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第28話
痛みよりも恐怖を感じて、三鶴は身を捩った。か弱い三鶴では百地の力を超えることは出来ず、逃げられはしない。
三鶴が暴れるのをやめるまで、百地はじっと待った。粗暴に見えた百地がなにも仕掛けてこないことで三鶴はだいぶ落ち着きを取り戻した。
そのタイミングを突いて、百地が三鶴の太腿に両手をかけ、抱き上げた。百地の胸に背中を押し付ける形で、三鶴の両脚を大きく開かせる。
不安定な姿勢で落ちそうになり、三鶴は百地の腕にすがりついた。
「あれえ、三鶴くん。縮んじゃってるねえ。百地が怖かった?」
「うるせえ、佐治。どうでもいいから、とっとと勃たせてやれよ。いつまでも終わらねえぞ」
「えー、勃たせるって、どうやって?」
「しゃぶれば」
百地が口にした恐ろしい方法を聞いて三鶴は真っ青になる。
「俺、男は趣味じゃないんだよね」
「じゃあ、荒川」
「カメラ係だ、動けないよ」
「うーん。やっぱり三鶴くん。自分で勃たせてくれないと困るよお」
三人とも手を出さないと分かってホッとしたが、拘束されて腕も上手く使えそうにない。どうすれば自身を勃起させられるか考えも及ばない。
「三鶴くん、腰振ってみせて」
荒川の言葉で羞恥心が戻ってきた。カメラの前で大きく開脚して性器を映され、さらに腰を触れと言われる。自分の幼い性器が無様に揺れる姿を人に見られる。
恥ずかしさが頂点に達して、耳の中に心臓があるかのようにドクンドクンと動悸が激しい。脚がぴくぴくと痙攣する。
「おい、早くしろよ。腕が疲れて、落とすかもしれねえぞ」
耳元で百地に囁かれ、ゾッとした。大した高さではないはずだが、目が見えない状態で放り出されることは受け入れられようもない。
三鶴は唇を噛みしめると、腰を上下に振った。性器がぺちぺちと股間で跳ねる。恥ずかしさで動きを止めた三鶴に、百地がまた囁く。
「もっとだ。勃つまでやれ」
ぎゅっと唇を噛んで腰をふる。ぴたぴたと素肌に触れる性器に、もどかしい快感が生まれた。少しずつ性器に血が集まる。見えないが、勃起していくのが分かる。
誰とも知らない人間に、この姿を見られると思うと、いたたまれなくて目をきつくつぶった。
「三鶴くーん、がんばってー」
佐治が明るい声援を送る。まだまだ腰を振り続けねばならないらしい。
「なかなか勃起しないね。百地、腰もっと突き出させて。お尻広げてね」
荒川の言葉通り、百地が三鶴の太腿に掛けた手をぐっと持ち上げ、臀部をカメラの前に晒した。青くなった三鶴は大きく首を横に振る。
「なんだよ。今更、純潔ぶってみせてどうするんだ? さんざん古賀に突っ込まれたんだろ」
首を横に振る。それ以外、三鶴に出来ることはなにもない。古賀が三鶴のトラウマを引き出さないようにと気遣ってくれていることなど、誰にも言いたくはない。
「挿入したところは、撮影した動画で確認出来なかったよ」
冷静な荒川の声で、百地も納得したらしい。黙って三鶴を揺すりあげ、一層、脚を大きく開かせた。その強い揺れで性器が強く肌に当たり、三鶴は完全に勃起した。
「えーとねえ。古賀くんっていうのは、三鶴くんの彼氏なんだー。三鶴くんは、彼氏がいるのに、皆に全裸を見せて勃起する淫乱くんでーす」
否定したかった。けれど佐治が言ったことはすべて事実だ。誰かも知れない人に裸を見せつけていると思うと、恐ろしくて泣きたくなる。
だが一方で、誰かが自分の裸身を見て興奮するところを想像すると、ますます性器が大きく勃ち上がる。
自分のなかに、こんなに淫らな欲望が眠っていたことに絶望して、三鶴は泣き出した。
涙はアイマスクがすべて吸ってくれた。嗚咽は声を抑えることで喘ぎ声と誤魔化せる。
絶対に、心を折ることだけはしない。これ以上、弱みは見せない。そうしないと、もう二度と古賀の顔を見ることが出来ない。
身動きしなくなった三鶴に、三人はなにも話しかけてこない。性器の撮影はこれで終わったのだろうか。
ほっとしかけた三鶴の性器が、いきなり握りこまれた。軽く引っ張られ、快感が脳天まで駆け上った。射精した。
いつもより勢いよく、長い射精だ。百地が三鶴を右に左にと向きを変えさせる。自分が無様に喘いでいる姿が右からも左からも観察されてしまう。
「三鶴くん、お尻ヒクヒクしてるよ。本当に処女なの?」
荒川が厳しい声で尋問する。
「違うんじゃないかなー。荒川、カメラ替わるから、ちょっと確かめてみてよ」
「壊すなよ」
佐治と荒川が位置を交代したらしい。マットに上がってくる足音が聞こえる。一歩ごとに絶望が近づいてくる。
無言のまま、荒川の手が三鶴の太腿に触れた。びくりと跳ね上がった三鶴の臀部を荒川が撫で上げる。
「感度はすごく良いんだよねえ。まあ、毎日まぐわってれば、そうなるか」
「まぐわるって。お前、江戸時代の人間か?」
百地の呆れたような声に荒川は神妙な口調で答える。
「二人のまぐわいって、セックスって言うには鬼気迫るものがあるじゃない?」
「知らねえよ。男に興味ないって言ってるだろ」
「性別は関係ない。性的な感覚には無意識の発露がある」
「いいから、ケツ調べろ」
荒川は大きくため息を吐いてから、三鶴の臀部に触れた。びくびくと三鶴の体が跳ねる。
臀部を二、三度揉んでから、荒川は三鶴の肛門に手をかけ、左右に広げた。三鶴の反応はますます激しくなる。
荒川の指が肛門に差し込まれた。三鶴は背を反らせて二度目の射精を迎えた。
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