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出会い エナ1
契約精霊についてと、前作までのキャラなどの説明回になります。
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僕の名前はエナ。歳は二十歳。精霊の白猫、ドナと契約している上位魔族だ。
この世界の上位魔族は猫科の動物に翼が生えた姿の精霊と契約出来る。精霊は魔族の本質を見て契約するから、悪人は契約精霊を持てない。そして格の高い精霊は、魔力が高い魔族以外には見向きもしない。
だから格の高い精霊と契約している魔族は無条件で信用されるんだ。
精霊の序列は、猫科動物の強さと比例する。
一番強いのは虎。次にライオン、ジャガー、豹、ピューマ、ユキヒョウ、ウンピョウ、チーター、カラカル、サーバル、猫、と続く。
豹、ピューマ、ユキヒョウはそんなに大差がなくて微妙なとこみたいだけど。
そして、純白、漆黒が最上級。例えば猫でも、白猫や黒猫で、翼が純白か漆黒な者は格が高い。
つまり、僕のドナは白猫なのでそれなりに格が高いらしい。
今の魔王様の契約精霊は黒ジャガー、先代魔王様はライオンだ。そして、魔族最強と呼ばれるカグヤ様は白虎と契約している。ちなみにカグヤ様は先代魔王様の娘で現魔王様の妹君。次期魔王候補の母君でもある。
魔王は世襲制ではないが、魔力の多さと精霊の格で決まるので、どうしても魔王様の身内から次の魔王が出やすい。
後は向き不向き。魔族最強のカグヤ様は自由過ぎて、自ずから魔王を辞退されたという。
契約精霊との関係をもう少し説明する。
契約精霊とは憑依が出来る。そして憑依には段階がある。
まず普通の憑依。精霊が魔族の体に入り見た目は翼の生えた獣人になっているが、別々に人格が存在している状態。
この状態でお互いの意識を切り離す事も出来る。
で、完全憑依とは、魔族と精霊の意識が完全に同化し別人格の一個人となった状態で、戦闘能力も格段に跳ね上がる。
別人格と言っても、基本的には元の魔族よりの性格で、好戦的になる程度だけど。まぁ、元の自分を客観的に見れたりはするかな?
名前も魔族と精霊を合わせたものに変わる。僕は完全憑依した際には、エナとドナでエドナと名乗っている。
僕の父と兄も上位魔族で騎士だ。騎士と言っても、魔王様はとんでもなく強いので、近衛兵は存在しない。二人とも街の治安を守る騎士団に所属している。契約精霊も父はアジアチーターで、兄はウンピョウ。猛獣系の契約精霊を持つ者は戦闘能力も高い。
だが僕は戦闘には向いていない。魔族でも人族でもドラゴン族でも魔物でも、傷つけるのは嫌なんだ。白猫だしね。まぁ、契約精霊が猫でも強い魔族はいるけれど。
しかしまぁ、今は平和な世の中だ。人族との国交も復活し、魔王さまは人族の男性と結婚された(同性婚はどの種族でも認められている)。更に最近、ドラゴン族とも和解したらしい。
なので、国民が兵士として駆り出される事もないし、無理に戦う必要もない。
だから、僕は得意の回復魔法でちょっとした怪我や病気を治す、病院もどきをやっている。エドナ診療所だ。回復魔法を使えない魔族は多いのでそれなりに繁盛している。
大病やひどい怪我は治せないが、毎日淡々と病人や怪我人を治す日々。
けど僕はそんな日常に満足していた。
「エナ、若いんだからもっと色々楽しんだら?彼氏か彼女作るとかさ?エナはモテるんだから。」
ドナの言葉に苦笑しつつ答える。僕は恋愛に全く興味がない。
「せめて彼女だけにしてよ?まぁ、けど別にいらないなぁ。ドナだけで充分だよ。」
なのに、カグヤ様の娘、カグラちゃんが連れて来た美丈夫によって、僕の平和な日常が崩れて行く。
一般市民な僕だが、実は、魔王様たちとは面識がある。父さんは元々前魔王様に仕えていたし、兄のコウは、昔カグヤ様に鍛えていただいた事があるんだ。コウ兄は僕とは十歳差、当時僕は五歳だったけどすごく良く覚えている。
コウ兄は、昔から今は嫁であるリン兄の事が好きで好きで堪らないのに、アプローチの仕方が下手すぎる残念な男だった。
戦闘能力も高いはずだが、戦い方が分かっておらずいつもリン兄にボロ負けする。なのに、嫌がられても何度も何度も勝負を挑み、勝ったら付き合ってくれとか言う始末。そんなコウ兄を鍛え、リン兄の横に居てもおかしくないいい男にしてくださったのがカグヤ様だ。
なので今でもコウ兄はカグヤ様に傾倒しており、カグヤ様の言う事には何でも従う。最近は、カグラちゃんが連れて来た、イアンくんというドラゴンを鍛える手伝いをしていたようだ。
で、カグラちゃんがそのイアンくんとともに、もう一体のドラゴンを連れて来たんだけど・・・
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