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第65話:この感情の名前をまだ知らない
「あっ、ああ、アキラ! まだ無理だよ!!」
「すでに腰振ってますけど」
「ああダメ! そこダメ!! えっ、待って、まだ中が……」
俺が懇願に近い嬌声をあげても、アキラは一気に俺を貫いた。
「ああっ! い、痛いよ、あ、アキラァ! 待って、待て、そんなに、ぅあ!」
快感はもちろんある。痛みが消し飛ぶほどの、極上の快感が。
しかし、痛みはいつもより酷かった。アキラが俺の中を入念にほぐさずに挿入したからだ。しかも打ちつけられる腰の動きが以前より乱暴になってるように思うのは俺の勘違いだろうか。
「あ、あ、出る! アキラ、俺イっちゃう!!」
思わず叫ぶと、アキラは次の瞬間、自らのものをすっと抜いた。
「えっ……」
「じらしプレイ」
アキラはそう言って俺の顔を寄せ、ディープキスを求めた。応じながら、達せない苦痛から、俺の腰は無様にも動き続けた。まるでおねだりをするかのように。キスが激しくなってくると、アキラは俺をベッドの上に座らせ、自分はあぐらをかいて、再度俺を抱えたかと思ったら、挿入はせずに自分の股の間に難なく座らせた。
「あっああっ! アキラ、これやだ! 恥ずかしい、アキラの当たってる! でも……」
「欲しい? 俺の」
「欲しいっ!」
俺は大声で即答した。にもかかわらず、今度はアキラは俺の胸をねぶり始めた。
「え、え、なんで? あ、ダメそこ吸わないで!! 出るか、らぁ……」
「いいじゃん出せば」
「なっ! でも、お、俺はアキラのでイキた——ああっ!!!」
俺が果てたのは、アキラが俺の中に指を一本挿入して奥を突いたからだった。
ぜいぜいと肩で息をしていると、ベッド脇でアキラが下着を身につけているのが見えた。
「え、アキラ?」
「ん?」
「いや、ん、じゃなくて、アキラまだイってないじゃん……」
呆然と俺が言うと、
「ん〜〜〜〜〜、なんつーか、最近俺は自分の快感より、おまえが俺で気持ちよくなってるの見る方が来るんだわ」
「でも……」
「言ったろ? おまえのおかげで俺は変わってきてるんだ。おまえが気持ちいいならそれでいい」
俺が目を見開くと、アキラは寝室を出て行った。程なくして、隣室にあるドラムの激しいリズムが防音ガラスを貫通して聞こえてきた。
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