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第12話

恋人同士になって一緒に暮らしだした。 オメガはとても可愛い人で、少し天然で、何より良く食べた。 「ボクのどこが良かったの?」 そう聞かれてベータは答えた。 「オレのつくった飯を美味しそうにたくさん食べるとこ」 あながちウソではなかった。 付き合ってからすぐに一緒にくらしだして、そっと髪に触れたりはしても、キスすらなかった。 したくなかった訳ではなかった。 ただ、あんな風に始まったからこそ、それが目当てだとは思われたくなかった。 でも。 ある夜隣りの部屋で寝ているオメガが泣いてるのに気付いてしまった。 何か元気かなかったから心配して見に行ったら布団にくるまり泣いていた。 どうしたと声をかけたなら 「僕は汚い?あんなことしてたから?」 そう泣かれて困った。 「そんなわけがない」 あの日以来初めて抱きしめた。 オメガはやはり、女性とも男性とも違う抱き心地で。 オメガだった。 細くてしなやかで柔らかくて。 「好きだし、欲しいし、したい。でもしなくてもいいんだ」 掠れる声で言った。 フェロモンは分からない。 でもオメガの肌の匂いは甘い。 「して?」 オメガにいわれた。 「発情したのか?」 半年に1度だと聞いたのに。 焦る。 「ボクだって好きな人としたい。ボクは恋人とセックスした事かないんだ」 オメガの言葉が悲しくて。 強く抱きしめた。 「でも、オレじゃ足りないだろ?」 そこはちょっと切なく情けなくもある。 コンプレックスでもある。 アルファやオメガ相手だとベータなんて、みたいなのは。 「何言ってんの。発情期じゃなければそんなの問題じゃないんだよ・・・君が欲しい。欲しいんだ。ボクの恋人が」 オメガが言った。 泣いて欲しがられていたから。 拒否できるわけなく。 いやむしろ欲しくて。 ずっと欲しくて キスした。 キスしてしまえば夢中になった。 自分から服を脱がれて、その白い胸にある乳首に舌を這わしてしまう。 滑らかな肌。 女性ではない、でも男性でもない。 それは味わえばわかる。 オメガは甘い。 溺れた。 恋人は抱いてしまうとオメガで。 愛しさはもちろん、その与えられる快楽はやはり凄くて。 何でこんなに甘いのかと思いながらその乳首を齧る。 男のモノに見えるペニスもしゃぶらずにはいられない。 しゃぶり弄り、あえぐ声と震える身体に酔い、そこから迸るものを飲んだ。 そして、受け入れるためのしたたる蜜の穴。 舌まで入れて舐めていた。 恋人はどこまでも甘くて美味い、オメガだった。 どんなに我慢していても理性なんか簡単に剥ぎ取られてしまう。 たまらずそこを貫き、腰を揺らして味わってしまう。 入れた時から恋人が自分を絞りとり、絡みついてきて。 わけがわからなくなり、声をあげてただひたすら腰を振る。 「ごめん・・・ごめん・・・オレばかりごめん」 何度も達してしまい、止められなくて、泣いて謝る。 「気持ちいいよ・・・好き」 切ない声でオメガが言うのは嘘ではないと思った。 「ボクの恋人。ボクの好きな人」 オメガがとても嬉しそうに言った。 可愛い。 とても可愛い。 そう囁かれたのは自分だった。 それに恋人の自分とは違う余裕を感じてしまうが、でも、与えられる愛おしさにもっと余裕を無くした。 普段ただただ可愛いだけの恋人に、抱かれているのは自分の方だ。 導かれた。 包み込まれた。 愛された。 「可愛い・・・ボクの恋人」 恋人の囁きに、恋人を抱きしめてしまう。 愛してると叫んでしまう 快楽に責められおぼれさせられても、恋人への愛しさが、そこを間違えさせない。 貪るだけでなく、そこにいるのがだれなのかを知る。 快楽だけにはならない。 それが自分と恋人の愛だった。 「ごめんね。ボクがベータだったなら・・・」 恋人が泣いたから。 「あんたがオメガじゃなきゃ出会ってない」 そこはそこだけは強く言う。 快楽だけじゃない。 セックスだけじゃない。 自分で選んで抱きしめる。 それがオメガであろうとベータであろうと。 それが恋だと2人は信じた。 だけど。 発情期はやってくる。

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