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第19話:決定事項
「おっけー」
ほやほやと朗らかな笑顔を浮かべる幼稚園児(年中さくら組)の眼が、アサシンの眼になり、ギターをかき鳴らし始め、アキラの力強いキックが重なる。俺もベースを合わせ、ラララで歌い始める。
そして数十分後、スタジオ内の退出五分前のライトが光り始めたが、俺もアキラも、おそらくはタクトも、同じことを考えていたに違いない。
『もっとプレイしたい!』
タクトの曲の良さ、タクトのギターの音色の良さ、俺のベースの安定感、そしてアキラのドラムの力強さと繊細さ、そして俺の歌声——。
これらが集まると、誇大妄想と笑われるかもしれないけど、今北半球で最高にロックしてるサウンドだと思うほどの仕上がりになっていた。
「じゃあ僕帰るね〜、お疲れ〜」
マイペースな幼稚園児(年中さくら組)は機材を纏めてブースの重いドアノブに手を掛けた。
「え、一緒に飲みに行ったりしねえ?」
アキラが驚いた様子で言うと、
「僕は未成年だし、お酒飲めないし、もう七曲、この三人で演奏できる曲聞こえてるから、家に帰ってそれを形にする」
七曲って……、と俺とアキラは呆然としたが、そんなことは意に介さず、ドアを開けたタクトが振り向いてこう言った。
「で、バンド名はどうするの?」
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