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湖畔の城 8

 ネルはしばらくジンを無視する事にしたみたいなので、僕と一緒に行動する。 って言ってもコウもジンもついて来るから一緒なんだけど。 部屋の魔道具を点検するも、異常はない。部屋を出て居館と塔を繋ぐ回廊にある魔道具を見てみる。 ん?かなり熱い??直射日光があたっているからかな?基本的には日があたっても大丈夫なように設計されているはずだけど、許容範囲を超えたのかも知れない。今年の夏はめちゃくちゃ暑かったもんな。 他の場所の魔道具も点検してみたけど、やっぱり直射日光があたっている魔道具のみめちゃくちゃ熱い。元の従業員の控室に戻って主となっている魔道具を再度調べて見ても、直射日光が当たっている魔道具と繋がっている箇所が熱い。 うん、これが原因か?控室に戻って僕の見解をレポートにまとめたら、後は温度の観測だけだ。午後に気温が上がりきってからもう一度外の魔道具を見てみよう。 大体の目処がついたので気持ちが楽になった。ネルも少しは落ち着いたかな? 「ネル、大丈夫?」 「うん、まぁ・・・」 「・・・あれ、ウザいからどうにかならない?」 そう、ジンがどうしようもないくらいに落ち込んでるんだよね。コウも持て余すくらいに。 「しばらく反省すればいいんだよ。好きって言えばなんでも許されると思ってる脳筋は。けど、肉体的な繋がりがあんなに体力勝負だったとはね。リンは大丈夫だったの?」 精霊は基本的には精神的な繋がり重視で、肉体的な繋がり(つまりSEX)はあんまりしないみたいだからね。 「僕は日が変わる前にもう無理って拒否して寝たから。」 「・・・やっぱりリンはすごいね。僕、ジンに流されてずっと付き合っちゃったよ・・・」 「だって僕もコウも回復魔法使えないから。僕が体が痛いし疲れたって言えばコウは無理してこないよ。まだまだヤリたそうだったけど。本当に回復魔法を使えなくて助かったって思ってる。いくら体が回復しても無理だよね。」 「うん、本当にそう。身をもって体験した。」 ちょうどお昼の時間になり、コイルさんが昼食を持って来てくれた。 お肉がとろっとろのビーフシチューだ。サラダ、パン、ライスもたっぷり。 「うわぁ!美味しそう。いただきます。」 「いただきま~す!」 ん~!!お肉が口の中で蕩ける。お行儀が悪いけど、僕はシチューにパンを浸して食べるのが好きなんだよね。うん、美味しい。コウはライスをおかわりしている。ホントよく食うよな。 あっ、報告をしないと。 「コイルさん、外の魔道具の一部がかなり熱くなっているんです。おそらく直射日光で許容範囲を超えてしまったのかと。今年の夏は暑かったですからね。」 「何と?!外の魔道具までは見ておりませんでした。」 「昼からも気温を測って魔道具の様子もロム先生に伝えますね。」 「どうぞよろしくお願いします。 ビーフシチューのおかわりはいかがですか?」 僕はもう一皿、コウは三皿もおかわりをした。だって美味しかったし! デザートのプリンは精霊の分も用意されていた。ネルが嬉しそうに食べている。 「・・・ネル、これあげる。」 ジンがネルに自分のプリンを差し出す。 ネルが無言で受け取って食べる・・・プリン好きだもんねw ジンが横に来ても逃げて来ないから、ちょっとは許す気になったみたいだな。 コウも僕にプリンをくれようとしたけど遠慮した。僕は別に怒ってないから機嫌とらなくてもいいって。だから何でそんな悲しそうな顔をするんだよっ?! 「だってオレ、ちょっとでもリンに喜んで欲しくて。」 「別に僕、プリンが欲しいわけじゃなから。一個で充分。ビーフシチューおかわりしたし、お腹いっぱいなんだよ。けど気持ちだけもらっとく。ありがとう。」 一気に笑顔になるコウ。分かりやすいな。ちょっと可愛いかったから撫でてやると、めちゃくちゃ喜んだ。見えない尻尾振りまくってんな。 「ふぉっふぉっふぉっ!若いっていいですな。では、私はこれで。午後もよろしくお願いします。」 あっ、コイルさんまだいたんだ。存在を忘れてたよ。恥ずかしいっ!! 食器を下げてたコイルさんが出て行った瞬間、コウがチュッと軽いキスをしてきた。そしてギュッと抱きしめられる。 「リン、好き。大好きだよ。」 うん、知ってる。 僕もギュッと抱きしめ返し、すぐに離れる。だってこの後もまだ仕事があるからね?!このままだとまたその気になるでしょ?特にコウが。 ネルを見ると、ジンにペロペロ舐められまくってる・・・仲直りしたみたいだな。良かった良かった。 よし!仕事をしよう。 昼からも気温を測り、直射日光があたっている魔道具の様子もメモする。やっぱり熱くなりすぎている。その為に館内の室温が安定しないんだ。応急処置で氷魔法で冷やしたらどうかな? 「ネル、またクー経由でロム先生に伝言お願い。魔道具の不具合は、直射日光で熱くなりすぎが原因かもって。で、応急処置で僕の氷魔法で冷やしてもいいか聞いて欲しい。」 「了解。」 しばらくすると返事がもらえたようだ。 「直射日光があたってる一つに試しで氷魔法かけてみて?って。効果があれば半分には氷魔法、もう半分はそのままにしてデータ取って欲しいって。」 言われた通り、一番熱くなっている魔道具に氷魔法をかけて冷やす。正常に動いている魔道具と、表面温度が同じになるくらいまで冷やすと、その周辺の室内温度が安定した。よし!いけそう。 不具合を起こしている魔道具は六個なので、後二つにも氷魔法をかけて冷やした。これでよし。 その後、十五分おきの気温の測定でも、冷やした方は正常な室温を保っていたし、応急処置としては大成功じゃないかな?原因も分かったし、後日ロム先生がきちんと直してくださるだろう。 さて、仕事も終わったし、あいさつをして帰ろう。コイルさんをはじめ、従業員の方々が城門まで見送りに来てくださった。 「リン様。ありがとうございました。室内の気温もリン様が応急処置をしてくださった所は正常に戻りましたし、感謝しております。」 「あくまでも応急処置なんで、後日ロム先生にちゃんと直してもらってください。後、応急処置をした魔道具と、していない魔道具の置いてある部屋の気温は測っておいてくださいね。 こちらこそ色々とありがとうございました。ご飯も美味しかったし、最高の部屋に泊めていただいて!!」 「ふふふ、今度はぜひ結婚式でいらしてください。お二人なら特別枠でお受けいたしますよ?」 「はいっ!ぜひお願いしますっ!!!」 ・・・もちろんコウが張り切って返事しやがったよっ?!!

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