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第12話

昼過ぎに届くといっていた荷物は、ジュエの椅子だった。特別発注、オーダーメイドだと乙幡は言っていた。 「でかいな。うん、いい感じだ。座り心地もいいな」 広いリビングにはソファが置いてあったが、そこにその椅子も仲間入りしている。かなり大きな椅子だが、元々リビングが広いので圧迫感はなく、すんなりインテリアとして溶け込んだ。 「これ、ロッキングチェアですか?ジュエのでしょうか」 「そう。これを作ってる職人がいてさ、特別に大きいサイズでって頼んだんだ。 俺、身体大きいから普通のロッキングチェアだと狭いんだよ。これくらいあると、ゆったりしていいよな」 「綺麗なデザインですね。足のところに素敵なデザインが彫ってあって、独特です。色も素敵。エドが座ると凄くカッコいいです。不思議、ロッキングチェアってカッコいいんですね」 「田舎のばあさんってイメージだもんなロッキングチェアって。この工場さ、生産が少なくなっていったから、うちが参入したんだ。せっかくの職人を失いたくなかったし。だけど、ロッキングチェアって需要ないからな…どうしようかと今思ってるとこ」 綺麗なデザインと悠は見とれてしまう。 ジュエの家具はいつも惚れ惚れするほどだ。ただ高級なので何ひとつ持っていない。眺めているだけでも美しいと悠は感じていた。 「悠、座ってみる?」 乙幡に、どうぞと誘導され座ってみた。 身体の大きな乙幡が座るとゆったりとし、ロッキングチェア独特の揺れを楽しむことが出来ていた。 身体の小さな悠が座っても、揺れを起こすことは出来ず、ただ、ちょこんと座る心地良いソファのようであった。 「僕だとダメですね。全く揺れないので ロッキングチェアの醍醐味が出ません」 「うーん…そうだよな。ただのソファだな、それだと。じゃあちょっといい?」 閃いたように乙幡がいくつか指図をする。大きなロッキングチェアは二人で座ることも出来そうであった。試しに、乙幡の隣に悠が座ると揺れを感じることが出来た。 「かなり密着するけど、これだといいかもな。ゆらゆらするだろ?」 「しますします。楽しいです」 悠は嬉しそうな声を上げた。 「後は、そうだな…ここ座って、悠」 乙幡がちょっとズラして座り、足の間を開ける。乙幡の股の間に悠を座らせ、後ろから抱きかかえられる格好となった。 これが意外と安定感があり、身体全体が包み込まれるように、心地良さ抜群であった。 「すごいです、これ。安定感があって揺れが気持ちいい。エド、苦しくないですか?狭くない?」 お互いの顔が向かい合うように座る。 「全く苦しくない。狭く感じない。すごいなこれ。二人で座るようなデザインなのか?このまま寝れそうだよ、俺」 オーダーメイドのロッキングチェアに新たな発見があったと、乙幡は嬉しそうに笑う。 「悠、写真撮る?」 「あっ、撮りたいです」 ポケットから携帯を出して、教えてもらった通りに自撮りをする。ロッキングチェアに座る二人を無事撮影することができた。 「また送って、その写真」 「いいですよ」 「掃除しないと」と言いながらも、中々ロッキングチェアから立てず、お腹もいっぱいになった二人はそのまま昼寝をしてしまった。

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