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第66話:はつこい

 アキラとの性行為の頻度が上がっていっていた。  部屋ならともかく、つい三日前は大学の敷地内で手を出されそうになったり(股間蹴って止めた)、楽器を見に買い物デートをしている最中でも路地裏に引きずり込まれたり(股間蹴って止めた)、そんなにしたいならと近場のラブホに入ったこともあった。  でも、どうも抱き方が激しくなっているというか(それは俺としては嬉しいが)、乱暴になっている気がしてならないのだ。    普段の様子は、特に以前と変わった点はないように思えた。  ただ、時折ゲリラ豪雨のように突然不機嫌になることが増えた。そして不機嫌になる度に、俺の身体を求めた。 「あっ、あぁんアキラ、アキラ!」  その日は在宅だったので、夕方頃に俺がソファでスマホを弄っていたら、突然後ろから抱きかかえられ、そのままベッドに運ばれた。 「結斗……」  乱れた俺の前髪に指を通し、目を合わせた状態で、アキラは熱っぽく俺の名を呼んだ。 「アキラ? どしたの?」  まだ二人とも半裸だったので、俺は一時休戦かなと思って聞いてみた。 「最近さぁ、おまえ見てると、なんつーか、滅茶苦茶にしたくなるんだわ」 「はぁ?! ほぼ毎日と言っていいほど滅茶苦茶にされてますが?!」  思わず俺は叫んだが、アキラ複雑な表情をしていた。 「違う。おまえには、俺以外の……、えと、何だ、おまえは俺だけのもんなんだって知らしめたくなる」  アキラは言うなり身体を起こし背を向けた。 「えーとそれも重々承知しておりますが?」 「分かんねえ、何だろうコレ。たまにムカつくんだよ」  これには流石の俺も絶句した。 「え、アキラ、俺なんか悪いことした?」 「悪ぃ、外で頭冷やしてくる」  そのままアキラは服を着て、寝室から出て行ってしまった。  取り残された俺は、ただただ呆然としていた。  タクトから俺とアキラが、『キツネさんち』ではなく、大学近くのファミレスに呼び出されたのはその直後だった。

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