24 / 61
第24話※
「いいの?見るよ?読むよ?」
ワクワクしているのが丸わかりの乙幡は悠に確認する。夕飯を食べ終え、ビール片手にソファで悠のノートを広げている。悠のつむじにキスをし、ノート1ページをめくり読み進んでいる。
「悠、見て!ここ、座り心地って書いてある。面白いね。ソファは寝てしまう、ロッキングチェアは思い出す?なんだろ思い出すって、うーんっと、ダイニングはやる気って書いてある」
本当だ。今まで気がつかなかった。乙幡に言われて、そんな事も書いていたんだなとわかる。やっぱり、乙幡と二人で確認すると違う角度から見えるものがあるのかもしれない。
「やっぱりさ、悠はデザインの仕事向いてると思うんだよね。こんなに色んなこと考えてるから、アイデアは豊富なんだと思うよ」
「そんなこと考えたことなかった。デザインの仕事なんて無理だと思ってたし」
「なんで?そうかな、いいんじゃない?
デザインっていうか、悠は色々できて器用だし、センスもある。向いてると思うけどなぁ…好きでしょ?デザイン。前にスーパーのワインコーナーでラベルに食いついて見てたもんな。ああいうのいいよな、綺麗だし、面白いし。まぁそれ以外でも、悠がやりたいことあれば、俺は協力するよ」
ノートを見せるのは恥ずかしい気持ちもあるが、自分では気がつかなかったこともあるもんだとわかり、乙幡とそれについて話をすると、前向きやる気を引き出してくれる。これからを考える気持ちに乙幡がさせてくれた。
隣にいる乙幡がニヤニヤとしているのに気がつく。なんだろうと覗き込むと、ノートをパタンと閉じてしまう。
「何?なんて書いてあった?」
「スーツ姿が好き、風呂上がりはセクシー、ベッドで一緒に寝るのが好きって文字を見た」
そう言いソファに悠を押し倒す。悠…と名前を呼びながら耳にキスをされる。ゾクっとすると、すかさず首筋を上から下になぞりながらキスをしてくる。肌が泡立つようになるとは、こういうことかと頭の隅で考える。
オーバーサイズの服はすぐに乙幡の手によって剥ぎ取られてしまう。袖も首もするりと脱げてしまうから、今度サイズがあった服を買おうかと思う程だ。
身体が大きい乙幡が覆い被さると、悠はすっぽり隠れてしまう。ゴリっとした感触が下半身に起きる。ソファに寝かされた悠の乳首にキスをしながら乙幡は下半身を押し付けてきている。
「ここではダメ」
きっぱりと悠が乙幡に伝えると、「なんでダメなんだ」と言う。
起き上がってびっくりしている乙幡の顔が可愛くて笑ってしまう。
「ソファが汚れるからダメ」
もう一度言う。悠だって乙幡の気持ちもわかるが、ソファやカーペットが気になってしまうのでダメだと言っているのだ。
ジュエのお高いソファの金額は想像つく。乙幡の家にあるくらいだから、恐らく自分が想像してるより高いともわかってるので、気になってしまうのだ。
それに、一度火がついた身体を引き離すのは辛い。それはお互いそうである。だからベッドに行きたいと思うのだ。ベッドだったらまだ心配しなくていい、シーツを洗えばいいだけだから。
「じゃあ、ベッドならいい?」
「いいよ…」
じゃあ行こうかと、おでこをコツンとつけて言われ素直に頷いた。
_______________
「はぁ…ううんっ、あっあ…」
「悠…口開けて…」
ベッドに傾れ込むなりキスが降り注ぐ。
口を開けろというので開けたら、口内を弄られるような激しいキスが続き、その後、乙幡の唇は、首筋にも、そして胸にも下りてきた。
自分の胸にツキンと快感が響き、気持ちが良くなることなんて知らなかった。今まで自分で触ったことなんてないしと、悠は考えていた。
乙幡の指でグニグニと乳首を潰されるのも、唇と舌で引っ張られるのも、何をしても気持ちをがよく、その反動で勃起してしまうのが恥ずかしい。
「やぁっ… エディ…気持ちいい」
「悠、声出して。悠の声、興奮する」
最近悠は、行為中に乙幡を『エディ』と呼ぶようになった。二人でふざけていて、エディと呼んだのがきっかけだった。それから、抱きしめ合い、行為が深くなると乙幡はエディと呼ばせようとしてくる。
悠はエディと呼ぶのが、行為が始まるきっかけのようで少し恥ずかしい。
それでも乙幡は悠の声を聞きたがる。声なんて出そうと思って出していない。首筋にキツくキスされたり、乳首を撫でるから出てしまう。
「そこ…いじめるから声出るだけ…」
「いじめるとか言うなよ」
グリグリと押し付けている乙幡の下半身が一際大きくなったのがわかる。スウェットを脱いでボクサーパンツ姿になっている乙幡の股間を目にする。パンパンに張っていて窮屈そうに思う。
悠がそっとパンツの上から乙幡の巨根を触るとビクンとそれは波を打った。
「こら、いたずらするな」
悠の手をやんわり外し乙幡はパンツを脱ぐ。その後、悠のスウェットとパンツを同時に脱がし二人とも全裸で抱き合う。
「悠…股を閉じて…いい?ここに俺のを入れても」
横になり足を閉じると、後ろから乙幡の男根が、腿の間に抜き差しを始めた。
ぬちぬちと音が聞こえる。悠のペニスを後ろから前に擦るように、乙幡のペニスが差し込んでくる。素股という行為だと乙幡が教えてくれた。
この行為は射精感が上がってくる。セックスしているように勘違いすることもある。入れていないだけで、気持ちがよく二人ともすぐ射精してしまうからだ。
「悠…気持ちいい?教えて?」
「ううっんん…はぁ…気持ちいい」
乙幡は力強い。ぐちゃぐちゃに濡れてくると強く抜き差しを繰り返す。少し強引にされると悠は興奮してしまうらしい。
声も多く出てしまう。
「ヤバイ…悠の声聞いてて、いきそう」
「やぁ…んん…イク…エディ…」
二人同時に射精した。
最近は、寝室に行為後、身体を綺麗にするタオルなどを置くようになっていた。乙幡は、鼻歌を歌いながら後始末をしている。悠を構えるのが好きだと言う。
「大丈夫?最近、ティーンの頃のように興奮が収まらないよ。俺がしつこかったら言ってくれ」
確かに一日に何度も身体を求められることもあるが、乙幡もセーブしているようで、休み以外では多く求めないようにしているようだった。
「僕は家にいるだけだから、大丈夫です。エドの方が大変でしょ」
「なぁ…エディって呼べよ」
後ろから抱きしめて耳元で囁く。一度出して終わっても、まだ身体を密着させて絡め合うから、またもう一度となりその繰り返しで延々と時間が経ってしまうのだ。
「エディって呼ぶとすぐスイッチ入っちゃうでしょ」
「何でだか興奮するんだよ。悠の甘えた声でエディって呼ばれると。下半身に凄く響くんだよ」
ソファで抱き合ってベッドに傾れ込んだから、後で片付けに行かないと、と悠はぼんやり考えていた。乙幡はタブレットを持ち出して何か検索を始めている。
「こんなのが必要なんだな」
うつ伏せになり、タブレットでスイスイと検索画面をスクロールしていく乙幡の手元を覗いた。
「ん?何?」
「最後までする時に必要なものだよ」
ローションというものが画面の中に沢山並んでいた。男同士でセックスするためには必要らしい。他にも必要なものはあるのだろうか。どこで買うのだろう。
「エド…何となくわかるけど、実際どうやるかとかわかんないんだよね。大丈夫かな僕…」
「大丈夫だと思う。それに絶対、酷いことはしないと約束する。うーん、ちょっと見てみる?」
そう言い、男同士のセックスを検索している。ゴツい男同士のもあればそうでないのもあり、よくわからない。あまりハードでないものがいいのだけれど。
相手のペニスを口に含んでいる動画があった。あんなことするのかと悠はじっと見てしまう。他の動画では、二人が抱き合い、後ろに入れられている男の人が気持ちよさそうに喘いでいるものもあった。本当にあんな感じなのだろうか。
「全く興奮しないな。こんなの見ても」
ふーんと、冷めた目で乙幡は動画を見ていた。釘付けで見ていた悠は恥ずかしくなる。
「悠、興奮する?」
「うーん、しないかな…どっちかっていったら、こんなこと出来るのかなって思って、まじまじと見てしまった」
「俺も。悠の声の方が興奮する。ひとりで扱いてた時も悠を想像してたしさ」
「えっ?ひとりって?いつ?」
「はは…堪えられなくて、悠が寝た後ひとりでバスルームに籠って扱いてたよ。寝てる悠の身体をガン見して、目に焼き付けたのを思い出してやってた。悠とこうなる前は、ほぼ毎日」
カァッと悠は顔を赤らめる。乙幡がそんなことしていたなんて、しかもバスルームでしていたと聞き想像する。
悠も同じ場所で、同じことをしていたので、思い出すと恥ずかしいが興奮してしまいそうになる。
「何?どうした?嫌か?悠は…そういうことない?あんまり想像できないけど、ひとりでしたりしなかった?」
質問攻めのように言われ、困ってしまったが、乙幡に隠し事は出来ないと思い、思い切って告白する。
「実は、僕も一緒…エドが仕事にいった後バスルームでやってた。エドに抱かれることを想像して。あの時、あのノート開きっぱなしで寝ちゃってた時あったでしょ?実は…やってて…それで寝ちゃったんだよ」
「…それで…詳しく教えて。想像した俺は何やってた?」
タブレットをぽいっとベッドの端に置き捨て、乙幡は悠に向き直る。まぁとか、そうだねとか、適当に答えても強引に聞いてくるので言う羽目になった。
「だから…後ろから入れられて?ちょっと強引にされるとかだよ。もう…いいでしょ」
「悠、ヤバイ。またでかくなってきてしまった」
悠…と呼ぶ声が好きだ。どこを触られても気持ちがいい。耳、うなじ、首、ひとつづつキスをされるたびに胸が熱くなります熱くなる。
「悠、好きだよ」
「唇…かんで…エディ」
いつも楽しい話をしてくれる乙幡の口で唇を噛まれるのが悠は好きだった。
行為の最中はよくねだっている。
なんだか自分を美味しく食べてくれそうで好きだった。
ソファ周りの片付けは起きたらすぐにやらなくちゃと、悠は頭の隅にメモる。
ともだちにシェアしよう!