外の不調は無いのだから。
と僕はこの日も病院へは行かなかった。
だけど、この日は3時間目も終わりになると、座っているのも辛くなってくる。
あまりの気怠さに授業もそこそこに、僕はあまり行きたくない無い保健室へと向かった。
だめだ、気持ち悪い。
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