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第19話

「お前ごときが!!」 番のアルファが怒鳴った。 オメガの奥で放ちながら。 震えているベータに。 「コレは私のモノだ!!」 そして、オメガの髪を掴んでその項にまた噛み付く。 尖りきった乳首、勃起もせずに零し続けるペニス、 全身を痙攣させて感じるオメガをみせつけながら。 オメガは番とのセックスを狂喜していた。 乳首を摘み上げる指の太さや形、中を貫くペニス、首筋を噛む歯それらの全てが、オメガの望むモノ、オメガが欲しがるモノで、それこそが番の意味だったから。 そう、確かに。 自分がいくら抱いてもオメガがこうはならないことはベータだってわかってた。 でも。 「違う。この人は誰のものでもない!!」 震えながらもベータは怒鳴った。 「この人は。この人自身のものだ。誰もこの人を縛る権利なんかない!!」 ベータは言い切った。 「この人は。そんなにもイイはずのあんたからも逃げて、あんたから見れば最悪なオレを選択してて、それでも、オレといたいと言ってくれたんだ。あんたのモノなんかじゃない。オレの恋人だ!!誰が何をこの人にしようと!!!」 ベータは震えていたが、声には怯えはなかった。 感じて我を忘れていたはずのオメガが泣いた。、 「愛してる・・・。愛してる・・・」 オメガは泣いた。 番のペニスによがり狂いながら、でも、そう言った。 アルファのペニスを欲しがり、搾り取りながら、それでも。 その言葉は。 だれに向けられているのかは明らかだった。 番のアルファは激怒した。 やっと、オメガの中から自分を引き抜く。 抜かれることなく出され続けた精液が孔からこぼれる。 アルファの身体か一回り膨らむ。 筋肉が盛り上がっているのが、乱れた服の上からもわかる。 アルファはズボンを引き上げ、オメガをベッドの上に投げ捨てた。 オメガは痙攣しながらも、イキながらも、でも止めようとアルファのズボンの裾を掴んだが、引き離された。 やめて ころさないで 幼なじみのアルファを殺された時にもオメガはこうしたのだろうか。 「良く言ったベータごときが。その首を折ることにしよう」 淡々と言われて、そうされるのだと分かった。 アルファなら素手でそれを行うことは簡単だろう。 ベータは覚悟した。 死ぬのだろうな でも。 いい。 きっと。 なんとかオメガだけはなんとかしてくれる。 だって【彼】は・・・ 「そうだな、【よく言った】、ベータにしちゃ大したもんだ」 開いていた部屋のドアから入ってきて、笑いながらそう誰かが言った。 番のアルファがさらに怒りに膨れ上がる。 それはアルファだったからだ。 そう、ベータやオメガと協力関係にある、オメガ嫌いのアルファだ。 アルファ相手だと、アルファは絶対に引かない。 アルファとアルファの闘争こそがアルファの人生そのものだからだ。 「お前も私のモノに手をだしたのか」 番のアルファは歯を剥く。 ケラケラとオメガ嫌いのアルファは笑った。 「ああ、どうしようもない時に処理用として使わせてもらってるよ。処理用にしちゃいい孔だ」 平然と言い放つ。 番のアルファはその中にある侮辱に怒り狂う。 自分のオメガを。 自分のオメガで。 【処理】だと? 許せない。 コイツをまず殺さなければ。 だが。 怒りに狂いながらも、アルファは思う。 何故コイツはここに入れた? 部下達がだれもここに入れないようにしているはずだ。 「そうだな。そう思うよな。オレだってこういうことはしたくなかったんだ。オレはお前らみたいな馬鹿げたアルファのゲームからは下りたんだよ。裏社会だろうが表の社会だろうが、くだらねえ」 オメガ嫌いのアルファは肩をすくめた。 「だけど、そのオメガもそのベータも、オレが可愛いオレのアイツと生きていくためには必要なんだよ。ソイツらはオレのモンだ。誰にも渡さない」 オメガ嫌いのアルファも歯を剥いた。 獣だった。 アルファという獣。 「オレのモンに手をだすのはゆるさねえ」 オメガ嫌いのアルファは怒鳴った。 それに怒った番のアルファが飛びかかってくる前に、オメガ嫌いのアルファの右手が煌めいた。 立ちすくむベータの前に。 番のアルファの首が落ちた。 「もうこういうことはしねぇと決めてたんだが、仕方ねぇ。お前らがいないとアイツと暮らせなくなるかもしれないからな」 大したことじゃなさそうに、オメガ嫌いのアルファが言った。 手には背に隠し持っていた大きなナタのような刃物があった。 それで番のアルファの首を切り落としたのだ。 オメガは気絶し、ベータは床にへたりこんだ。 「携帯でオレに連絡してきたのは賢かったな。まあ、やってる音と、このバカが喋る声しか聞こえなかったが、大体把握した」 オメガ嫌いのアルファは言った。 ベータはアルファの【命令】で動けなくされていたが、僅かに動く指でポケットの中のスマホを操作して、オメガ嫌いのアルファへ電話を繋いだのだ。 助けてもらえることを期待して 自分とオメガは、このアルファには必要なはずだから。 だがここまでするとは思わなかった。 「下にいた連中の片付けに手間取ってな、遅くなった、すまねぇ。コレも片付けておいてやる、風呂にでも入れてやって、何日かどこかへ行ってろ」 アルファは淡々と言った。 「君は一体・・・」 ベータは聞いてしまう。 アルファの競走から下りたアルファだとは聞いていた。 今は結婚したベータと小さな店をしているはずだ。 ささやかな。 「オレも昔は、コイツみてぇだったんだよ。アイツに会うまでは。昔の自分を殺せて良かったよ」 アルファは少し笑った。 そういう社会のアルファだったのだと。 それは予想外だった。 アルファの介入で、せめてオメガの保護をと願ったけれど、願い以上のことがおこった。 「アルファもオメガも何もかもがくだらねぇ」 アルファは吐き捨てるように言ったけれど、彼はアルファで自分はベータで、恋人はオメガなのだ。 それからはのがれられない でも。 「お前らはオレが守ってやるよ。必要だからな」 アルファの言葉にはその言葉以上の意味があることはわかってた。 それでも。 それでも。 本能に逆らわずにはいられない。 ベータもオメガもアルファも。 ベータは恋人を抱きしめた。 番のアルファの体液で汚れ、その歯型や指跡や吸い跡を残す身体を。 それでも。 愛しているのだ。

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