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第76話
幸か不幸か、朦朧となりながらも僕は気を失うことはなくて、先生が唇を離すと、羞恥に身悶える羽目になった。
僕が目を泳がせ、口をパクパクしてると先生は言った。
「大丈夫。俺たちは手を握りながらキスしただけ。他には何もしてないよ。」
そう言い、満足そうに笑った。
確かに先生の言う通りなんだけど、ええええ。
先生は続ける。
「保健室でキスした時の君の反応といい、夢精した話といい、もしかしてそうなのかな?とは思ってはいたんだよ。」
「そう、って・・・。」
「聞くの?」
「いえ、やめときます。」
「直接刺激しなくても感じちゃう、敏感な子なのかな、とは思っていたけれど、やっぱりそうだったんだな。ってね。」
「何で言うんですか。」
「うん。何でかな。」
先生が楽しそうに笑っている。
僕が口を開こうとすると、再び口を塞がれた。
「・・・んっ。」
そしてぎゅっと抱き竦められた。
「いいよ。俺は嬉しいよ。俺に触れられると感じちゃうほど、俺の事好いてくれてるんでしょ?それとも違う?誰に触られても噴き出すほど君は感じてしまうの?」
「なっ。違いますよ。先生だけに決まってるじゃないですか。まるで僕が変態みたく言わないでください。『あん』の時は無反応だったって言いましたよね。」
「そうだね。嬉しいよ。ありがとう。」
先生は抱きしめた僕から顔を離すとはにかむように笑った。
それ、反則ですよね。
怒ろうと思ってたのに、そんな風に笑顔を返されたら怒れなくなるじゃないですか。
僕は変態じゃ・・・ないと思うんだけどなぁ。
そして僕らは、お風呂に入った。
入ったと言っても、シャワーを浴びただけだけど。
先生の服は兎に角ドロドロだった。
はっきり言う。
僕はそれを見て全裸で先生の家から逃げたくなった。
逃げなかったけど、捕まるからしないけど、でもその位羞恥に震える羽目になった。
だって、風呂場で自分の服を洗濯機に入れる前に態々見せつけてくるんだよ。
「すごいね、これ。全部王子のだよ。」
だって。
僕はそれを引っ手繰って、先生の洗濯機に投げ入れて、洗剤も投げ入れて、直ぐにスイッチも押しました。
そしたら、先生はそのフタを開けようとしてくる。
「えっ、ちょっ!駄目っ!!これから洗うんですから取り出さないでください。」
「違うよ。こっちも洗いたいの。」
そう言うと先生は、僕の目の前にさっきまで身につけてた黒のスキニーチノパンを突き出してくる。
お腹のあたりはじっとりしていて、テラテラ光を反射している。
僕は慌ててそれも引っ手繰ると、洗濯機の中に投げ入れた。
「ほっ、ほっ他には?他には無いですか。」
すると今度は、黒のボクサーパンツをヒラヒラさせている。
だけど、何処も目立つ汚れは無い。
「別に汚れてな・・・。」
僕は言いかけてハッとすると、それも引っ手繰り洗濯機の中に投げ捨てた。
なんだこの羞恥プレイ。
「洗濯してくれるんだね。ありがとう。」
先生は裸のままニコニコしている。
僕は無言で先生の背中を押して、風呂場に向かいました。
誰か助けてください。
僕、このままだと顔から火が出て死んじゃいます。
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