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story 1-1

【今すぐしゃぶらせる方を選ぶ】 (待てよ? 暫くすれば巨乳に戻るとこいつは言ったが、それが本当かどうかは分からねぇ。俺が諦めるのを期待してついた嘘かもしれねぇな)  危ない、もう少しで騙されるところだった。自分の勘の良さに自惚れながら、不仰は今すぐ屈服させてやれる方を選んだ。 「とか何とか言って、逃げ切る気だろうが……そうはいかねぇぞ」 「ん?」 「お前が俺のここを無様にしゃぶる姿を、今すぐ見ないと気が済まねぇ」 「そうか。ならばそうしよう」  順調に事は進みそうだがそれはそれで癪に障った不仰は、自分は寝台に腰掛け、旅人を地べたに座らせた。そして腰帯を緩め、局部だけを器用に露出させると、自分を見上げている旅人へ、それを差し出した。  すると不仰が命令の言葉を考え終わるより先に、旅人がそこを咥え始める。 (こいつ、何の躊躇いもなく………!) 「んっ……………」  旅人は、肉茎全体をゆっくりと飲み込むと、頭を上下に揺らし始めた。唾液を絡めながらの、小刻みな往復。平然とした顔つきは全く変わっていないがそれがかえって淫靡に見え、不仰の一物はあっという間に膨張した。 (なんだ、これっ、これは………ひょっとすると…………)  悪くない、かもしれない。  綺麗な顔をした武人が自分の陰茎に貪りついている。この男は何とかの摂取という有難い行為だと言ったが、案外それは強がっているだけの嘘かもしれない。本当は惨めな行為から逃れられないのを悟り、諦めて屈したのかもしれない。  初めは戸惑っていた不仰も、逃れようがない快感に自分に都合が良い解釈を織り交ぜると、それに魅入られ、男の愛撫に心を預けることを決めた。 「あぁ────ッ……………」  旅人は、不仰の好いところを的確に攻めた。唾液をたっぷりと垂らした亀頭を舌先で優しく嫐ったかと思えば、男根の芯を奮い立たせるように力を込めて吸い上げる。あまりの心地よさに不仰は歓喜の声を漏らしたが、呻いた本人はそれに気付かなかった。 (こいつッ、さては、相当……好き物………)  ふいに、旅人がちらりと不仰の顔を見る。頬張ったままの男の目とばっちりと目が合うと、不仰の全身はかっと熱くなった。そして快楽に夢中になっていたせいで自分の口角がだらしなく上がっていたことに、ようやく気が付く。  行為の主導権が自分にあることをすっかり忘れていた不仰は、慌てて旅人の頭を掴んだ。 「しゅ、集中しやがれっ!!おらっ、奥まで飲み込めッッ!!」 「んぐ……んん゛っ!!」  両手で頭を固定し、喉奥に捩じ込んでやった瞬間、旅人の眉間にわずかな皺が生じた。ごく短いが強烈な快感が不仰の脳内をぞくりと駆け巡る。ついに支配者として君臨できたのだ。心が潤わないわけがない。  ぎこちなく腰を動かし、狭い喉奥を何度か蹂躙する。確かに気持ちが良いが、旅人任せにしていた時の快感にはやや劣る。 「……チッ。ほら、ドスケベ野郎。俺がイけるように最大限努力しろ」 「ん………分かった」  暴力から解放された旅人は、再び自ら舌を動かし始める。今度は一体どんな動きをしてくれるのだろうと、不仰は子供のように胸を高鳴らせながらその姿を眺めた。 「ん、ズズッ❤︎…んッ………んぐ、ぶ、ズゾッ❤︎…んぐ、んッ……ズゾォォッ❤︎んぐ、っん、……」  言われた通り、旅人は追い込みに入った。淡白な表情から繰り広げられる、燃えるような奉仕。体液ごと吸い尽くすようなその口使いは時折信じられないほど下品な音色を奏でたが、それすら甘美に思えてくる。  不仰はすっかりこの男の性技の虜になっていた。 「お゛ッ❤︎〜〜〜ッオ゛❤︎くそ、こんなの、あ゛ッ❤︎も、イク、イクイクイク、いぐぅうううぅウゥゥゥゥ───ッッッッ❤︎❤︎!!!」 「!!!………………んん゛っ、」  絶頂の瞬間、不仰はぴんっと腰を突き上げ仰け反ろうとしたが、旅人がそれを阻止した。自分の口から離れて行くのを妨害したのである。旅人は、両脚の付け根を力強く押さえつけながら根元までしっかりと口に含み、若い雄の射精が終わるのをじっと待った。 ───ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドピュッ!!…………  不仰の頭は暫くの間真っ白だったが、程なくして、最後の一滴まで文字通り搾り取られたことを身体で認識した。 (こんな、こんなのっ………)  ごくんと喉を鳴らした旅人が、ようやく肉茎を解放する。かと思いきや、今度は纏わりついた体液まで舐め取り尽くすように、舌先でぺろぺろと掃除を始める。 (やめられるわけがねぇっ………!!❤︎)  不仰はあまりに強烈な体験に、身震いした。 「満足したか?」 「…………っ、クソッ……………」  君臨してやるはずだった。支配してやるはずだった。途中までは、確かにそんな気分を味わえていた。  しかし行為を終えた今は、何やら妙な喪失感でいっぱいだった。 ------------------------  旅人が寝るはずの寝台で、不仰は体を横にして不貞腐れていた。彼に寝台の大部分を譲った旅人は端の方に寄り、粛々と瞑想を行なっていた。  数時ほどその状態が続いたが、このままでは終われないと思った不仰は、気怠そうに身体を起こす。  旅人に近寄り、ぺたぺたと胸板を触る。鍛え上げられているそこは常人とは比べものにならないほどふっくらと盛り上がっているが、間違いなく男のそれであり、昼間爪弾いた巨乳の感触には程遠い。 「まだデカ乳にならねぇのか」 「先程きみの精液で気を補ったから、暫くはこの状態が続くだろう」 「……………」  本当に、してやられた気分だった。この男は事もなげに性技を披露し、欲しかった陽の気を手に入れた。一方自分は、この男に身を預け悶絶しただけである。どう考えても、このまま終われるわけがない。終わったら負けだ。  かくなる上は、もう「あれ」しかないのだろうか?  望みはないものかと、不仰は念のため確認した。 「下はどうなっている? 今は普通の男の身体なのか?」 「そう」 「本当にマンコが付いてたりしねぇのか?」 「気になるのなら自分で確かめたらいい」 「……………」  何をされようが構わないというその態度に、不仰の心の内の何かがぷつんと切れた。 (絶対、泣かす………)  坐禅を組んでいた旅人の腕を掴み無理矢理押し倒すと、彼が着ていた服を乱暴に剥ぎ取った。無抵抗の彼はあっという間に一糸纏わぬ姿になったが、下半身には昼間触った男の象徴が、当然のように鎮座していた。 「マジで男じゃねぇかよ、クソ!!!」 「伝えたはずだが」 「うるせぇよ!!チッ……こうなったらもう、泣きを見ても知らねーからな。ケツ穴が腫れるまで犯し尽くしてやる。覚悟しろ」  半ばヤケになった不仰は旅人を横向きに寝かし、露わになった旅人の秘孔を指でズボズボと解し始めた。がさつな男の指を難なく受け入れているそこは、よく見るとぷっくりと盛り上がり、紅潮している。 「…………んっ、あ、ッ………………」  指先を中で暴れさせると、旅人は僅かに反応した。自分がされたら痛みすら感じそうな行為だが、この男は喘ぎ声によく似た声を上げている。 (チンポのしゃぶり方といい、この感じといい、こいつ、絶対慣れてやがんな……)  指を一本、もう一本と増やしていけば、中の柔肉がきゅうっと収縮する。よく締まるようだ。ここに挿入れたら……さぞ気持ちがいいだろう。  不仰は身体を起こすと、今度は旅人の身体を四つん這いにさせた。そしてこれ以上待てないほどに硬くなった己の一物を握りしめ、ひくひくと口を開けている秘孔にあてがった。  一瞬だけ静まり返った室内に、フーッ、フーッという獣のような呼吸だけが響く。 ───ズプンッッッ!!!!! 「〜〜〜〜〜!!!!❤︎゛❤︎゛❤︎゛❤︎゛」  旅人の肉襞はすぐに侵入者を受け入れ、積極的に絡みついた。不仰は挿入した瞬間から飛びそうになったがなんとか堪え、歯を食いしばりながら奥へ奥へと捩じ込んだ。  入れば入るほど、よく分かる。本音を隠すのが困難なほどに、この穴は……魅力的だ。 「〜〜〜〜クソッ❤︎……あ゛〜〜ッッ❤︎❤︎気持ちいッ、気持ちいいっ!❤︎❤︎クソッッッ❤︎❤︎❤︎ケツマンコにっ❤︎❤︎ハメるの、ッ❤︎〜〜〜気持ちイ゛イ゛ッッッ!!❤︎❤︎❤︎❤︎」  もう性別がどうのとか、関係ない。どうでもいい。この身体を堪能し、心も身体も気持ち良くなれるのなら、どっちだっていい。 ───ヘコッ❤︎ぱちゅっ❤︎ぱちゅ❤︎ヘコッ❤︎❤︎ヘコッ❤︎ぐぽっ❤︎ヘコッ❤︎ヘコッ❤︎  動物じみた体勢のまま、不仰は自身を嵌めるのに夢中になった。全ての意識が下半身の先っぽに集中したかのような感覚。とろけるような営みに耽れば、足枷じみた自尊心など、綺麗さっぱり忘れることができそうだった。 「ハッ❤︎ハッ❤︎ハッ❤︎ハッ❤︎❤︎❤︎ぐっ❤︎クソッ❤︎❤︎ハメ穴❤︎❤︎たまんねぇぇええ───ッッッ❤︎❤︎❤︎」 「んっ、あっ……あ……アッ❤︎っは、あ───っっ…………」  薄く瞼を開くと、犯されて悦んでいる旅人の躰が見えた。黒い長髪に、白い肌。ばちん、ばちんと腰をぶつけるたびに跳ねる尻の肉……。何もかもが美しく、扇情的で、男でも女でもないもののように思える。 「畜生ッッ!!❤︎❤︎ちくしょぉお❤︎❤︎誘いやがったな❤︎乳デカ淫乱野郎がッ………!!❤︎❤︎」 ───パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎パンッ!❤︎  勢いづいた精子が旅人の体内へ入りたがっている。抗えるわけがない。先程と同じだ。全部、何もかも搾り取られる。この男に…… 「〜〜〜クソォォォッッッ!!!!!❤︎❤︎❤︎❤︎」 ───ビュッ❤︎ブビュウゥウウウウ───ッ❤︎!ブビュッ❤︎ブビッ❤︎ブビュウウッ❤︎❤︎❤︎どぴゅっ❤︎びゅっ❤︎❤︎びゅるるっっ❤︎❤︎ぶぴゅっっっっ❤︎❤︎❤︎  敗北を認めながら不仰は咆哮した。己の子種が、この男に吸い尽くされていく……。やがて全ての劣情を飲み干した秘口は、最後にごくんっと嚥下した。  旅人の陰茎から溢れ出た体液が、寝台の敷き布をぐっしょりと湿らせていた。 ------------------------ 「……ん」  いつの間にか寝ていた旅人は、窓から差し込んでいる朝日を、ぼんやりと見つめる。  そして背後から自分をぎゅうと抱きしめている者の存在も認識し───己の体内が、ヌコヌコと動く肉棒を受け入れていることにも気が付く。  どうやら寝ている間にも挿入と射精が繰り返されていたようだ。雨漏りで水浸しになったのかと思うくらい、下半身がぐしょぐしょに濡れている。 「やぁっと起きたかよぉ……❤︎ 途中でバテやがって……この腰抜け野郎〜〜〜ッ❤︎」  上機嫌だが朦朧としている男が、ヘコヘコと腰を振りながら声をかけてくる。 「……きみは、もしかして、一晩中……?」 「当たり前だろうがッッ❤︎❤︎馬鹿野郎ぉおッッ❤︎❤︎❤︎」  旅人は、この男の体力と気力はかなりのものだ───と、素直に感心した。 「もう、こうなったら、暫くはお前のものになってやるッ❤︎覚悟しとけよ❤︎毎日毎日ハメまくってやる❤︎お前も嬉しいだろぉ?❤︎死ぬまでザーメンまみれにしてやりゅぅぅううっっっ❤︎❤︎」 「……そうか」  旅人は後方へ手を伸ばし、背後から自分を襲っている若い雄の頭をぽん、と撫でた。

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