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第39話 君の唇でずっとこうしてほしかった

 ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ…… 「あ……あああ……」  声など出したくない、出してはいけない、と思っているのに、沙羅衣の口からは勝手にあえぎがこぼれていく。 「そろそろいいかな。……じゃあ、もらうぞ」 堅信が、スカートの中に手を入れ、ワンピースと同じ色のパンツを脱ぎ捨てた。そして沙羅衣の体の上を移動し、腰と腰が重なる位置にくる。  浮かせていた堅信の腰が、徐々に下ろされていった。  そしてついに、沙羅衣の先端が、堅信の後ろの門にぴたりと当てられた。 「んッ……」と、さすがに堅信も声を上げた。「はは、大きいなっ……入ったら無理に動くなよ……おれが、壊れちまう……」 「だ、だめだ……やめろ……!」 「いくぜ……貴様の童貞は、おれのものだ……」 「やめ……ろォ……ッ!」 「どうしてだ? 貴様はも、枢流に同姓妊娠させたいのか? そうでないなら、抗う理由はなかろう」 「妊娠は、枢流が自分で決めることだ。それが本当に枢流に必要なら、その選択肢をおれたちが勝手に排除するわけにはいかない!」 「後ろ向きな、不幸が目に見えた妊娠でもか!」 「今はそうとしか思えなくても、明日には別の可能性が生まれうる! 彼を大切に思うなら、枢流の見ていないところで、気持ちをないがしろにするようなことをするんじゃない!」 「こ、の……」 「それに今のこの行為は、おれの同意すら得ていないだろう!」 「まったくだ。それじゃ強姦だよ、堅信」  その声に、沙羅衣と堅信は同時にドアのほうを振り返った。  そこに、制服姿の祠堂枢流が立っていた。  沙羅衣が 「なっ!? く、枢流ッ!?」  と叫び、続いて堅信も 「どうしてここに?」  と叫ぶ。 「君たちが連れ立ってどこかに行ったっていうから、堅信が好きそうなホテルを探した。君、あんまり安普請なところ嫌いなはずだから。それっぽいところが見つかったので、従業員の人に、この二人男性ですよって言ったら、ここも開けてくれた。堅信、女性だと思われたんだね」 「……やるじゃねえか、相変わらず」 「堅信。ぼくの答えは同じだ。君の許嫁にはならないし、君と特別な関係になることもない」 「は。えらく嫌われたもんだな。おれとじゃ、子供を作る気には永遠にならないってか?」 「作らないといったのは君だろう」 「おれの気持ちとお前の気持ちは別物だろ。……寂しいもんだな、思ったより」 「そうだね。……いや、今は、前よりももう少し、君で同性妊娠をしない理由が増えた」 「なんだよ、それ」 「純粋に、君のためにならないと思った。それに、この人とならという人と出会った。だからだ」  枢流は、つかつかとベッドに歩み寄った。 「枢流……みっともないところを、見せてしまったな」 「ふふ、本当ですね。今、着せてあげます」 枢流は、沙羅衣の下半身に下着とズボンをはかせると、堅信を見やる。 「堅信。中途半端な状態で君の前から消えたのは、悪かった。でも、君とはもう、これっきりにしたい」 「なんだ、それも『君のためにならない』からかよ?」 「そうだ」 「……それは、ご親切にどうも……うっ」  堅信のうめき声に、沙羅衣は、何事かと目をやる。  どうやら、パンツのないスカートの下で、勃起した先端がスカートの裏地にこすれたせいのようだった。  スカートの前がうずたかくつっぱってしまっている。あれでは、身じろぎしただけで、敏感な先端が絶え間なく刺激されてしまうだろう。 「……皇先輩。少しだけ、向こうを向いていてもらえますか」 「……分かった」  相変わらず体はしびれていたが、沙羅衣は寝返りを打って二人に背を向ける。 「堅信。今度は、最後の思い出をあげる。それで、これっきりだ」 「……枢流……」  堅信が小さくうなずき、ベッドの上で膝立ちになって、スカートをまくり上げた。  先ほどの沙羅衣に負けないくらいに勃起したペニスがあらわになる。  四つん這いになった枢流が、それを一息にくわえた。  ずちゅっ…… 「ううっ!」  それから、湿った水音と、堅信の喘ぎ声が、沙羅衣の耳に届き続けた。 「ああ、枢流ッ……! そうして、そうして欲しかった! ずっと、こうしてほしくて……あああああッ」  ぐち、ぐち、しるるるるっ・・・・・・・ 「枢流! あ、全部、全部……すごい、喉の奥で……そんな……こんな、こんなの、……ああ!」  沙羅衣は、聞いているだけでも、瞬く間に検診が追い詰められていっているのが分かった。  検診の声に、すすり泣くような、涙声のような響きが混じっていく。 「枢流……そんなに、尽くされたら……おれ……おれ……!」  終わりのときは、すぐにきた。  膝立ちもできなくなった検診があおむけでベッドに倒れこみ、その間も枢流は唇を離さずに、一気に攻勢を強める。 「ああ! いく! 枢流、いくううううッ! ああ!」  張り詰めた声は、そこで止まった。  ただびくんびくんというけいれんの気配が、ベッドのスプリングを通じて沙羅衣にも伝わってきた。

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