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禁断遊戯 三

 あえて、ぞんざいに答える。  優しくなぞする気はない。恋愛感情があると誤解させるのは、この場合かえって残酷だ。  望はそんな自己中心的な気持ちのままに、章一を犯した。 「あっ、ああっ、あああっ、やめ、やめて、望ちゃん!」  せまい蕾をこじあけ、望のなかに生まれた雄の本能のままに腰を動かす。 「うう……!」  章一は苦しげだが、望は直感した。 (こいつ、感じている)  自分をしめあげてくるような感触に、相手の身体が反応していることを知らされる。  章一の言を信じるのならば、肉体の交わりこそはないだろうが、藤村によって受け入れる悦びは教えこまれているという。それは確かだった。 「はぁっ……、ああっ、ああん……」  章一の身体は、望を迎えいれ、反応し、歓喜をあらわしている。  前に手をやると、幼いながらも少年の象徴は快楽を謳歌していることを、しっかりと示して望の掌のなかで暴れる。 (この野郎……)  望は腹がたってきた。  無垢で自分より幼いと思っていたいとこが、自分がまだ知らない性愛の秘密と楽しみをすでに知っていたということが許せないのだ。 (なんだよ、この淫売)  嫉妬というよりも、自分を差し置いてという、面子を汚されたような苛立ちが怒りの原因だ。望は章一を相手にするとひどく傲慢で身勝手になっていることに気づかない。 「あっ、望ちゃん、待って、待って、そ、そんなに動かないで……ま、まだ」  哀願というより要求だった。それがまた望を腹立たしくさせる。  望は、慣れていない自分を知られるのが嫌で、一瞬、相手の言うように動きをゆるめたが、むくむくと反発のようなものが胸にはげしく湧く。 (なぜ、俺がおまえの思うように動かないといけないんだよ)  この場合、主導権を握るのは自分でなくてはならないはず。傲慢だが、そう思うことが望にとっては自然のことだった。 「ああん、待ってよぉ」  陰間とかいうのは、こういう喋り方をするのではないかと望は想像した。勿論、ものの本で読んだぐらいで、本当に陰間という人種を見たことはないが。歌舞伎の女形などと似ているのだろうか。

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