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第127話

夏休みに入って、休みボケが始まって、今日が何月何日何曜日か分からなくなった、8月10木曜日。 スマホのカレンダーが、専ら僕に今日がいつなのか教えてくれるので、知り得る訳で、無かったら今日がいつなのか分からない。 そんな今日も、アンの隣でソファに座り何故かBLノベルを読まされていた。 何だってエロいのばっか買うんだよ、この人は。 オメガバースとか、もう人類じゃない、SFか?!っていう、無駄知識を身に付けつつある。 非常に不本意な形で、僕は腐男子の道を着実に極め始めている。 んだけど、肝心な正しい性知識については全く身につかなかった。 絶対痛いに決まってるし、事前、事後処理とかどうするの?って思うんだけど、そういう部分はほぼ全く書かれていない。 そういう訳だから、BLって、ジャンルそのものがファンタジーなんだなという結論に至る。 現実味は無いけれど、乙女の夢の書物なのだろう。 けれど、心理描写だけは、しっかりと綿密に練られている作品が多かった為に、成る程と唸らせられる事もしばしばあった。 ちなみに言えば、アンの書くチラ裏は、本人がチラ裏だと宣言するに相応しく、性描写しか書かれていない、と言い切れるほど中身はソレだった。 僕って、アンにはこんなキャラに写っているのかな、と変に考えさせられもしてしまった。 僕の思う僕と、アンが見ている僕とは結構なギャップがある、それは面白いなとも思った。 読まされるうちに、攻めや受けという単語もアンから習わされた訳だけど、アンが書くものは、どれも僕が受けだった。 いやいや、僕は多分攻めだと思うんだけど。 今は確かに先生には敵わないのは受け入れるけれど、立場が対等になったら、僕が絶対攻めだし。 だって、僕は先生のあの顔が好きだし。 僕だけに見せるあの顔が、本当に堪らなく好きだから、絶対に僕が攻めだし。 ・・・じゃないと見れないし。 やめよう。不埒な事考えてる事、アンにバレる訳にいかない。 そうじゃなくても、僕は鴨なんだから・・・。 僕と先生では先生が攻めなのに、展開に途中で飽きたのか、昨日辺りから表先生と松本先生も乱入してくるようになってきて、先生は途端に受けになっていた。 所詮フィクションで、アンのお遊びなのは分かっているんだけど、このフィクションに出てくる表先生と松本先生に何故か僕は嫉妬してしまっていた。 これも絶対アンにバレたく無い。 先生が、表先生と松本先生にあれやこれや、されているシーンは割とメンタルに来る。 来るんだけど、実際もこんな風に先生は悦ぶのだろうかと想像してしまうと、僕の体が火照ってきてしまうのには参った。 アンの書くものはチラ裏で済ませられない程、実は結構凄かった。 内容が濃いのもそうだけれど、細やかな描写が凄い。 兎に角細かいのだ。そう、細か過ぎて赤面せずにいられない細かさで、描写されている。 僕としては、もっと別の所にその才能を使って欲しいです。 書かれるのも、読まされるのも、文才があるせいで嫉妬させられる羽目になるのも、辛いんですけど! 実際にはした事無い訳で、読まされて悶々とさせられるのも、激しく辛いんですけれど! バレないようにするのに、腰を引いて必死にならないといけないとか、どんだけだよ。 アンが書いてる事、されてみたくなる、じゃん・・・。 その上感想を強請られるのは地獄です。 本当に地獄です。 正に地獄。衆合地獄の多苦悩処行きに違いない。 罪に合わせておもてなし。はい! でも先生と一緒だったら、それもいいかなと更に不埒な考えが頭を過る。 過ぎったところで、僕は頭をぶんぶんと横に振った。 いや、止そう。 アンにとってはネタにしかならない。 要するに、アンにはアンの書いた文章のように、僕らは愛し合ってると思われているって事なのだ。 酷い誤解である。 こっちは、いっつも我慢してるっていうのに。

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