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響也side*2
夏休み。
学校に行かないから、楓と会う時間が増える。
会う時間が増えれば増えるほど、増していく、ヤバい衝動。
そんな時。
急に父さんの休みが取れたからと、旅行に行くと言い出した両親。
この日しかないと、思った。
楓の気持ちを確かめて、もしも、同じ気持ちなら。
オレのに、する。と決めた。
半日を、楓に与えて、外に出た。
幼馴染の康平の父さんがやってる喫茶店を訪ねて、今日一日ここに居ていい?と聞いたら、オレをちらっと見る。長い付き合い、何かあったと思ったのか、一番端の席なら良いと言ってくれた。昨日眠れなかったし、もう、寝てようと思ったのだが。
康平も朝飯を食べに顔を出すし、別の友達も呼ぶものだから、朝から周りはうるさくなった。……まあ多分こうなるかなとは思ったけど。
頭が痛いと嘘をついて、半分くらいは、伏せっていた。
朝、告げた時の、楓の顔。
驚いてた。そりゃそうだ。今まで、何も言わずに来た。
……唐突過ぎたか。
オレのになるか。なんて。
――――……楓もオレを意識してるなんていうのが、もしも、ただの気のせいだったら。
義理とは言え、弟に、何言われたんだっつー話だよな……。
「なあ、響也、頭痛いなら、帰って寝たら?」
「……今は無理……」
「えーそんなに頭痛いの? 大丈夫?」
周りがうるさい。
康平と、康平の父さんは、絶対何かあったなともう確信してるようだったけど、他の友達は気づかず、あれこれ話しかけてくる。
窓から聞こえてくる、蝉の声も、うるさい。
――――……家も、リビングは特に、庭の樹に居る蝉がうるさいけど。
楓は今、どこに居るんだろう。
誰かの所に逃げたか?
――――……誰かを呼んだか?
それとも――――……。
朝、少しだけ頬と首筋に、触れた。
びく、と震えた楓。何の震えだったんだろう。
……びっくりしただけか……。嫌、だったか。
母の話から想像すると、楓は誰とも付き合った事は無さそう。
付き合いもせずに、そういうことして遊ぶタイプには、見えねえし。
誰も、楓に触れていないのかと、思うと――――……。
余計、早く触れたいと思ってしまう。
――――……あのまま、思い切り引き寄せて、唇を合わせて。
舌を入れて、めちゃくちゃエロいキスを、したかった。
他にもう、欲しいものはない。
――――……楓が手に入れば。
そんな風にすら、思う。
今頃。
――――……どう思ってるのか。
人の気持ちがこんなに、気になるとか……初めて。
つか。――――……こんなに、自分のにしたいと思ったのも、初めて。
家に楓が居なかったら――――……。
または、家に楓と、誰かが居たら。
諦めるしかないと思って、そう言いはしたけど。
全然諦められる気がしない。
はー……。
だる。
こんなの。ほんとなら、マジで面倒だと思う。
――――……今まで、適当に楽しく、気楽に、過ごしてきたのに。
窓から聞こえる、蝉の鳴き声も。
ブラインドがかかっていても焼け付くみたいな日差しの熱さも。
余計、感情を逆なでる。
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