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第5話
目を覚ました時、まだオメガは傍にいて。
でも苦しそうで。
自分で自分を慰めていた。
穴に指を入れて、切なく喘ぐ。
発情期なのだ、とわかってた。
でなければ、オメガはこんな真似はしない。
しかしそれでも何故オメガはこんな真似を?
発情期をやり過ごすやり方としては適切ではない。
オメガは美しいが、自分よりは年上に見えた。
そう、27、8歳くらいに。
しっとりとした大人の美しい女性・・・のフリをしているのだ。
髪を伸ばし、化粧をして、女の服を着て。
確かに、女装した方がオメガたとバレにくいのかもしれない。
オメガは男とは違うのだ。
根本的に。
男じゃないことはすぐにバレる。
だからオメガであることを隠している?
何故?
そして、この年頃のオメガがなんで、男を漁るような真似を?
オメガはセックスに対しては慎重なのだ。
その身体故に危険がつきまとうからだ。
大抵のオメガは発情期を迂回できるカプセルを埋め込める20歳までの間に番を見つけて、発情期を安定させ落ち着く。
それからは発情しても番のアルファがなんとかしてくれる。
稀にアルファを選ばないオメガもいるが、その場合も抑制剤などで発情期を乗り越えられるはずだ
その場合は楽ではない。
抑制剤は埋め込むカプセルほどの効果は望めない。
だが、こんな危険なことをする必要はないはずだ。
普通はありえない。
発情したオメガがベータを漁ってまわるなんて。
危険すぎる。
オメガは法律で守られている、とは言え、やはり法律を気にしない危険なベータもいて発情したオメガを酷い目にあわせ、その結果生命に関わることもある。
それに、発情したオメガのフェロモンにどんなアルファも必ず反応して襲いかかってくる。
そうなると、オメガの方が罪に問われることになる。
抑制剤を使わず、アルファを狂わせた罪だ。
このオメガがしていることは有り得ないことだった。
発情した身体を抱えて男漁りをするなんて。
でも、発情の辛さは見て取れた。
自分で慰めながら泣いてるからだ。
足りなくて。
ボンヤリとオメガを見ていた。
哀れでいやらしくて、美しい姿を。
ふと、長い髪が乱れて、項がむき出しになり、歯型がそこにあるのを確認した。
最初に感じたのは恐怖だった。
番がいるオメガに手を出してしまった。
アルファに殺される、と。
番のオメガに手を出したなら。
アルファに殺される。
そして、こっそり処理される。
そういうウワサがまことしやかに囁かれてて、あながち嘘ではないと皆思ってた。
でも。
番がいるオメガがなんでこんなことを?
番のアルファは発情期を鎮めてくれるはずなのに。
くちゃくちゃ
指で穴を弄り、尻を揺らす。
長い脚のつま先が丸まり、穴と一緒に弄っている乳首の尖りにそこで感じていることも見ていとれる。
濡れた穴。
昨日出した白濁が垂れ流しになっていて、その中の熱さもまだ覚えていた。
そのいやらしさに唾を飲む。
でも、その足りなさにオメガは泣いていた。
辛そうだった。
中を満たされたくて堪らなくて。
昨夜もオメガは欲しがった。
中にだされたがった。
おそらく。
中にだされたなら、少し楽になれるのだ。
アルファが居なければ発情期のオメガは収まらない。
番がいるのなら、番でなければ。
ベータではダメなのだか、それでも気は紛れるのだろう。
泣いていた。
それはすすり泣きで。
見知らぬベータを漁らなければならないほど辛いことなのだとわかった。
可哀想さが、番のアルファへの恐怖に勝った。
ベータは起き上がり、泣いてるオメガを背後から抱きしめた。
なんとかしてやりたい、と思ったが。
流石にもう無理だとも思った。
でも、何とかしてやりたかった。
「辛いんだな」
ベータの言葉にオメガは泣いた。
発情期の苦しさからではなく。
「中に出されたら楽になる?」
聞いた。
オメガはこくこくとうなづいた。
「わかった。任せろ」
ベータは言った
生まれて初めて抱いたオメガは美しくて綺麗で、あまりにも憐れだった。
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