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出会い エナ2

 ドラゴンと言っても人型となっているので、二人とも超絶美形だがそこまで奇異ではない。が、連れている契約精霊が伝説のドラゴン?! イアンくんの契約精霊は青龍。 そして・・・もう一人の美丈夫の横には、上半身が黒い翼を持つ十歳くらいの美少年で、下半身が龍のテュポンがいた。 大きさは魔族の子どもくらいだが、とにかく目立つ。そして、その横にいるのも超絶美形だから更に目立つ。 カグラちゃんが言う。 「エナちゃん、いきなりごめんね?ちょっと紹介してもいいかな?まず、コウ兄が鍛えるのを協力してくれたイアン。そのおかげでイアンは青龍のアンクと契約出来たの。で、その横もドラゴンで、最南の島の王族なのよ。名前は・・・」 「カグラ、オレが自分で紹介してもいい?うん、ありがとう。 エナ、初めまして。オレの名前はティム。こっちはオレの契約精霊でテュポンのノン。カグラのおかげで、今度ドラゴンの谷が統一される事になったんだ。オレたち最南の島の王族もそれに協力してる。それが済んだらドラゴン族と魔族の国交も始まるだろう。オレはその報告とお願いを魔王様にしに来ているんだが・・・」 だが・・・?正直それが僕に何の関係があるのか分からない。 「魔王様にはすでにお会いしたし、谷統一の目処はだいたいついているんだ。やらなきゃいけない事はほぼ済んで、後、二十五日魔族の国に居られる。エナ、君の話をカグラに聞いてどうしても会ってみたくなった。だから無理を言って連れて来てもらったってわけ。」 だから何で?何で僕になんかに会いたかったんだろう? 「そして会って確信したよ。君は僕の番だ。」 ・・・はぁっ??!!! ドン引きしている僕に構わずティムは喋り続ける。 「最初は名前に反応しただけなんだ。ほら、オレはテュポンだから。テュポンの伴侶はエキドナだろ?君の名前がエナで契約精霊がドナと聞いて興味を持った。 で、カグラに話を聞くと、顔も姿形も、性格もオレ好みっぽいんだよね?これは会ってみるしかないって思うじゃない?そして実際に君に会って一目惚れして確信した。 エナ、君はオレの番だ。どうかオレと付き合ってくれ。」 僕は動揺して思ったままの言葉を口にする。 「い、意味が分からない。僕の理解力が乏しいの?そもそも番なんてドラゴン族には本当に信じられてるの?!」 カグラちゃんに促され、イアンくんが答えてくれた。 「えっと、エナ様、初めまして。ドラゴン族のイアンです。コウ様にはお世話になりました。あの、番の件ですが、ドラゴン族の間でも御伽話の部類です。夢見る幼体の中には本気で信じているドラゴンもいるかとは思いますが・・・成体では信じている者はほぼいませんね。魔族や人族の赤い糸くらいの認識です。」 「おや?イアン。オレは信じているんだよ。ほぼの中にオレは含まれない。」 ア、ソウデスカ・・・ダメだ。思い込みが激しいタイプか?下手に刺激してストーカーになられても困る・・・って、ドナ??!何でフラフラとノンに引き寄せられてるの??何かふにゃふにゃだし?!いつの間にかノンの腕に抱かれてる?! 「ふふっ、精霊は素直だね?おそらくもうノンとドナは精神的に繋がってるよ。もちろん性的な意味でね?」 「えぇっ??!!!僕のドナに何をするんですか?!」 「イヤだなぁ。精霊同士の繋がりは、決して強制出来ないよ?ドナは自分の意思でノンと繋がったんだ。そして、例え契約者でも精霊の意思を否定する事は許されないはずだ。」 うぐっ!そ、そうだけど・・・ 「精霊は本能で見極めるからね。ノンが自分の番だってすぐに分かったんじゃないかな?」 実際にドナが、自分からノンのところに行ったのを見てるから否定できない。 「エナ、すぐにオレが番だって分からなくても仕方ない。けど、オレにチャンスをちょうだい?しばらく一緒に居させてよ。仕事の手伝いもするし、ゆっくりオレを見極めてくれたらいい。 それに、あの状態でノンからドナを引き離すのはかわいそうだろ?」 確かにドナは引き離せそうにないし、とりあえずうなずいた。正直どうしたらいいのか全然分からないんだけど・・・ 僕と同じくらいドン引きしていた、カグラちゃんとイアンくんが帰り、僕は仕方なくエドナ診療所に、ティムとふにゃふにゃのドナを抱っこしているノンを招き入れた。

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