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第7話
魂が抜けたようになった友人達が出ていったのはその次の日だった。
友人達は。
複雑な顔をしていた。
どこか傷ついたようでもあった。
それについてもベータは理解していた。
自分もそうだったから。
オメガとのセックスは。
本気のオメガとするセックスは。
ベータには負担が多すぎる。
凄まじいセックスだ。
あんな快楽は二度とない。
だけど。
魂がすり減るのだ。
そう、酷く犯しているのはベータなのに、オメガに犯されているような気持ちになり、実際そうなのだ。
友人達はこのことを無かったことにするし、二度と自分とも連絡を取らないだろう。
それがわかった。
普通の人間は。
複数の友達とオメガを犯したりしない。
それがオメガの望みだとしても、だ。
それを当たり前のように受け入れてしまったなら、もう普通を捨てなければならないし、そうはなりたくないのだ。
アルファのようになりたくはない。
オメガのようにもなりなくない。
ベータはベータが良いのだ。
あまりにも。
アルファもオメガも獣すぎるから。
ああはなりたくはない。
アルファへの憧れと同じくらい、ベータはアルファを見下している。
それは美しいオメガに憧れて、でも見下しているのと同じで。
獣。
そう思っているからだ。
だから。
オメガに振り回され、自分たちも獣だと思い知らされて嫌悪感に苦しむのだ。
しかも獣になってしまえば、獣としてもオメガにもアルファにも叶わないのだと理解して。
傷つき、ベータはオメガやアルファを憎くさえ思う。
ベータがオメガを抱いて感じたことだった。
それが分かっていたから、友人達が、もう二度とこのことを忘れたい、でも忘れられなくでも消し去りたい記憶にするのがわかり、そして、だからこそ自分のことも遠ざけるだろうことも理解した。
いや、分かっていた。
それでも、オメガのためにそうしたのだ。
ベータは友人達が出ていった部屋に入っていく。
部屋は酷い有様で。
部屋の真ん中、ベッドですらない場所に転がされたオメガがいた。
4人がかりで犯され続けていたオメガが。
普通の青年達を獣に変えて自分を犯させていたオメガは、今は哀れな犠牲者のようだった。
酷く汚されて。
でも美しい。
オメガはすすり泣いていた。
でも。
あの耐えるような辛そうな泣き方ではなかった。
一番辛かった欲望が収まったのだ。
明日までやり過ごしたら楽になる、そう言っていた通りなのだろう。
抱き起こしたら震えた。
まるで、被害者のように。
いや。
被害者でもあるのだ。
オメガの欲望は本能であって意志ではない。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
オメガが泣いて赦しを請う。
そっとバスタオルに包んで抱き上げて、風呂へと向かった。
綺麗にしてやりたくて。
オメガは泣き続けていた。
男達に串刺しにされならがら、夢中でしゃぶり、穴に二本まて咥え込みさえして。
途中様子を見に行った時、ベータはそれを見ていた。
出してぇ
出してぇ
オメガは中に出してくれてと欲しがった。
それしか辛さを紛らわすことが出来ないから。
ペニスで突かれる度に必死で絞りとり、夢中で絡みついた襞で尻を振ってしごく。
乳首を齧られ歓び、ペニスをしゃぶられ泣き喚き、もっとして欲しいと自分からペニスを咥えていた。
獣だった。
そのオメガに青年たちも獣になる。
いやらしさ以上に恐ろしい光景だった。
それは。
だか、痴態の限りを尽くして乱れた獣は、オメガはもうそこにはいなかった。
酷く傷ついたその人だけがいた。
「こんなこんなの毎回じゃないんだ、違うんだ!!」
オメガは泣く。
何年かに1回、どうしても我慢ができない時があるのだと。
抑制剤が効かない身体なんだと、訴え続ける様子は哀れだった。
あんな自分を受け入れられないのは、誰よりもオメガ自身なのだ。
泣いてるオメガをバスルームの床にねかせ、穴を掻き出しながら、シャワーでそこを清めていく。
掻き出された指を締め付けられ、他の男達の精液を溢れさせれるそこに、それでも欲情したが、でもそれ以上に綺麗にしてやりたくてたまらなかった。
お湯や洗剤で流せる男達の跡だけは消し去って。
口の中まで綺麗にしてやり、男達のそれでも消えない跡が残る身体を抱きしめた。
綺麗にした髪を乾かし、自分のスウェットを着せてやり、部屋を明け渡している間、自分が寝ていたソファに寝かしてやった。
「こんなの・・・こんなの・・僕じゃないんだ」
泣いてるオメガの髪を撫でてやっているうちに、オメガはやっと眠った。
まだ身体はモノ欲しげにだったけれど、確かに1番辛いところは抜けたのだろう。
眠りよりも激しく欲しがりつづけていた欲望が終わったのだ。
ねむるオメガの額にキスを落としていた。
苦しくて辛いのはベータだったのに。
ベータは自分の部屋の片付けに向かう。
胸を痛ませながら。
他人に抱かせておいて。
それがオメガの望みだったとしても。
苦しくてたまらなかった。
ああ、間違ったな。
そう思った。
間違ったけどどうしようもない。
間違ったのは。
もう恋をしていた。
この哀れなオメガに。
酷く傷つき、そしてベータも傷つけてくる、この可哀想なオメガに。
おそらく恐ろしい番がいるオメガに。
何もかもが間違っていた
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