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第31話 絶頂の先の絶頂へ二人で
ぐりゅっ! ごっ!
「あーッ! あーッ……!」
沙羅衣は両手で頭を抱えた。ほんの数回突かれただけで、頭がおかしくなりそうだった。
今なら、枢流の言っていたことが分かる。なにも大げさではなかった。快感百パーセントのセックスのすさまじさ。
「ようやく、先輩のお願いを聞いてあげられます……」
お願い? と聞き返す間もなく、ペニスが握られた。
沙羅衣の欲望は、すべて枢流に察されていた。
たっぷりと濡れた根元から先端まで、こちらも痛みゼロ、百パーセントの快感を生む愛撫が始まった。
もう、沙羅衣の口からは悲鳴すら出なかった。
ただ、唇だけが、いく、と動いた。
「先輩、分かってますよ……この硬さ、もういくんですよね……!」
いく。
耐えよう、と思ういとますらなかった。
枢流が、激しくキスしてくる。唇を舌でなぞられただけで、制御不可能な快感がはじけた。
「ああ!」
ようやく出た声と同時に、ペニスが力強く震えた。
ほぼ個体に近い濃度の精液は、待ちかねたように放出口に殺到する。
びゅうッ! ぼたたッ!
「ああ、先輩、出てるっ! こんな量……! でもね、まだですよ!」
枢流が、再び沙羅衣に覆いかぶさった。
深く突く体勢で、やはり、その力を沙羅衣の前立腺に打ち当ててくる。
ぐりゅっ、ぐりゅっ、ぐりりッ……
「ああ、きついッ! きついです、先輩!」
「ひ、ひああああッ!」
沙羅衣の胸に、なにかが当たった。
硬いものではない、液体のようだ、と思ったら、沙羅衣自身のペニスから放たれたものだった。
なにが起きているのか、すぐには分からない。
それから何度か突かれて、そのたびにペニスがビュッビュッと液体を放っているのだと、ようやく理解する。
「な……こんな……」
「男が感じすぎるとね、こうなるんですよ……ほら、また。ぼくはね、上から見て分かっていました。ぼくに入れられて、先輩のここに、どんどんいやらしい液体がたまっていくのが」
「そ、そんなわけ」
反論しようとしても、
じゅちゅっ、じゅちゅっ!
とさらに水音を増した抽送がほどこされると、また沙羅衣はのけぞってしまう。
「すごい……先輩の全身が、どんどんいやらしくなっていく……ほら、しごきますよ。今度は先走りではなく、また射精ですね!」
枢流の右手が激しく上下する。スピードは速いが、決して乱暴ではなく、裏筋や段差に指を当てて、確実に快感を倍加させていった。
腰の動きも力強さを増す。
前と後ろからの快感は、互いの相乗効果で、まだうぶな皇帝の体にあっという間に限界を超えさせた。
そして、
「あ、あああ、またいくうーッ!」
びゅるるッ!
と白濁液が天井へ放たれた。
「いいですよ、先輩! そのままです! まだイッってください! もうすぐ先輩、後ろでもイキますからね! 前と後ろ、同時に絶頂する感覚を覚えたら――」
「ああああッ! だめえええッ! イッてる、イッてるのにいいいッ!」
「もう、ぼくなしじゃ生きていけなくなりますからね!」
枢流の下半身のバネが、機械仕掛けのような力強さで、最後の一突きを打ち込んだ。
そしてむさぼるようなキスで、皇帝に射精の許可を出す。
「はッ! ひあッ! いくうううううッ!」
沙羅衣の背が、弓のようにのけぞり、ペニスの先端からこぽぽぽっ……と濃厚な液体がほとばしる。
「そうですよ、先輩! それが、同時にいく感覚です! 先輩の体が得られる、最大限の絶頂……くッ! ああ、し、締まるッ!」
「あ、あ、だ、め……もう、だ、め……こんな、の……」
沙羅衣ががくがくとなされるがままに揺さぶられている間に、枢流にもついに限界がきた。
「先輩、ぼくも、いきますッ! ……くうううっ、あっ、先輩ーッ!」
びゅぐんッ!
沙羅衣は体内で、灼熱の肉棒がはじけるのを感じた。
「あ、熱っ……ああああ……」
二度、三度と体を震わせてから、枢流がゆっくりと沙羅衣からペニスを抜き取る。
ぐぽっ……
「ああっ……」
巨大なものが引き抜かれた喪失感で、思わず沙羅衣の口から声が漏れた。
「ふふ……どうです、先輩? すっきりし……あっ!?」
枢流がいきなりの感覚に驚いて見下ろすと、沙羅衣が枢流の、力を失いつつあるペニスをつかんでいた。
「せ、先輩?」
「よく、も……やってくれた、な……」
にゅちゅにゅちゅにゅちゅ……
沙羅衣の手のひらが、先端を集中的にこね始める。
「せ、先輩っ! いけません、ぼくは今いったばかりで……」
「そうだな。これは、仕返しだ」
「い、いけません! ぼくは今、先輩のきつすぎる処女にさんざん耐えてたんですよ!? それでいった直後なんて、そんなの……」
しかし、沙羅衣の手は容赦しなかった。
最も敏感なくびれの部分を、今まで自分がやられてきたように、しっかりと指を巻き付けて強くしごく。
「ああッ! す、すごい……すごいッ!」
「どうだ……?」
「い、いきますッ! またいくうッ!」
一度目に比べて、沙羅衣が驚くほどに、枢流の二度目の絶頂は瞬く間にやってきた。
びゅるっ、と液体を噴き出して、枢流のペニスはぶるぶると震える。
そして、ぐったりとした体がベッドの上に横たわった。
枢流の頭を肩口に乗せた沙羅衣が、奴隷の髪をさらさらとなでる。
「先輩……」
「ん?」
「先輩ってけっこう、悪い人なんですね……」
「君に言われるとはな」
沙羅衣が苦笑した。
そこへ、枢流が唇を合わせてくる。
舌を絡めない、唇だけのキス。
「僕は、先輩となら、何度でもできそうです」
「……ほどほどにしてくれ。こっちの体がもたない」
「ふふ」
枢流が、ベッドから降りた。
「シャワーの準備しますね。先輩、先に浴びますか?」
「いや……あとでいい。しばらく、腰が言うことをきかなさそうだ」
枢流は心配そうに、沙羅衣の顔を覗き込んだ。
「少し、やりすぎましたか? 痛いところとかあります?」
「……いいや。初めての体験で、体がびっくししているだけだ。……痛いところも、いやなこともなにもないよ」
「そうですか。それはよかった」
枢流がシャワーを出し、部屋着とバスタオルを持って浴室へ消えた。
(完全に手玉に取られてしまったな)
沙羅衣は苦笑した。
自分のほうが年上で、仮にも皇帝側だというのに、完全に翻弄されてしまった。
(それにしても手慣れている……枢流のやつ、かなりモテるほうだと思うが、それにしてもずいぶん手慣れているように見えるな。いったい、今までどんな生活をしてきたんだ……? あの年齢にしては経験豊富なだけで、あそこまでやれるものなのか?)
ふるふると頭を横に振る。
分かりようもないことの詮索はなしだ。いずれ、枢流のほうから言ってくれるのを待とう。
そうすべきだと思えば、あの奴隷は、自分にはきっと素直に、過去の話を聞かせてくれるだろう。
シャワーの水音が断続的に響く。
沙羅衣は、体の奥底に打ち込まれた肉の杭の感触を思い出していた。
いや、もう二度と忘れられそうになかった。
(少しばかりしゃくだが、君の言ったとおりだな。おれの体は……もう、枢流を忘れられない)
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