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ピクニック エナ3
僕は敷物を広げ、マジックバッグから出したお弁当を並べた。
ごく普通のお弁当。たくさんのおにぎりと、から揚げ、ハンバーグ、卵焼き、ポテトサラダ。海老フライもあるからタルタルソースも作って来たんだ。一応彩りと栄養も考えて、ブロッコリーとプチトマトも入れている。
「どうぞ。お口に合うか分からないけど・・・」
「うっわ、めちゃくちゃ美味そう!!いただきます!・・・うっまぁ?!何これ?ヤバいくらい美味いんだけど?!」
ティムはむしゃむしゃ食べまくっている。特にタルタルソースが気に入ったみたいで、から揚げにも付けてチキン南蛮みたいにしている。タルタルソース作って来て良かった。
「マジで美味くて感動だよ。店出せるレベルじゃないか?このから揚げ、そのままでも充分美味いけど、タルタルソース付けたら泣くほど美味い。」
「泣かないでよw 今日のメニューのほとんどは、ランさんっていうカフェを経営してる魔族のお姉さん直伝なんだ。
ランさんは、コウ兄の奥さんのリン兄のお母さんなんだよ。あっ、ティム、王宮に居るんだったらルイくんも知ってるよね?次代の魔王様候補の一人、ルイくんもランさんの息子さんだよ。」
「へぇ?そうなのか。リンにも会った事があるよ。綺麗で有能な男だった。ルイもいい子だよな。可愛いし。」
「・・・わざわざ綺麗とか可愛いとかつけなくてもよくない?」
「エナ?何言ってるんだ?そりゃ、リンは綺麗でルイは可愛いけどそれだけで・・・」
「・・・ほら、また綺麗、可愛いって言った・・・」
「エナ、妬いてくれてるの?嬉しいなぁ。好き、大好きだよ、オレの唯一の番。オレが愛してるのはエナだけだから安心して?」
「あっ、いや、僕そんなつもりじゃなくて・・・ただティムが他の魔族の事を綺麗とか可愛いって言うのが何か嫌で・・・これって妬いてるの?」
「あぁ、エナ!オレ、弁当を堪能したいのに誘惑しないで?我慢出来なくなる。」
「僕、そんなつもりじゃ・・・ほらっ!食べよう?卵焼きもハンバーグも自信作なんだよ?」
慌てて僕はフォークに刺した卵焼きをティムの前に突き出す。あっ?でもこれって・・・
満面の笑みで口を開けるティム。今更引っ込みがつかず、「あ~ん」をしてしまった。
「うん、本当だ。美味い。甘くなくてオレ好み。エナは可愛いくて、優しくて、料理まで上手いなんて最高の番だよ。」
僕はまた真っ赤になりながら、おにぎりを頬張った。
結構な量があったのに、ティムがほとんど平らげた。流石ドラゴン!絶対余るって思ってたのに。
空のお弁当箱を片付け、さっき冷やしておいた桃を泉から出す。よく熟れていたので指で皮を剥き食べていると、ティムがまた口を開けて催促する。仕方ないから齧らせててやると、僕の指まで口に含まれ、桃の果肉と一緒にぐちゃぐちゃに咀嚼される。種はポトリと地面に落ちた。
「ひぁっ?!ヤダ、やめて?」
桃を飲み込んだティムは指を解放してくれたけど、酷く色っぽい目で見つめられて、僕はドキドキしっぱなしだ。
「オレはずっとエナを食べたいと思ってるんだ。エナがその気になったらいつでも言ってくれ。」
「えっと・・・僕、その、こんな真っ昼間に外で言いにくいんだけど・・・」
「大丈夫。こんな所に誰も来ない。外だけど、オレしか聞いてないから安心して?」
「うん・・・僕、恋愛もした事ないし、自分が受け入れる側って考えた事もなかったんだ。今はティムにならいいって思ってるんだけど・・・その、最後までって、僕が決心するの待ってたらずっと出来ないと思うんだよね。
だから、日を決めて時間を作って、その日に最後まで抱いてくれない?僕が怖がっても止めなくていいから。きっと、ゆっくり時間をかけてしてくれたら大丈夫な気がする。僕、すぐにいっぱいいっぱいになっちゃうけど、ティムの事は信用してるし、受け入れたい気持ちはあるから。」
何か支離滅裂?ちゃんと伝わったかな・・・?
「エナ・・・オレはすごく嬉しいけど、本当にそれで大丈夫?」
「もし、本当に本当に、僕が無理そうならティムはやめてくれるでしょ?だから大丈夫、だと思う。
それにね?僕もティムとそういう事するのは、す、好きなんだよ?き、気持ちいいし。最後までが怖いだけで・・・」
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