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第11話 十代最後の日になりました6

 それらは部屋の机の引き出しに大切にしまっていた。  可愛い物を持っている事を親に知られたくなくてそうしていた。  だから賑やかなのは机の引き出しの中だけで部屋自体はさっぷう景もいい所だった。  その分、掃除は楽だったけれど。  部屋で一人、机の引き出しを開いて可愛い物を眺める事が僕の至福の時間であった。  こうしていると思わずにはいられなかった。  自分が周りの男子とどうも少し違うらしいと。  授業中、クラスメイトを見まわしながら、もしかしたらこのクラスで可愛い物が好きな男子は僕だけでは無いか?  そんな気持ちが過って不安になった。  クラスメイトの男子達の会話の中に可愛いぬいぐるみの話は全く無かったし、可愛いヒロインが出て来る恋愛漫画の話題も無かった。  僕が話したい様な会話は皆無で、この世に取り残されたかの様な、そんな重たい感覚が僕を包む。  ずっと、ずっと、その感覚は消えなかった。  重苦しい不安を抱えながら生きた中学生時代は終りを告げて僕は高校生になった。  僕は超絶な根暗になっていた。  高校は遠野と一緒の学校だった。  高校でも遠野と一緒のクラスになって僕は少し安心した。  何せ、僕が会話出来る他人は遠野だけ。  好きで根暗になった訳でも無し、話す相手が全くいない高校生活は憂鬱に違いないと思っていた。  高校生になっても僕は相変わらず可愛い物が好きだった。  いや、違う。  可愛い物好きに更に拍車が掛かっていた。  そんな僕に運命が訪れる。  高校の女子の制服がとても可愛かったのだ。  紺色のセーラー服で、大きなリボンが付いていて、袖の部分が折り返しになっていてその部分だけは白で赤いラインが二本入っていた。

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