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第4話 快楽の契約

 言われるがままに、沙羅衣は手を引かれて、二つほど隣の教室の中へ入る。  一回生は、内側から引き戸に鍵をかけた。 「君。おれは、なにも君と……ひっ!?」  一回生の右手が、沙羅衣のズボンの中央をつかんでいる。  そこがどんな状態になっているのか、あからさまに知られてしまい、沙羅衣は顔から火が出そうだった。 「あは、やっぱり……凄い……こんなに」  手が、さすり上げるように動く。 「や……めろっ……」 「皇先輩、奴隷がいないなら、こういう時はどうしてるんですか?」 「ど、どうって」 「一人で慰めているんですか?」 「そ、それはっ……」 「それは?」 「それは……どうしても我慢できない、ときは……っ」  沙羅衣が唇をかんだ。 「あはははっ! かわいいなあ、皇先輩は! そうまでして操を守っているってことは、あの噂は本当なんですね!」 「噂っ……?」 「あなたが皇帝にならない理由ですよ。皇家の当主は、生涯ただ一人の妻のための夫でなくてはならない。つまり、学生時代のたわむれであっても、皇帝として奴隷を持つことはできない」  沙羅衣は目を見張る。 「なぜ……それを」 「申し遅れました。ぼくは、祠堂枢流(しどうくるる)。祠堂家の次男です」 「祠堂だと? それじゃ、君はおれの皇家の」 「そうです。分家ですよ。皇家の現当主の一人息子はずいぶんと出来がいいと聞いていましたが、文武両道の素晴らしい傑物ですね」 「なぜだ。なぜ分家の君が、こんな真似をする」 「こんなって、どんなです?」  枢流の手が、軽く沙羅衣のズボンの前をひねり上げた。 「あはッ!」 「どうです。ぼくと、契約を結びませんか」 「け、契約……?」 「そうです。健康な男子が、結婚するまで延々と一人上手というのもつらいでしょう。だからぼくが、あなたの体をいつでも満足させてあげます。その代わり、あなたは、いつでもぼくに体を差し出してください」 「な、なにを言っている! そんなこと……」 「悪い話じゃないと思いますよ。聞いていますからね、皇家の当主というのは、子を作るための才能に代々恵まれていて、一日で欲求不満になるんですってね。それで、特定のパートナーを作るなというのは酷ですよね」 「そ、それとこれとは関係ない!」 「だめですよ。なにを言ったって、ここをつかまれてしまえば、男は言うことを聞くしかなくなるんですから……」  確かに、沙羅衣の腰は今にも砕けそうになっていた。  先ほどから、枢流の手は微妙な動きを繰り返し、容赦なくもどかしい快感を沙羅衣の下半身に送り込んできている。  その指先が、沙羅衣の先端を探り当てて、軽くくじいた。 「いいですよね?」 「はあんっ!」  沙羅衣の首が、かくんと縦に揺れた。 「快諾に感謝します」 「ま、待て! 今のは――」  枢流が、手早く、沙羅衣のズボンのホックを外し、ジッパーを下した。  明らかに欲望を宿した男性の形が、その下から激し主張を見せていた。 「わあ」 「あ……ああ……」

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