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第73話 R18
僕はいつまでも、いつまでも、時間の許す限り先生の腕の中に居た。
先生のものであって、先生のものになれないこの距離は、近くて遠い距離だった。
いっそ、この身の全てを先生に食べられてしまえばいいと思って、 だけど先生は絶対そんなことしないという、確信が生まれる。
逆に、僕が食べたいと言えば、喜んでその身を差し出して来そうな先生を思うと、そこに狂気に似た感情に震える。
人の血を吸うこと。
それは誰かの当たり前を、奪うのか、譲られること。
僕は先生を奪い譲られて、今、僕は生きている。
僕の体の中を流れている先生が愛おしくて、先生の身体の一部である僕は、僕を大切にしなければならない。
僕の身体には、片時も休むことなく、常に先生の愛が流れ巡っている。
僕の躰が火照り出す。
そう想うだけで火照り出す。
先生の腕の中で、僕は火照り続ける。
僕は幸せだった。
幸せ。
僕はほんの少し身動ぐと、先生の手を探した。
いつも抱きしめてくれる人の手。
優しく撫でてくれる人の手。
僕の大好きな人の手。
探して、捕まえて、僕の指を絡ませた。
先生が僕に反応して、応えてくれる。
「・・・あっ。」
先生の手が気持ちいい。
僕は体を震わせた。
「んっ。」
僕の躰の中心に先生の血が集まってくる。
僕は頭がぼぅ、とする。
熱い。
僕は先生の腕の中で、躰を反らせた。
「あぁっ、んっ・・・んっ・・・んぅ。っふ。」
先生の指が僕の手を握り、ふわふわと緩く動き、組み直してくるその刺激が、僕の全身を駆け巡った。
なに、これ。
全身が、痺れていく。
先生はそんな僕に気付いたのか、僕に尋ねてくる。
「どうした?気持ちいいの?」
「んぅ、きもっ、ち、いい。せんっせ・・・、僕の躰おかし・・・あぅ、んっ。あつ・・・いぃ。」
先生が僕が纏わり付いている手とは違うほうの手で、僕の手の甲を爪でなぞった。
「あっ、あぁっ、だ、だめっ。いっ、イっちゃう。だめっ、・・・んうぅ。」
僕は背中を縮めたり、反らせたりしながら、先生の足の間で身をよじる。
「ぼくっ、おかし・・・っ、触られてっ、ない、のにっ、んぅっ、イッ、・・・イきそっっ、んっ、・・・うっ。」
「解った。ちょっと待って。立って服を脱いでごらん。俺は目を瞑ってるから。そこにテッシュもあるから。」
「やっ、やだ。先生も一緒に気持ち良くならないなら。先生が隣に居るのに、僕一人でイかされるなんて、やだぁ。」
僕は先生を横目で見つめる。
先生は観念したように、自分のベルトをカチャカチャと緩め始めた。
「解った。俺も隣で自慰するから。俺は目を瞑って見ないから。それでいい?」
そう言うと先生は、ズボンの奥に隠してあったそれを外に解放し、自分の掌で覆った。
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