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第5話
キーンコーンカーンコーン
またもや、チャイムがなる。
俺は、楽しすぎて時間を忘れ、放課後になっていた。
「夏芽。帰るか。」
「まって、!2人どっち方面?」
急に、冬弥が走って言ってきた。
「えっと、屋形原(やかた)駅の方だよ。」
「えっ、奇遇!俺も一緒!一緒に帰ろ!」
「うん。いいよ。」
こうして、俺たちは3人ならんで、駅へと向かっていった。俺はいつものように道でコーラを買って飲んだ。
「辰巳。その買いぐせやめろって言っただろ?」
「べつにいいじゃん。1日2本しか飲んでないし。」
「2本も飲むな。体に悪い」
「えー!なんか、夏芽くんは、辰巳のお母さんみたいだね!」
ほんとにそうだよ。もう俺も高二なのに、こんなにお世話を焼かれて。
「ああ。俺は、辰巳の親代わりだ。」
「え?」
ちょ、それ言う?冬弥もジョーダンで言ったつもりだろ。
「てことは、2人は、家隣同士とか?」
「ああ。そう……」
「ちがう。俺らは一緒に住んでる。」
「え?そうなんだ!!!すごい!じゃあ、引っ越したのは、偶然じゃないんだね!」
「ああ。」
「すごーい!」
え…そこまで言う、、!?
いいじゃん。隣同士ってことにしとけば。
バイバイー!と、大きな声で言い、ようやく冬弥と離れた。
しかし、離れてもなお、夏芽の顔は薄暗いままだった。
「どうしたんだよ」
「…」
「おい。聞いてる?」
「ああ。聞こえてるよ。」
話しかけても適当な返事が返ってくる。
「冬弥のことか?」
「…家で話そうな」
やはり、何かを怒っているらしい。
いい子なのに、買い被ってたとか?いや、あの子はなさそう
そんなことを考えている間に家に着いてしまった。
「夏芽…さっきはど…」
バシンっ
そんな鈍い音が家中に響く
「え…なに?」
「あー、穴空いちゃったみたい?」
えっと…俺何かしたか?
どうして急に壁を殴って穴を開けるんだ…
そう言いたいが、いったら怒られそうな雰囲気だから俺は言わない。
「夏芽…??」
しかしその代わりにただ、一言、沈黙になるのは嫌だったから、名前だけを呼んだ。
「はぁ…なに茶化してるの?なに、学校行けてちょっとモテて調子乗ってるの?愛想振りまいて、山之内って子も、どうして下の名前で呼ぶの?2人きりにならないでとも言ったよね?俺がもし、学校探検のとき行かないって言ったら、2人きりになってたんだよ?分かってる?」
はぁ?こいつ嫉妬してるのか?
「訳わかんねぇ。2人きりにならなかったんだし、結果オーライだろ?」
「なら、俺が行かないって言ってたら諦めてたのか?俺が、山之内のこと下の名前で呼ぶなって言ったら、呼ばないのか?」
「いや、そうじゃなくて。」
「ほら、おいで。部屋いくよ。」
そう言って、夏芽は、乱暴に俺の腕を掴んだ。
俺は尽かさず反抗した。
「やめろよ!」
バシッ 俺が振りほどいた音が響く。
「反抗した態度をして。それもあいつにあったからか?が学校に行ったからか?」
「何言ってんだよ?お前頭おかしいぞ。」
独占欲か?束縛か?
「お前…正気に戻れ。静岡のときだって、俺はこんな感じだっただろ?」
「違う。静岡と神奈川じゃ、全然違う。親父さんは居ない…!!俺が…俺が辰巳を守らなきゃ。おいで。辰巳…躾治してあげるから。」
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