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第18話
「三鶴くん、外で昼食にしない? 今日は涼しいから」
昼休みの始まりを知らせるベルが鳴ったと同時に、古賀が三鶴の席までやって来た。有無を言わせず腕を取り立ち上がらせる。またどこかで殴られるのかと三鶴は蒼白になった。
だが、古賀は手にしたビニール袋を掲げて見せて、優しい笑みを浮かべる。
「サンドイッチ、好き?」
三鶴に好き嫌いはない。与えられた食物をただ摂取するだけで生きてきたのだ。戸惑っていると、古賀は首をかしげた。
「苦手なんだったら、購買でなにか買おうか」
これには思い切り首を横に振ってみせた。財布にはろくな金額が入っていない。そのことを知れば、今の古賀なら、おごると言いだすかもしれない。古賀に借りを作って、どんな方法で返せと言われるか。恐ろしくて考えたくもなかった。
「そう。じゃあ、行こうか」
どこに連れていかれるのかわからなかったが、古賀の手が優しく触れていて、三鶴の恐怖を少しだけやわらげた。
「ここ、実はすごく涼しいんだ」
連れてこられたのは体育館の裏の倉庫。扉を開けると、確かに空気がひんやりとしていた。古賀は慣れた様子で扉付近の掃除道具やワックスの大きな缶を、隅へ避けた。
「奥が居心地良いんだよ」
三鶴の背を押し、入らせる。扉を閉めてしまうと薄暗く、室温がさらに低くなったように感じた。
動かない三鶴の手を引いて、跳び箱や手押し車をすり抜けながら、奥に歩いていく。壁際に体操用のマットが敷かれ、普段から生徒が忍び込んでいるらしいことがわかった。
「サボって昼寝してるやつなんかが埃を払ったりしてるから、制服も汚れない」
古賀は壁に背中を付けて座り込むと、三鶴の腕を強く引いた。三鶴の背中を抱き込んで、肩越しに三鶴の顔を覗き込む。三鶴は逃げ出そうともがいたが、古賀は強く三鶴を抱きしめた。
「安心して。なにもしないから」
片手で三鶴を戒めながら、片手で頭を撫でる。優しい手つきに戸惑った三鶴が暴れるのをやめると、古賀はゆっくりと手を離した。
「昼食用と、部活の前に食べようと思って多めに買ってきたんだ。ちょうど良かったよ」
ガサガサと袋を鳴らしてハムサンドを取り出し、封を切る。片手でつまんで三鶴の口元に持っていく。
「あーん」
唇をパンでくすぐられて、三鶴は恐る恐る口を開いた。遠慮がちにサンドイッチの角を小さく噛みとった。そのまま動けず、パンを丸呑みしようかと思う。
「噛んで」
三鶴の考えを見透かしたかのように古賀が言う。三鶴はもごもごと口を動かしてパンを飲み込んだ。古賀が小さな子供にするように、三鶴の頭を撫でる。
「あーん」
またサンドイッチを押し付けられ、三鶴は一口齧り取った。具はハムとレタス。噛むと、レタスが新鮮そうなシャクっという音をたてた。古賀が三鶴の頬に耳を付ける。
「くちゃくちゃって音が聞こえるよ。三鶴くんの口の中、パンもハムもマヨネーズもぐちゃぐちゃになって、唾液まみれだね」
突然、なにを言い出したのか。三鶴は口の動きを止めた。
「ちゃんと噛んで。もっと唾液をだして、食べ物をぐちゃぐちゃにして。舌の上に潰れてどろどろになった食べ物をのせて」
古賀は、なにを言い出したのか。
「それから、味わって飲み込むんだ。俺の手が触れた食べ物を」
三鶴の喉がごくりと鳴って、まだよく噛めていないサンドイッチを飲み込んだ。
「ゆっくり食べないと体に悪いよ。ほら、喉が詰まりそうじゃない? この辺り」
古賀の指が三鶴の首に触れた。呼吸が荒くなり、三鶴は古賀の指から逃れようと頭を引いた。その動きは古賀の頬に後頭部を擦りつけることになり、古賀はますます強く三鶴を抱き込んだ。
「三鶴くんの髪は柔らかくて気持ちがいいよ」
髪に頬ずりされた感触に、三鶴は飛び上がありそうになる。
「落ち着いて。痛くしないから」
古賀の指が柔らかく三鶴の喉を撫でおろす。何度も首を絞められた恐怖が蘇り、三鶴は口を開けて喘いだ。
そんな三鶴の気持ちを知らぬげに、古賀の指は三鶴の喉元と顎までのカーブを何度もなぞる。しばらくすると三鶴も落ち着いて、指のくすぐったさに気付いた。
ぞくぞくと背中が撓るような感覚がある。顔を振って古賀の指から逃れると、今度は指は喉元から胸へと降りていこうとした。
三鶴を戒めている腕を離して、古賀がネクタイに手をかけた。なぜかもう首を絞められたときの恐ろしさが顔を出すことはない。古賀はネクタイをはずすと、シャツのボタンも外していく。
「サンドイッチはどこまで行ったかな」
言いながら三鶴の喉元から胸までゆっくりと指を這わせる。
「この辺りかな」
胸の中央辺りで指を止め、優しく撫でる。三鶴の息が荒くなる。柔らかな感触に溺れそうになっている。
「三鶴くん、まだ足りないでしょ」
古賀はすっと手を引き、サンドイッチを取り上げて三鶴の口元に持っていく。三鶴は自ら口を開けてサンドイッチを噛み切った。
咀嚼していると、古賀が三鶴の頬を軽くつつく。
「よく噛んで。ぐちゃぐちゃにして。とろけるまで飲み込んじゃだめだよ」
言われた通り噛みつづけていると、古賀はまた三鶴の顎から喉元に指を這わす。くすぐったさに抗えず、思わずまだ噛み潰し切れていないまま、口の中のものを飲み込んだ。
古賀は三鶴の喉の動きをそっと撫でると、また胸まで指を這わす。今度はもう少し下がり、腹筋の近くまで撫でおろした。
「最初のひと口は、もう胃に届いたかな」
上下に指を動かし、さわさわと優しく撫で続ける。三鶴はもどかしいくすぐったさと温かな指の感触に勃起した。肩越しに三鶴を見下ろしている古賀にもそれは見えているだろう。
「もう一口、食べようね」
サンドイッチを噛み切る。パンの間からマヨネーズソースが垂れて古賀の指を汚した。古賀はその指を三鶴の唇に押し当ててソースを塗り付ける。
「舐めて」
優しい声音だ。三鶴は素直に舌を伸ばして自分の唇を舐めた。古賀が三鶴の耳朶を舐める。三鶴がびくりと体を揺らす。
「俺の指をきれいにしてくれたお礼だよ」
古賀の指が三鶴の喉をくすぐり、シャツの縫い目に沿って下へ下へと進んでいく。
「あれ、三鶴くん。こんなところに食べ物をこぼした?」
言いながら、古賀は三鶴の胸の突起に触れた。三鶴がひゅっと音を立てて息を飲む。
「ふふふ。冗談。冗談だよ」
古賀の指が三鶴の乳首をぐいぐいと押す。軽い痛みを感じて三鶴はまた体を後ろに押しやった。古賀の股間に乗り上げる形になる。古賀もいつの間にか勃起していた。
冗談と言いながら、古賀は執拗に三鶴の乳首を捏ねまわす。布越しに擦られてヒリヒリと痛みだした。
顔を歪めている三鶴の頬を古賀が舐める。
「ああ、ごめん。痛かったんだね。ちょっと見せて」
シャツのボタンをさらに下まで開ける。三鶴は抵抗しようと身を捩ったが、古賀は三鶴を抱きしめ、器用に片手でボタンをはずしてしまった。
シャツを左右に大きく開けて、両の乳首を露わにする。擦られていた片方が少し赤くなっている。
「ちょっと赤くなっちゃったね。薬を塗ろう」
ポケットから軟膏のチューブを取り出し、蓋を開ける。三鶴も幼いころから見慣れた薬だ。安心して身を任せる。
乳首と同じほどの量の軟膏を指に取る。その軟膏を三鶴の乳首に乗せた。冷たい感触にぴくりと胸が震える。古賀はほんの軽く軟膏を押さえ、指をそっと上げる。軟膏は糸を引き乳首と指を繋いだ。
軟膏のわずかな動きを胸の突起で感じる。三鶴は初めて味わう不思議な感触に意識を集中させた。乳首の頂点に乗せられた軟膏は、古賀の指の動きに合わせて、少しずつ乳首全体を覆っていく。
「塗りこんでいくよ」
古賀が三鶴の耳元で囁いた。
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