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第6話
「いいのか、マジで」
流石に友人達は躊躇っていた。
自分の家にオメガを連れてきた。
そこに友人達も集めた。
「オメガを抱いてみないか」と。
好奇心で来てはみたものの青年達は尻込みもしていた。
普通の青年達なのだ。
オメガを好きに抱いてもいい、そう言われても、本当にいいのか、本当にそれは悪いことじゃないのか、悩めるくらいにはマトモな青年達だ。
だから呼んだ。
オメガを酷い目にあわせるつもりなどないからこそ。
「・・・ヒートが収まらないらしいんだ。中に出されたら少し楽になるらしい。大丈夫、人助けだから」
そう言った。
とりあえず彼女のいないベータの友人で、口の硬そうな連中を4名ほど集めた。
出来るだけ普通で、でも、まあ、そこそこ倫理観は緩くて、でも、犯罪とかには縁遠い連中を。
確かに自分はばっとしないベータだけど、人付き合いと交友関係はそれなりにある。
ベータの中でなら。
わずか1時間で集めることはできた。
「でもオメガのことならアルファが・・・なんとかするんじゃ」
一人の友人が言いかける。
そう、オメガに関することなら何でもアルファが出しゃばるものだ。
番のいないオメガで、番は作らないで性行為はしたいオメガのための、アルファ相手のマッチングとかもあるのだ。
番は作りたくはないが、オメガを抱きたいアルファと、アルファに抱かれたいオメガのためのマッチングアプリは推奨されている。
健全なアルファとオメガにはアルファとオメガとのセックスが必要ということで。
ベータと結婚したアルファやオメガにはこれを利用している者もいるらしいという噂だ。
もちろん、そんなモノを必要とせず、ベータのバートーナーだけとしかしないアルファとオメガもいる、らしい、が、ベータを選ぶアルファもオメガもほぼいないので、実態はあまり分からない。
「・・・アルファは嫌いらしい」
そうとだけ言った。
そういうオメガもいることは間違いない。
極めて稀だが。
オメガを拒否するアルファももっと稀だかいる。
だが、本当はこのオメガには番がいるのは間違いない。
女装してまで、オメガであることを隠そうとしているところからも、こっそりベータを漁っていたところからも、アルファから逃げているオメガなのだと推測できた。
たまにいる。
番から逃げるオメガ。
マッチングアプリとかを使うと番に見つかってしまうから利用しないのだ。
それに。
アルファ同士は敵対関係で、協力し合うことなどほぼないが、オメガに関することなら話は別だ。
「逃げた番」を捕まえることになら、アルファ達は協力するだろう。
それは他人事ではないからだ。
アルファはオメガはアルファのモノだと思っているのだから。
「抱いてあげて」
ベータは友人達に言った。
侮辱をするな。
それだけを要求した。
4人一緒でもいいが、絶対に侮辱はするな、と。
後は好きにしてもいい、と。
オメガの心配はしてなかった。
何故なら。
オメガとベータなら4人がかりでも。
喰われるのはベータだと決まってた。
どこか不安そうで、逃げ出したい雰囲気も見せていた友人達だったが、部屋のドアをあけて、そこにいるオメガを見た途端、全員が魂を盗まれたようになった。
ベッドの上で脚を広げて自慰に狂っているオメガのいやらしさは。
理性を簡単に食い破った。
男でも女でもない。
オメガという・・・生き物。
ピンクの乳首も、その身体の線のいやらしさも。
濡れた穴が甘く光るのも、ペニスなはずなのに喰わえて弄りたくなるその場所も。
欲しがり求める濡れた瞳も、舌やペニスで塞ぎたくなる唇も。
フェロモンなど分からないベータなのに、全員が思ったのが分かる。
このオメガを喰いたい、と。
青年達が獣になる。
理性が消える。
「・・・沢山してあげて」
ベータは言って、我先にと部屋に入っていく友人達の背後からドアをしめる。
中で始まることを見たくはなかった。
なかった。
それについては考えたくなかった。
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