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第5話
潔世一は俺にとって目障りでもなんでもない存在から、目障りな存在に変化した。
俺にとって目障りだと思うのは兄の冴しか存在しておらず不思議な気分だった。
そんな奴を俺が完全に支配出来たなら、さぞかし気分が良いだろう。
だがそう感じさせている奴の存在事態が、俺にとって目障りな存在には違いなかった。
俺にこんな感情を抱かせる奴は、これからもきっと潔しかいないだろう。
そしてそれは奴への執着になるだろうとも分かっているのに、止めることは出来ない俺がいた。
「……目障りだ」
目障りだからこそ気になる。
口付けを交わしたときの潔の驚く表情が、俺の瞼の裏に焼き付いて離れることはなかった。
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