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第74話 R18

僕は先生の足の間に座って、じっと先生の動向を見ていた。 先生は僕の目の前でベルトを緩め、その奥に隠されていた欲を僕に曝け出してくれた。 太く艶やかに天上に伸びたその先端は、僅かに光を反射し粘液を纏っている。 「・・・こらっ、見るんじゃない。」 先生が握っていた僕の手を振り切り、慌てて僕の顔を覆った。 「じゃぁ、目を瞑るから食べていいですか?」 そういえば、前に僕の欲望を先生が舐めとったのを思い出した。 あれは完全に事故だったけど。 でも、事故だとしても普通、普通、普通は舐めないよね? そんなことを考えてると、先生にピシャリと言われる。 「駄目だ。いい?俺のは飽くまで自慰なの。体裁は大事なんだ。守れなかったら次はないよ。」 ん? 「先生。つまり守れたら次も出来るの?」 僕良いところに気がついた。 よくやった自分。 でかした自分。 「いや、まぁ・・・そうだな。俺の言い付けを守れたらね。だから、食べるのは禁止だよ。」 僕の口元がゆるゆると緩んでいくのが自分でも分かった。 「分かりました。守ります。見ない。食べない。ですね?」 「あと触らない。」 「分かりました。見ない。食べない。触らない。で、次もあるんですね。」 「そうだな。」 僕はテッシュを引き寄せて、ネイビーのショートパンツを脱ぎ捨てた。 それから、カットソーとパンツも取り払う。 先生はこちらを見ていない。 顔を左に背け、左手で自身の欲望を押さえ込んで眉間に皺を寄せている。 僕は再び先生の足の間に座り込み、先生の右膝の上に手を添えた。 先生は、右膝に僕が戻って来たのに気付き、右手を伸ばし僕の手にそっと触れる。 「・・・んぅっ。」 僕から再び、僅かに声が上がる。 そして、僕は先生を盗み見する。 約束した。 したけど、先生が気になって気になって仕方ない。 ちょっとくらいなら、チラ見くらいなら、と僅かに瞼を持ち上げると、先生が・・・。 エロかった。 兎に角エロい。 僕は生唾を呑む。 声が上ずる。 先生のエロい指が、僕の指に絡んでくる。 「んぅっ・・・、あっ・・あっ、あぁっ、ふぅ、あぁ・・・。」 僕は直ぐにも達しそうになる。 僕は自分に触れていない。 何も僕の熱い部分に触れてない。 触れてるのは、僕の指に絡んでくる先生の指だけ。 絡ませてくる先生の指が、僕の手から全身に快感を運んでくる。 そして。 約束を破った僕の目に映る、先生の恍惚とした歪んだ顔。 首筋ににじむ汗。 中でも一番刺激的で官能的なのが、自身を扱く先生の艶かしい指の動き。 僅かに見える先端からじっとりと滴りを覗かせて、それが、ぬらぬらと先生の指を更に妖艶に演出している。 先生の指が、上下に動く。 その度に、熱い呼吸が、先生のわずかに開いた口から漏れてゆく。 僕は釘付けになった。 僕の好きな人が、僕の目の前で、僕と共に快楽に溺れてゆく様を、どうして見ないでいることが出来るだろう。 もっと見たい。 僕は達しない様に、呻きながら我慢する。 僕が呻くと、先生が僅かに反応し、呼吸が乱れていく。 「きもちいい・・・?」 先生が快楽に歪んだ顔で、目を閉じたまま僕に問いかけてくる。 なんて艶かしいんだろう。 僕の全身にびりびりと快感が走ってゆく。 「んぅっ、きもっ、ち、いぃ、せんっせ、きも、ちいいよ。」 僕は先生の言葉と表情に、堪らなく性感を刺激される。 先生、もっと、もっと歪ませて。 僕はもっとその顔が見たい。 先生の指が、しきりに僕の手を刺激してくる。 指の腹で撫でたり、爪でなぞったり、僕は昇り詰める快感をギリギリのところで受け流し続ける。 「あぁあぁぁ、はぁっ、きもちっ、い。先生の指、きもちいよ。」 僕が言葉を発すると、たちまちに先生の表情が乱れてゆく。 自身をゆるゆると撫でる様だった先生の指使いも、瞬く間に激しさを増してゆく。 僕はそれに只ならぬ興奮を覚える。 僕が善がれば善がる程、先生が激しい快楽の渦に飲まれてゆく。 僕の目の前で激しく上下に擦り上げるこの男に、僕は悦に入る。 もっと見たい。 「お、王子、まっ。まだ、気持ちよく、なれないか?」 激しく乱れながら、半ば懇願に似た言葉を僕にかけてくる。 それもその筈だった。 先生は己の欲望をはち切れんばかりに膨張させて、それを抑える手は暴れながら上下に輸送を繰り返している。 この男は、自身が絶頂に近い事を知りながら、僕に合わせてそれを我慢している。 僕がイクのを、今か今かと欲望に塗れながら待ち望んでいる。 そう思った瞬間、僕は絶頂に昇り詰めた。 「はぁっ、はぁっ、いっ、イクっ。イク、イク、イク、いっ、ああぁあっ、あぁぁ。」 僕はそこにあったテッシュを引っ手繰り、素早く数枚先生に投げ込むと、自身もまた新たな数枚を自分の熱いところに押し付けて呻いた。

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