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第20話 義兄弟のヒートの過ごし方(2)
薬を飲んでベッドに入ってもう30分位経つのに、抑制剤が効いてこない。
むしろ、さっきより症状が悪化している気がする。
「なんで……?」
(もしかして、蒼司くんの服のせい……?)
さっき借りて枕元に置いている蒼司のTシャツを握りしめる。
(良い匂い……もう我慢できない!)
彼がシャワーを浴びている間に、一回だけ抜いてしまおう。そしたらスッキリして眠れるはず。
僕は下着ごとボトムスを脱ぎ、硬く張り詰めたものに直接触れる。そこは既に先端から透明な液をにじませていた。
ずっと我慢していたから、ちょっと擦るだけで痺れるほど気持がいい。
「あっ……」
(蒼司くんの匂い嗅ぎながらするのやばい――)
正直Aoのファンとして、彼に対し性的な感情を抱くのは自分でも許せなかった。だから、いくら彼のことを好きとは思っていても、マスターベーション中に彼を想ってしたことは一度もなかった。それをしてしまうと、本気で好きになってしまいそうで怖かったのだ。
(今だけ……発情期の間だけだから……)
「んっ……ふぅ……」
ちゅくちゅくと濡れた音を立てながら前をしごく。義弟の匂いに包まれて、興奮が極限に達していたため終わるのは早かった。僕は手で白濁液を受け止めた。
「あっ!」
(気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……)
一度出してすぐに寝ようと思ったのに、それではおさまらなかった。内側にも刺激が欲しくなり僕は後孔に手を伸ばす。ヒート中なので、興奮に従いそこは濡れていた。ぬるりと指を滑り込ませる。
ヒート期間中じゃなければ後ろを触ることは滅多にない。普段は前しか触らないのに、発情すると中で気持ちよくなりたくなってしまう。アルファに襲われた恐怖が未だに忘れられないとういうのに、肉体はアルファに貫かれることを望んでいるのだ。
僕は指を出し入れし、気持ち良いポイントを探す。
「あっ……ん、うぅっ……」
自分の手でするのはなかなか難しい。かといって、ディルドのようなものを買って慰めるのも恥ずかしくて、いつもなんだか物足りない気分でヒートをやり過ごしている。
今日は蒼司のTシャツを掴んで匂いを嗅ぎながら、もう片方の手で中を弄っていた。この匂いのお陰で、自分の細い指だけでもたまらなく気持ちがいい。今まで彼のことを想像しないよう我慢していたのがばかばかしく思えるほど、脳が溶けるような快感に溺れる。
「んっ、きもちいっ蒼司くん……あおしく……っん」
恥ずかしげもなく中をかき混ぜるようにしていると、突然頭上から声が降ってきた。
「蓉平」
びっくりして目を開けると、蒼司がベッドの横に立っていた。熱に浮かされていた頭がサーッと冷えていく。僕は慌てて体を起こし、下半身を隠す。
「あ、蒼司くん、な、なんで……」
急激に意識がはっきりしてきたが、今度は羞恥で全身熱くなる。そんな僕に対して彼が思わぬことを言った。
「俺としたいなら素直に言えよ」
(なななな、何言ってるんだ!?)
僕は必死で否定した。本気で義弟と寝たいなんて思っていない。ちょっと、魔が差しただけなのだ。
義弟相手に性的に興奮しているだなんて、気持ち悪すぎてもう兄弟などやめると言われてしまうかもしれない。そしたら両親の結婚をぶち壊しになってしまう。
しかし蒼司は意地悪そうな顔で更に言う。
「言い訳すんなよ。俺に抱かれたいんだろ?」
(ああ……この顔ほんと好き……今すぐ抱いてほしいに決まって――……じゃない!)
僕はパニックになりながら、兄弟なのでダメだとか付き合ってないとしちゃダメとかそんなことを述べた。そして、無意識のうちに「だって蒼司くんは僕のこと嫌いでしょ」と尋ねてしまった。
「まあ、嫌いだな」
と彼が答えた瞬間、全身をゾクゾクと快感が走り抜けた。
(発情フェロモンを嗅いでも、平気で僕のことを嫌いって言ってくれるなんて!)
「んっ……あ……っ!」
どこも触っていないのに、僕のあそこからとぷとぷと白いものが溢れ出た。
「おい、今イッたのか?」
と蒼司が怪訝 そうに尋ねてくる。
(蒼司くんに嫌いって言われるの……気持ちよすぎ……)
恥ずかしくて死にそうだけど、それ以上に感動がすごくて、僕は蒼司に向かって「蒼司くんに嫌われるのが好き」と本音を言ってしまった。
それを聞いた蒼司がこいつ頭おかしいんじゃないのか? みたいな冷たい視線向けてくる。それが僕を更に悶えさせた。
(もう、兄弟とかどうでもいい……)
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