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story 1-2
【少し待って揉みしだく方を選ぶ】
しゃぶらせてやるのは旅人の尊厳を侵すのにぴったりの妙案だと思ったが、得をさせてしまうのはやはり意味がないし、そもそもこの男の態度を見れば罰としての効果が見込めないのは一目瞭然である。
何よりあの胸の感覚。昼間、挑発のために小突いたときの、あの触感。あの肉感を、思う存分堪能しなければならない。
「咥えさせる」という受動的な行為と天秤にかけるまでもない。あれを揉みしだき、好きなだけ蹂躙し、自らが主体的に「弄ぶ」べきなのだ。
───これこそ上に立つ男の思考!少し待つくらい、何だというのか。
「やっぱりお前が得をするのはおかしい!だからチンポを咥えさせるのはナシだ」
「そうか」
「けど逃げられるなんて思うなよ……あの身体に戻ったら、ボロ雑巾のように使い倒してやる」
「わかった」
「本当にやってやっからな」
「ああ」
拳を真綿で受け止められているような感覚にげんなりした不仰は、会話を打ち切ると旅人の隣に横たわり、不貞腐れたように寝た。旅人も布団の一部を隣の男に分け与えたあと、深い眠りに入っていった。
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朝。不仰は隣の人物がまだ寝ていることに気が付くと、がばっと上体を起こした。視界に入ったのは───紛れもなく、渇望していた───あの巨乳である!
「うぉ……本当に……なってやがる……!」
ごくりと生唾を飲んだあと、寝ている旅人の胸元へ、恐る恐る手を伸ばす。豊かなそこに指先を沈めていくと、爪が隠れるほど深くずっぽりと埋まった。
思わず歓声を上げたが、寝ている相手をいたぶっても仕方がない。
「ったく、人を待たせやがって。おい、起きろ!! 起き……」
「なんだ」
「うわっ!!!??、お、起きてやがったのか!!?」
「今起きた」
「………………」
昨日のことは、やはり夢ではない。この口調に、この態度に、さんざん翻弄されたのは屈辱的な事実だ。
───だが今からは違う。ようやくこの身体を陵辱してやれる。ようやくこの雌を支配してやれる。
「こんなメスの身体で俺より上に立てると思うなよ」
「上?」
「受け入れられないのか?チッ、まぁいい。直接身体に刻み込んでやる」
不仰は旅人の身体に覆いかぶさると、眼下の豊満な両胸をぎゅうっと掴んだ。力一杯握りしめたあと、捏ねるように揉みしだく。
暫くの間、不仰は本来の目的を忘れるほどその柔らかな弾力に没頭したが、旅人の表情が全く変化していないのに気が付くと、軽い舌打ちをした。
やりたかったことは確かにこれなのだが、何かが足りない。何かが違う。ただこうやって揉んでいるだけでは、何か……。
ふと、硬くなった胸の先端が視界に入る。ぴんと膨れ上がり己の存在を主張しているそこを見ていると───口に含みたいという、強い衝動に駆られる。
しかし支配者たる雄が、赤子のように女の胸にむしゃぶりつくのは……みっともなくて、滑稽ではないだろうか?
不仰は暫くそんな葛藤に苛まれたが、旅人が相も変わらず無表情でいるのを見るといてもたってもいられず、小さな突起に齧り付いた。
「んっ!!…………あ、」
旅人が、僅かに身をよじる。
───これだ。この反応をさせてやりたかったのだ!
ささやかな動きだったが不仰は見逃さなかった。もっとだ。もっとこいつの反応が見たい。舌先で突起を数回転がし、嬲ったあと、思い切り口を窄めて吸い上げる。
「あぁっ…………」
旅人は控えめに喘いだ。
すると突然、不仰の口の中が生温いもので満たされていく。咥えているところから、何かがどくっ、どくっと───噴出している!
「!!? っぷは、」
驚いた彼が口を離すと、胸の頂点から体液が飛び出しているのが目に入る。白くて温かい、それはまさしく……。
「なな、なんっ、これ、母乳か………!?」
「そう」
「な、なんでだよ??????」
「そのように求められると、出ることがある」
「……………」
母乳が出せる巨乳の男なんて、聞いたことがない。現実は既に不仰の理解を超越していたが、江湖ではよくあることなのかもしれない。彼は無理矢理納得した。
しかしこの言い方からして、この男は前にも同様のことを誰かにされたらしい。これを揉みしだいた奴が他にもいて、そいつもこの母乳を堪能した……。そう思うと、なんだか全く面白くない。
「お前は……本当に何をされてもいいのか?誰に対してもそうなのか……??」
「別に、減るものではないから」
「いや、減るだろ。人としての、なんつーか……」
「?」
不仰は、この者を汚してやろうと躍起になること自体が、段々と虚しいものに思えてきた。あれこれ画策し感情をぶつけたところで、綿花のように手応えがない。ならばこの男が抵抗しないのを最大限利用して、己の欲望を満たす方が有意義かもしれない。
先程飛び出した母乳を舐め取ると、仄かな甘さが口の中へ広がった。
「んッ…………❤︎ ジュルッ❤︎………ん……………❤︎❤︎」
───どうせ何をしても、この男は気にしないだろう。大の男がむしゃぶりつこうが、母乳を吸い出そうが、きっとこいつは気にも留めない。
そう割り切るといくらか清々しい気分になり、不仰は目の前の母性にのめり込んでいった。
他人の上に立ちたいと思う欲、注目されたいという欲、仕返ししてやりたいと思う欲。彼は日頃執着している様々なものから解放されるという快感に、喜んで溺れた。
「んッ❤︎…ん❤︎❤︎……んむぅっっっ❤︎❤︎ ぢゅるっっ❤︎❤︎❤︎」
吸い付いていない方の乳房を強く握れば、母乳が弧を描きながらびゅっと飛び出し、不仰の顔を濡らす。生温かいそれを舐め取ったあと、今度はもう片方の胸を味わいに行く。
こうして左右の柔らかな乳房を独占していると、確かに支配欲が満たされる。不仰は「前に吸った奴もこんな幸福を味わったのだろうか」と想像して、少しだけ切なくなった。
「辛そうだな」
「………んあ………?❤︎」
不仰は、自分がいつの間にかヘコヘコと腰を振っていることに気が付いた。下半身が熱くなっている。疼いて堪らない。
もどかしい。切ない。苦しい。こうなったのは、全部この男のせいだ。
熱く湿り、膨張したそこを旅人の身体に擦り付けながら、一際高い声で懇願する。
「なんとかしろぉ………❤︎クソッ……全部お前のせいだっ❤︎❤︎❤︎」
「……。わかった」
旅人は上体を起こすと、不仰の身体を仰向けにした。そしてまるで窒息させるかのように───ぶるんと揺れるたわわな乳房を、彼の顔面に乗せる。
───ずしっ。
「〜〜〜〜!!!!」
自分が上になって揉んでいた時には知り得なかった"重み"を、直に感じた瞬間───不仰の亀頭から先走りがドクドクと湧き出る。強烈な雄の匂いを放つその体液は、これ以上ないほどり反り立っている肉棒に官能的な艶を添えた。旅人は懸命に主張しているそこが何を求めているかを知っていたので、掌できゅっと包み込み、望みを叶えようと上下に扱き始めた。
不仰が切なそうな呻き声を上げると、旅人は自身の胸の突起を彼に食ませた。
「吸いたければ吸っていろ」
誘導されるがままに、不仰は母乳を貪った。この瞬間、彼は自分が掲げた支配者としての理想像を完全に忘れ去り、厚意に甘えるだけの幸せな男へと、姿を変えた。
「ン❤︎んくっ❤︎んくっ❤︎❤︎ンッ❤︎んくっ❤︎❤︎」
乳輪の周りの柔肉まで頬張りながら、一心不乱に愛情を求める。そしてねだればねだるほど腫れあがっていく怒張を、旅人は優しく鼓舞する。指先が奏でるぐちゅぐちゅという水音も不仰の雄欲を掻き立てる材料となり……されるがままの彼は、程なくして恍惚の境地へと達した。
とろけるような快感に脳の髄まで支配された不仰は、腰を思い切り突き上げ、天に向かって子種を噴射した。しゃぶるのを中断した口元からは、声にすらなっていない獣物の叫びが飛び出す。
「〜〜〜〜〜!!!!゛❤︎゛❤︎゛❤︎゛ッッ!!!!!!」
浮かせた腰はやがて疲れ果て、ガクンと落ちた。脱力した下半身は何だか分からない痙攣で、ぶるぶると震えている。
(………こんな❤︎……こんな情けない姿……❤︎こいつに見られッ…見られて……❤︎❤︎絶対、だめなやつって思われた❤︎❤︎もう終わった……❤︎❤︎全部、終わっ………)
「きみの精力はすごいな」
「!!!!」
旅人は不仰の痴態を笑うどころか、褒め称えた。不仰の頭の中にあった雑念の数々が、麻薬のような幸福に置き換わる。
思い返せば、自分はいつだって他者と比べて格好よくあろうとしていた。他人に見下されないように、尊敬されるようにと、常に気を配って生きてきた。そうして時折苦しくなっても、誰にももたれかかることが出来なかった。
しかし今は違う。この旅人がいれば。全てを受け止めてくれるこの者と二人で暮らせば……一切の苦しみから救われて、穏やかに過ごすことができるかもしれない。
「❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」
不仰は旅人の髪をくんっ、と引っ張り自分の方へ注意を向けさせると、赤子のように言葉も発さず、おもむろに舌を見せた。瞳には至福が浮かび上がっている。
彼が求めていることを察した旅人は、舌を舌で包み込む。長い長い、とろけるような接吻が始まった。
「……………❤︎❤︎❤︎」
二人の唾液に溶け込んだ母乳の香りが、徐々に互いの鼻腔から抜けていく。そうして絡み合ううちに熱を帯びていった精力旺盛な若い肉棒を、旅人は再び掌で甘やかし始めた。
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