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第29話:意外と恥じる須賀結斗

 スタジオを出た俺ら三人は、自然とアキラと俺がアキラの部屋の方へ向かい、タクトは駅方面に歩き始めた。 「あのさぁ結斗」 「ん?」 「帰ったら速攻で抱いていい?」 「はぁ?! ちょ、そういうことは公共の場では!」 「知るかよ。なんかすげえおまえ食いたい」 「残念ですが俺は食い物ではありません……」  とか言いつつ、ちゃっかりドキドキしている俺がいる。  晴れて『恋人』同士になってから、ちゃんとしてないからだ。  あーやばやば、三津屋アキラが、あの三津屋アキラが、俺に好意を抱いた状態で俺を——  と、ぐるぐるしていると、何か冷たいものが俺の右手に触れた。  ん?  違和感を抱いたのも一瞬。  次の瞬間には、その冷たいもの、三津屋アキラの手が、俺の手を握っていた。 「だあああああああああああ!!! アキラ!! それはちょっと!!!」 「え、なんで?」 「こ、公共の場、ですので——!」 「結斗って結構そういうの気にするんだな、ちょっと意外」  アキラはニヤッと笑って、再び俺の手を取りその腕力で俺を引き寄せた。 「いいじゃん、どうせ5分ちょいだし、人気も無いし」  結局俺は言いくるめられる感じで、でもすげえ嬉しさもあって、マンションまで手を繋いで歩いた。  バタン、と俺の身体がアキラの部屋に入りドアが閉まった瞬間だった。 「んっ!」  アキラが俺に口づけてきて、ギグバッグを下ろし、ジャケットを脱ぎながら舌を入れてきた。 「結斗……」  熱っぽくアキラは俺の名を呼び、俺のベースと荷物を玄関に置くよう動かし、そのまま俺の胸を触りだした。 「んっ——!」 「結斗」 「あっ! な、なに」  アキラは答えずに俺のベルトをすっと抜き、デニムを脱がそうとしてきた。 「ちょ、ア、アキラ! ベッド行こうよ!!」 「無理」 「無理って?! あ、あぁ、そこダメ!!」  俺の上着を脱がしたアキラは、玄関から続く廊下に俺を押し倒し、自分はその上に覆い被さった。 「アキラ——?」 「結斗」  言うとアキラは俺の鎖骨付近を舐め始めた。ここは最近聖なる性獣アキラさんによって開発された俺の変な性感帯だ。 「ふっふあっ! あ、あん! い、やだ!」 「相変わらず感度良いな」  アキラは両手で俺の胸を撫で始めたけど、中心を避けてばかりで、俺としては生殺し状態、思わず身をよじってしまう。 「もう腰振ってんの? これだから小悪魔ビッチなえろえろ結斗くんは」 「んんー!! だって、アキラが——!」 「俺が何? 結斗」 「ん、ちゃ、ちゃんと触って、くれない、から……」  俺は限界だった。もう何をしても先端に触れて欲しかった。しかもアキラは俺のTシャツ越しに触ってるからもどかしさは倍だ。 「結斗、どうして欲しい? ここ」 「あ、あ、あ!!」  アキラが少しTシャツで突起を擦る。頭から理性が消し飛ぶ。 「あぁ、触って、ねぇアキラ、ちゃんとアキラの指で触ってぇ!」 「よくできました」  アキラは満足げに言って、両手をTシャツの中に滑り込ませ、容赦なく先端をつまんだ。 「ああぁぁぁ!!」 「結斗」 「ア、アキラ、好き! もっと、もっと来てぇ!」 「結斗、マジかわいいな」   ——結局玄関で二回して、ベッドでは睡眠をとるだけの夜だった。 

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