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第11話

「……はぁっ……はぁっ……くっ」  圭の名前を口にした瞬間、中が痙攣してキツく締め付けてしまい、東雲の余裕ない息を呑む声が聞こえた。意識を失いかけた俺を引き戻すかのように激しくキスをすると、程なくして吐精が始まる。吐き出された精液が中にじんわりと広がり、器用に腰を数回振ってたっぷりと出される間もぼんやりとした意識の中、圭のことが頭を離れない。そのせいかいつもよりも快感の波は尾を引いて、身体の震えが止まらなかった。  東雲が中から出ていくと、どろりと垂れた精液が太ももを伝い、量と濃さに唖然としていると甘ったるい声が降ってくる。 「最高に気持ちよかったよ。キミもいつも以上に感じてたね、嬉しいよ」  自信たっぷりな口ぶりが不愉快極まりない。お前のテクニックじゃないと喉のここまで出かかったのを飲み込み、愛想笑いを浮かべた。  気を良くした東雲にさほどインターバルを置かずに再び押し倒され、本格的に意識を飛ばしたのはそれからすぐ後だった。 「気がついた?」  どれだけ経ったのだろう。意識が戻った時、東雲が満足そうに俺を見下ろしていた。 「どのくらい……」 「一時間も経ってないくらいかな。もう、今夜は一緒に泊まろう。さっき、ディナーも予約したよ」  いつもより気を許されたと思っているのだろう、今日は引き止め方が強引だ。ディナーも、ましてや泊まるだなんて絶対にいやだ。厭らしい東雲のことだから、夜通し抱かれるのが目に見えてる。紳士的に振舞っているつもりでも、こうして隙あらば俺をどうにかしたいと思ってるのが気持ち悪い。 「いえ。かっ……」  キッパリ帰ると口にしようとして、そうはさせないとでも言うように、東雲が覆いかぶさってくる。お互いに全裸だから、東雲の下半身の変化にもすぐに気づく。 「今夜は帰したくないな。たまには独り占めさせてくれてもいいじゃないか」  そう言いながら硬さを取り戻したソレを押し付け、足の間に割って入ってくると後ろに手を回した。 「だ、だめです……帰り……んっ……」  何度も中に出された後孔はすんなりと指を飲み込んでいく。 「もっとここに出したい……いいだろ?」  指の侵入により東雲が出した精液が再び溢れ出しシーツを濡らすと、両足を抱えて尻を晒すように促される。 「東雲様っ……もうこれ以上は……」 「啓吾って呼びなさい。二人きりの時は僕も恵と呼ぶから」  ぞわりと鳥肌が立った。恋人でもあるまいし、そこまで踏み込んで欲しくない。こうしてセフレのような真似をしているのに今更だといえば今更だが、許すのは身体だけでいい。でも、東雲は完全に自分の愛人気取りでいる。 「そこまではっ……無理です」 「仕方ないな。じゃあ、セックスをする時だけで構わない。名前で呼んでくれ」  引き下がらない東雲が、乱暴に先端を後孔に宛てがうと一気に突き入れてきた。 「……ん、あっ」 「恵っ……」  吐息混じりに名前を呼ばれ、泣きそうになった。こんな男に呼ばれたって嬉しくもなんともない。圭ならもっと優しく……いや、ぶっきらぼうに呼ぶだろう。それでも言葉の端々には優しさが滲み出る。数日前、圭にされたことを再び思い出し強く目を瞑り、抱きしめられたその先を妄想し東雲の腰に足を絡めた。洗面台の縁に足を乗せ、圭を受け入れると強く抱きしめながら何度も突き上げられる。気持ちいいと漏らすと満足そうに笑い、そんな顔を見た俺は満たされもっと奥に欲しいと口にする。 「恵、気持ちいいかい?」 「……い、い……気持ち……っ……いいっ……んっ、あぁ……もっと奥に……してっ……」  揺すられながら、俺は妄想と現実の狭間で快楽の渦へと飲み込まれていく。 「相変わらず魔性だな。でも、そこがたまらない。恵……可愛いよ」

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