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第125話
散々キスをした後、僕がそれでも足りなくて血を強請った為、輸血もしてしまった。
僕は先生に抵抗なんて出来ないし、先生に対する想いも抑える事が出来ない。
だから、少しでも先生という火を近づけられると、その瞬間僕の全身に熱が駆け巡る。
そうなると、もう止められない。
欲しくて欲しくて、堪らなくなってしまう。
だから、今日も先生の血を得られるまで、頭の中はそれで一杯になってしまった。
だから、先生に弄られ続けて上がってしまった息を整えると、今日も僕は先生に欲しいものを告げてしまう。
「先生、血、ください。」
僕は猫撫で声で甘える。
だって、欲しい。
だって、どうしたって先生が欲しい。
だから、先生に媚びる。媚びて甘える。
僕は、先生だけに媚びて甘えて強請る。
僕のこんな姿、誰にも見せられない。見せるつもりもない。
けれど、先生だから。
先生にはもっと好きになって欲しいから。
僕だけを見ていて欲しいから。
だから、思いっきり媚びた。先生から受ける刺激に全ての抵抗を脱ぎ捨てて、体に感じるままに素直に鳴いた。
本当は許可を得るでもなく、噛みつきたかった。
滑らかなその、首筋に牙を立てて、先生の命を僕の自由にしてみたい。
先生の吐息を聞きながら、血を啜ってみたい。
僕が先生を気持ちよくしてみたい。
けれど、やっぱりそれは出来なくて、先生を傷付ける事なんて出来ないし、傷を残したくなかった。
例えそれが、僕の先生に対する愛情表現だとしても、先生が笑って許してくれたとしても、絶対に痛みを感じる事を強いたくなんて無かった。
僕のものという証拠を先生の首に残したところで、それは僕のエゴにしかならない。
僕のエゴなら、それは必要にならない。
大切だから、押し付けられない。
いつからだろう。
先生の血が欲しい、と思い始めたのは。
僕の気持ちが重くなればなるほど、僕は先生の血を欲するようになった。
先生の血を飲む事で、僕の想いが重く沈んで凝り固まった石みたいになった部分を、ふやかして柔らかく温めて解こうとしている。
飲む事で、心が満たされた様な気になって、渇きが癒されるような気がする。
いや、元々満たされているんだけれど、先生に体を弄られると、先生が欲しくなるんだ。
まるで、リミッターの箍が外れたみたいに、弄られると何処までも渇望しはじめる。
だから、今日も僕は涙を零しながら、僕から抜き取った先生の血を飲んだ。
そして、僕の体に新しい先生の血が入れられた。
また、それはどうしても苦しかった。
これは恋をしているからなんだ、と、納得した。
そしてそれらは、先生だけが知っててくれれば、それでいい、十分だ、とも思った。
いつかは、必ず先生を気持ちよくしたい。
僕の欲望は尽きない。
先生の顔を気持ち良さに歪めて、僕が鳴かせてみたい。
いつ、そんな顔が見られるだろう。
どうしても見たい。
僕のせいで歪ませた顔を、僕の為だけに見せて欲しい。
そしたら、やっと、対等の立場になれるだろうか。
僕もいつかは与える側になりたい。
なれるかな。
なれるといいな。
いや、きっとなってみせなくては。
ぼんやりと、睡魔に襲われながら僕は先生のことを思った。
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