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第16話※
悠との生活は順調である。自宅に来てから三週間になろうとしていた。
昼食後に毎日の日課となっているメッセージを会社で悠へ送りながら、乙幡は最近の自分の行動を思い返している。
『悠が家にいる。仕事が終わって家に帰ると出迎えてくれる人がいる。以前は、他人が家にいるなんて考えられなかったが、今では悠の姿が見えないと急いで家の中を探してしまう程だ。
俺は見つけると抱きしめ、悠のつむじにキスをする』
『お帰りなさいと言ってくれる。しかも、俺にふわっと笑いかけてくれる。俺の好きなエプロンをしたままの時もあれば、ダイニングやリビングで何か熱心に検索している時もある。どんな時も、笑顔で出迎えてくれるから、抱きしめ、悠のつむじにキスをする』
『悠は自ら得意なことだと言っている料理を毎日してくれている。休みの日や早く家に帰れる日は一緒にキッチンに立つこともある。俺は楽しくなり、悠を抱きしめ、つむじにキスをする』
(改めて振り返ると、俺はいつも悠を抱きしめ、つむじにキスをしているな。うっとおしいと思われてないだろうか)
仕事中は離れているので、写真やメッセージを送りあっている。離れていると余計にわかることがあった。早く家に帰り、悠に会いたいと思っていることだ。
乙幡のベッドで動画配信を二人で見て寝落ちした日以来、毎日一緒のベットで寝ることにしている。
ちょっと強引だけど、寝ながら海外ドラマを見ようと、乙幡は悠を毎日熱心に誘った。何が何でも一緒に寝るように乙幡は仕向けている。
意外と好奇心旺盛な悠は、一つ返事で受け入れてくれたおかげで、毎日寝起きは同じベッドだった。朝起きても隣に悠がいるのはとても幸せだ。
もう認めなくてはいけない。
乙幡は悠に魅かれている。
そろそろ爆発しそうだった。
一緒のベッドで寝ている悠を見ると、股間に力が漲り、乙幡のペニスはギチギチに硬く勃起してしまう。男に欲情するのは初めてだった。悠が特別なんだと思う。
寝る時もオーバーサイズな服に着替えているため、寝返りを打つと背中やお腹の部分が完全にめくれて、裸体を見ることになる。スウェットは、ずり下がり、パンツやお尻が見える時もある。
乙幡は必ず悠より後に寝るようにしていて、最近はその姿を目に焼き付けていた。
勃起したペニスを鎮めるためには自らの手で扱くしかない。バスルームに行き、シャワーを全開にして、乙幡は扱きまくった。
想像するのはもちろん悠の身体だ。
恥ずかしがると赤みがさす。きっと乳首も同じように赤いはずだ。口に含んだらどんなだろう。悠はどんな反応するのだろうか。あの小さな口からは、吐息はどんな音で聞こえるのだろうか。
乙幡のペニスはかなり大きい。こんな大きなものを悠は受け入れてくれるかと考える。男同士は後ろから入れた方が、入れられた方は楽だと聞くが、入れる方は興奮が止まらないだろう。悠を後から抱くなんて、想像しただけで乙幡の腰が動き出す。両手で巨根を握り、力強く腰を出し入れする。
いやらしい想像が止まらない。悠の恥ずかしがる顔を見てみたい。カサが張っている男根を入れたらどんな反応をするのだろう。そう考えると、乙幡のペニスは更に上を向き、先からダラダラと液をこぼしている。シャワーの音で掻き消しているが、それでもぐちゃぐちゃと音は響いている。両手を輪のようにして、その中に男根を叩きつけるように腰を振る。
悠を気持ちよくさせてみたい。悠の中に入れてかき回し、奥の奥まで叩きつけたい。精子の量も多いからきっと溢れて、出てきてしまうだろう。それでも漏らさずに奥まで濡らしたい。
悠の細い腰を思い出し、乙幡は腰を振る。あの尻を鷲掴みしたい。あの細い腰を掴み、ぐりぐりと巨根を入れ、肌と肌がぶつかるのを想像してしまう。
「…くっ…はっ…」
ドクドクと壁に射精した。出しきれなくて二、三度腰を大きく振る。残りの精子も勢いよく出ていた。
「…なので、少し早めに帰国しそうです。よろしいでしょうか」
急に長谷川の声が聞こえた。
昨日、ひとりで扱いたことを思い出してる場合ではなかった。昼休みもそろそろ終わり、次の会議が始まりそうになっている。
「知ってるか長谷川。今の海外ドラマはシーズン1で20話あり、今見ているのはシーズン5まで配信されている。トータルでざっと100話だ。1日1話みても100日は必要だ。毎日、海外ドラマの続きをみている。海外ドラマよ。長編でありがとう」
こっそり撮った悠の寝顔の写真を眺めながら、秘書の長谷川に伝える。
「何を言ってるんですか?悠さんとの生活は楽しそうで何よりですが、現実に戻ってきてください。海外ドラマは長編でよかったですね、最低でも100日は悠さんと一緒にいる口実ができますもんね」
(さすが、鋭い。長谷川は俺の言いたいことがわかるんだな)
「さて、木又和真の報告か。聞こう」
社長の顔に戻る。
「現地での展示会の準備が早く終わりそうなので、木又和真が少し早めに帰国しそうです。よろしいでしょうか」
「そうか、いつになりそうだ?」
「来週ですね」
少し早めの帰国となるが、乙幡はもう和真の元へ悠を返すことは考えていなかった。
悠もやっと今、塾講師の仕事も再開し、やりたい事、得意な事を素直に言えるようになってきていた。
ビクついた生活をしていないため、表情も豊かになり思考が正常に働き始めていると感じる。だから今、和真の所へ悠を戻すと元に戻ってしまうと考えていた。
「悠さんにも来週に木又が帰国することは、伝えた方がいいでしょう」
「そうだな。悠には俺から伝える」
これからのことを伝えないと、先には進めない。今日は週末なので明日からは、悠と二人の時間が取れる。
「それと、ポッシュシリーズですが、展示会に間に合わせるためには、そろそろ発売を決めなくてはなりません。悠さんが手がけたあの広告デザインを使うか、使わないかを判断する時になりました。アメリカの工場から航空便で展示品はそろそろ届きます。展示会までは、うちの倉庫に保管しておきますから」
ポッシュシリーズは特殊な布を使ったジュエの新シリーズとなる。今回の展示会の目玉と考えていた。
広告デザインに問題が出たため、今は発売せず発表を延期している。展示会ではこのシリーズを全面に押し出す予定なので、使う広告デザインをどうするかを早急に決定しなくてはならない。決定が遅れると展示会には間に合わなくなってしまう。
(まあ、そのためにも和真に早く帰国してもらって、すぐ話し合いだな)
「わかってる。問題は全て片付ける」
会社のことも、悠のことも乙幡がやるしかない。他の誰かにやらせることなど、考えたことはない。それには自分の判断が一番大切で、重要だとわかっている。
間違えない。必ず正しい道に進めるよう、行動を起こす、そう思っている。
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