18 / 21

第18話

オメガは狂った。 挿れられてしまえば、それこそが求めるモノだと分かってしまう。 大きさ、硬さ、熱さ、形。 何もかもが自分の為のモノ。 挿れられただけで頭がおかしくなるくらい気持ちいい。 気持ちいいところに全てがカチリとハマる。 そして、それは限界を超えて拡げられ、すり減る程に擦られるのだ。 ひぎぃ うごぉぉ 美しい顔が歪んで、鼻水もヨダレも垂れ流しになって 白目を剥き、開気っぱなしの唇から舌は出たままになる。 絶叫するのは、そうでもしないと頭がおかしくなるからだ。 氷で焼かれて、引き裂かれながら溶かされる。 なのに、身体は貪欲にもっともっとと、求めてしまう。 「ああ・・・お前だ。お前だ!!」 番のアルファが叫ぶ。 アルファも理性を無くしていた。 何もかもが自分の為のソコを堪能する 番でなければこんなにも、何もかもが与えられることはない。 絡みつく襞の1つひとつに狂喜する。 締めつけも、蠢きも、何もかもが自分のためのモノで。 長く離れていたからこそ、狂おしく、そして憎らしく、愛おしい。 「逃がさない・・・逃がさない・・・逃がすものか!!」 アルファは血が滲むほどにオメガの項に葉を立てる。 死んだと思って絶望した。 前に番が死んだ時も絶望した。 しかも逃げるために死んだことがわかって。 アルファにしてみれば、この上もなく愛しているのだ。 番を失い、生きる気力を失い死ぬアルファも多いのだ。 ベータとは違う。 アルファの愛は文字通り命懸けなのだ。 でも、街中で再びこのオメガに出会い、生きる気力を取り戻した。 また死んで逃げたと思った時の絶望がどれほどだったか。 だが。 何故か死んだと思えなかった。 前のオメガの時と違って、その死体を抱きしめていなかったからかもしれない。 自分から死んで逃げたオメガを、死体になっても抱いて。 泣きながら抱いて。 そして諦めた。 だが、焼いた骨のいくつかは食べもした。 愛していたのだ。 再びオメガを街中で見出すまで、どれほど辛かったか。 ベータを残酷に抱き殺して楽しむくらいしか出来なかった。 ベータはつまらない。 アルファに答えられない。 全ての意味で。 まだ少年だったオメガを街中で見つけた時、再び光が見えて。 欲しかったから、手に入れた。 アルファらしく自分の持てるすべての力を使って、 アルファらしく、アルファを殺して手に入れた。 可愛いがって、愛したのに。 またオメガは死んで逃げようとした。 でも。 死んだ等とは思わなかった。 死体を見つけてくらうまでは、死んだなどとは思いたくなかった。 あらゆる可能性を考えて探し続けた。 そして。 広げた情報網にひっかかった。 女装したオメガが男を漁っている、という話。 噂程度のモノだったが。 徹底的に調べ続けさせて。 そして。 やっと見つけた。 むしろ、アルファではないのに、アルファからこれ程までに良く逃げられたものたとオメガに感心さえした。 「許してやる。私以外をここに挿れたことは」 激しく突き上げながらオメガに番のアルファは言った。 許すしかない。 愛してるからだ。 他の誰も許したことなどないのに。 実の親さえ殺してる。 でも、絶対に許せないはずのそんなことさえ許してしまう。 番だから愛してるから。 だがここは。 可愛いオメガの蜜壺は、甘くて熱くて、こんなにまで自分を欲しがるここは。 他の誰が入ってもいい場所ではない。 奥にまで入れたなら、先を迎え入れて絞込み、欲しい欲しいと言ってくる。 いいっ 気持ちいい ひぃっ オメガは今では正直になって、もっと欲しいと泣いている。 可愛い。 こんなに可愛い。 二度とてばなさない。 ベータなら死んでしまう過酷さで、自分は誰のモノかを再び教え込む作業に没頭する。 「可愛い・・・愛してる!!愛してる!!!」 アルファもさけんだ。 だが。 震えて青ざめているベータを思い出す。 そしてこの可愛いオメガに入った全ての男について。 全員。 殺す。 アルファにとって当然だった。 だが、殺す前に、自分が相手だとどれだけこのオメガが可愛くなるかを見せつけるのは悪くなかった。 だからベータに見せつけてやった。 オメガと繋がる孔の拡がりも、尖る乳首でどこまで感じるかも、欲しい欲しいと泣き求める姿も 「私のモノだ!!」 アルファは叫び、オメガを犯し続けた。 ベータは拳を握りしめ、でも身動きすら出来なかった。 獣のように番あう、アルファとオメガを見つめ続けることしか出来なかった。

ともだちにシェアしよう!