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第17話※

平日の朝、会社に出勤する乙幡は、スーツに着替えダイニングに顔を出す。 キッチンで忙しくしている悠は、乙幡の姿を見て、テーブルに朝食を並べる。 その後、二人一緒に食べるのが日課になっていた。 部屋着の乙幡は、Tシャツにスウェット姿だが、スーツ姿になると途端に色香が増してくる。 ウェーブのきいた髪の毛は普段家にいる時は無造作なままだが、スーツ姿の時は後ろに撫で付けているので、それもまた男の色気が出ている。 身体が大きく筋肉質なので、ガッツリとしており、美丈夫という言葉がぴったりだった。 悠は、スーツ姿の乙幡にドキドキしていた。毎日、キッチンからこっそり写真を撮っている。リビングのソファに座る乙幡、立ち姿でコーヒーを飲む乙幡など、携帯電話の写真フォルダは乙幡でいっぱいになっていた。 もちろん、風呂上がりや部屋着の乙幡の写真も収めてある。Tシャツにスウェット姿も身体の線がはっきり浮き出て、セクシーだと感じた。 毎日ひとりになると乙幡の写真を眺めてしまう。スーツ姿も部屋着もどれもこれもカッコいい。この身体に毎日抱きしめられていると思うと、下半身にチカラが入らなくなり、立ち上がれなくなってしまう。何度も写真を眺めているうちに時間が経ってしまうことがあった。 乙幡は姿だけではなく、悠の深層心理を気付かせてくれ、アドバイスや方向を示してくれると思っている。それに最も気が合い、同じ感覚を持っている人だとメッセージだけを送り合っていた時から感じていた。 乙幡が出勤し、悠ひとりになり、毎日行なっているノートへの書き出しをした。最近は、塾講師の仕事も忙しくなってきたので、書き出し内容が困った事や悩みは少なくなっており、充実しているのが感じ取れた。 しかし、一番多い内容は、乙幡のことであった。スーツ姿が好き、風呂上がりはセクシーなどから、一緒にいると楽しい、好き、離れたくない、ベッドで一緒に寝るのが好き、ロッキングチェアで抱きしめられるのが気持ちいい、後ろから抱きしめられるの好き、つむじにキス、好き、ひとりになっても考えてる、メッセージ嬉しい、好き、など書いてあった。 (もう…好きばっかり…欲求不満なのかな) 自分自身に恥ずかしくなることばかり書いてあった。こんなのを見られたら、たまらないと思いながらも、書けば書くほど乙幡への思いが溢れてくる。 自分の気持ちに目を瞑ることはできない。悠は乙幡に魅かれている。 魅かれないわけにはいかない。 悠を構い、導いてくれる頼もしさを感じる。夜はさみしくないように、悠をひとりにさせない気遣いや、料理や掃除まで何をやっても褒めてくれる。 迷惑をかけたにも関わらず、悠が手がけたあのデザインが好きだといい、抱きしめてくれた日があった。あの時、悠も乙幡と同じ気持ちだった。ジュエから依頼されたメッセージを正しく受け取ることが出来たんだなと感じていた。何とも言えない二人だけの気持ちが繋がった瞬間だった。 乙幡に抱きしめられ、つむじにキスをされるとムズムズしていつも顔を上げたくなる。顔を上げないようにじっと我慢をすると、悠の視線は乙幡の胸板になる。 身体が大きく、胸板も厚く男らしい。雄の匂いを強く感じる気がする。触りたくなり、キスをしたくなる衝動を感じる時もあった。 ひとりで書き出していたら乙幡の姿を思い出し、悠のペニスが立ち上がってきた。普段スキンシップが激しい乙幡なので、悠はいつも抱きしめられている。その時の感触を思い出した。 男の人に抱きしめられるのを想像してペニスを勃起させるのは、初めてのことだった。悠は今まで付き合った人はいないが、自分の恋愛対象は女性だと思っていた。だが、今は乙幡を思う気持ちが抑えられない。 勃起してしまったら仕方がないと、悠はシャワーを浴びることにした。 熱いシャワーを浴びながら、ペニスを握り上下にゆする。声を上げそうになってしまう。想像するのは乙幡に抱かれる自分だった。 素肌になり、あの逞しい身体でキツく抱きしめられたい。乙幡のペニスはきっと大きいだろう。男同士は後ろの穴を使うと聞いている。自分の後ろは触ったことないが、気持ちいいのだろうか。後で調べてみようと悠は思った。 後ろの穴に、乙幡の大きなペニスを入れられることを想像すると、悠のペニスはふるふると震え更に勃起してしまう。 どんな風に身体を触るのだろう。キスはされるのだろうか、荒々しいキスをすることもあるのだろうか。後ろから穴に入れられるのか、前から抱き合って擦られるのだろうか。そう想像する悠の手は止まらない。 乙幡にめちゃくちゃにしてもらいたい欲望もある。強く叩きつけて腹の中に熱い精子を注いで欲しい。きっと乙幡は精子の量も多いはずだ。きっと乙幡は絶倫なはずだから、力強く腰を振るだろう。 悠のいやらしい想像は止まらない。 「いやっ…エド…んんっ、いく…」 とうとう、『エド』と名前を呼んで射精してしまった。 はあはあと浴槽に悠の声が響く。優しくしてくれる人を想像して、なんて淫らなことしてるのかと思うが、身体はまだ収まらない。 もうすぐ乙幡が帰宅する時間なので、夕飯の支度をしなくてはと思い、全てをシャワーで流し落とす。 いつもはあまりオナニーをしない悠だが、今日は興奮してしまいバスルームで二回射精してしまったため、ぐったりとしていた。 乙幡から帰宅するとメッセージをもらっている。早く立ち上がり夕飯の支度をしなければと思うが、眠くなりそのままソファでうたた寝をしてしまった。 「悠… 悠… 大丈夫?」 声をかけられて目を開けると、部屋着に着替えた乙幡がいた。髪の毛は濡れているのでシャワーも済ませているのだろう。 「ご、ごめん。エドが帰ってきたのわからなかった。すぐご飯作るね」 「悠…」 上から覆い被され乙幡に抱きしめられる。いつもとは違う抱きしめ方に悠はドキドキし完全に目が覚めた。 「ごめん…悠、ノートが開きっぱなしになってたから見ちゃった…」 一瞬にしてノートの文字が頭の中を駆け巡る。嫌われてしまう。どうしようと身体を硬らせた時に乙幡が言った。 「悠…俺、悠のことが好きだ。毎日毎日離れていてもそばにいても、おかしいほど、君のことを考えている。好きって恋愛の意味で君のことが好きなんだ。たまんないくらい悠のことが欲しいと思ってる」 「えっ…エド…?」 「悠も同じ気持ちだと思っていい?ノートに書いてあるのはそうだよね?」 好き好きと書いてあるのを見たのだろう。はぐらかすこともうやむやにすることも出来ない。 「うん…そう…」 「俺すごく嬉しい」 キスしていい?と聞かれ、答える前にキスをされた。 頬を両手で抑えられ、乙幡の唇が悠の唇に重なり、チュッチュッと短くキスをされる。 「悠、言って欲しい。悠の気持ちも教えてくれる?」 「エド、好きだよ。毎日胸がギュッとなるくらい好きになってる」 ソファに寝ている悠の上に覆い被さるように抱きしめられる。さっきの短いキスとは違う、口内を弄るような荒々しいキスが繰り返される。 苦しいけど気持ちがいい。キスをすると胸のところに熱い空気が流れる気がする。それが何とも気持ちがいい。 身体を密着させ唇を合わせる。どこもかしこも乙幡を感じる。ハグではない、抱きしめられる快感を悠は覚えた。 「悠、ベッド行っていい?」 また、返事をする前に抱き上げられ、そのまま、いつも二人で寝ている大きなベッドに運ばれた。

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