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第65話
僕は、僕がこんなに泣く奴だったと知らなかった。
膝の上で泣き続けている間、先生はずっと僕の頭を撫でていて、撫でる事を止めようとはしなかった。
僕がひとしきり泣いて落ち着くまで、先生は僕の頭を撫で続けた。
しばらく泣くと、今度は不思議と落ち着いてくる。
見上げると、先生は優しい眼差しを僕に向けていた。
少し落ち着いた僕は、再び聞いた。
「もう一度キスしてもいいですか?」
と。
すると先生は答えるんだ。
「いいよ。」
と。
僕は立ち上がると、潤んだ瞳の先生にもう一度キスした。
相変わらず上手とは言えないキスだったけど、さっきよりも落ち着いてキスが出来た。
でもやっぱり相変わらず僕の心臓は全身で脈を打っていた。
そして、僕は何度も何度も強請っては先生にキスをした。
何度目かのキスの時、僕は先生に優しく唇を舐められた。
初めての先生からの反応だった。
僕はそれが堪らなく嬉しくて、嬉しい気持ちを先生に押し付けた。
すると先生が口を開けて応えてくれる。
僕はもう躊躇う気持ちは何処かに消えていて、欲望に任せて先生の中に入っていった。
あとはもう夢中だった。
相変わらず僕のキスは下手くそだったけど、先生は僕を丁寧に舐めとっていった。
次第に僕もそれを真似するように、先生の動きに合わせてキスした。
それが堪らなく気持ち良くて、溶けそうだった。
僕はもう、何も考えられなくなってた。
夢中で夢中で、先生に夢中になってて、兎に角夢中になってた。
先生の唾液と僕の唾液が交互に絡み合い、お互いに行ったり来たりを繰り返した。
へとへとになって、キスが終わった頃には、全身がベトベトになっていて、僕のズボンの中は大洪水を起こしていて、とてもこのまま帰れる状態では無くなっていた。
先生は何も言わずに僕の体を拭き、奥から新品のパンツと、備品の制服を持ってきて僕に着せた。
それが、あの日あったことの全貌だった。
ベッドに寝そべって、先生に抱き付きながら見つめる。
「積極的に来られるのは困りますか?」
僕は先生に問う。
すると先生は答えた。
「いいよ。おいで。」
それから僕を撫ぜた。
先生がそこに居てくれるだけで幸せで、僕はうっとりと目を閉じた。
先生の隣は気持ち良くて眠い。
深いところで呼吸を繰り返しながら、朧げな思考で先生に自分の頬を擦り寄せた。
ふわふわとして、寝ちゃいそう。
「せんせぇ、すき。」
僕は先生に顔をくっつけたまま、先生の胸に向かって呟いた。
「うん。」
先生の音がする。
先生の心臓の音。
とくんとくんと脈を打っている。
まるで子守唄だ。
「んぅ、ねむい。」
「寝ちゃえば?」
「寝ない。寝たら勿体無い。」
「なに、それ。」
先生がくすくすと笑っている。
僕はそれが嬉しくて胸が一杯になる。
先生を見つめながら僕は言う。
「寝たら、先生の顔見れなくなるから。」
僕が視線を逸らさずに言うと、先生が顔を逸らした。
「いつからそんな恥ずかしい事言うようになったの。」
先生があっちを見ながら言う。
「僕は恥ずかしく無いよ。恥ずかしがってるのは先生でしょ。」
僕はじっと先生を見つめ続ける。
すると、ほんの僅かに顔をこちらに向けると先生が言った。
「俺は恥ずかしい。」
「先生可愛いね。」
「いつからそんな生意気言うようになったの。」
僕は軽く首を捻った。
「今から?」
先生がのそりと僅かに体を起こした後、僕の口は塞がれた。
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