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第6話
「っ…!ふざけんな!俺を子供みたいに言って、親父がいないから違う?なんだそのふざけた理由は。俺を束縛してそんなに楽しいか?俺の人生を奪って楽しいか?所詮お前も親父と一緒なんだな。」
俺は、そう言って、自室にこもった。
「辰巳…!こっちに来い。」
そんな、夏芽の声がしたが俺はスルーした。
なんだよ。結局夏芽も親父と一緒だ。俺は1人だと何も出来ないやつだと思ってやがる。
いつもこうだ、俺の人生は上手くいかない。
多分生まれた時から時が止まっていたのだろう。
ドンドンドンドンドン
「おい。開けろ」
今までに聞いたことがないくらい冷たい夏芽の声が響く
俺は必死にドアを背中で抑える。俺の部屋は夏芽と一緒だから、狭いから、余計に夏芽の冷たい声が響く。
「っ…!」
体が勝手に震え出す。
その音が聞こえたのか、夏芽は、大きく息を吸い、
「ゆっくり話し合おう。さっきは俺も冷静じゃなかった。出ておいで。」
と言った。
これ以上ことを大きくしたくないのと、もう抑えておく気力がなかったから、俺は大人しく部屋から出た。
部屋を出ると、再びリビングに招かれ、俺は言われるがままに行く。
そして、夏芽は手っ取り早くコーヒーを入れ、俺の前に置いた。
いつもより薄い。そんなことを考えていた。
「辰巳。ごめんね。俺も冷静じゃなかった。あんなに震えて寒かったろ?」
あー、だからコーヒーなのか。
あの時の震えは夏芽が怖くて震えていたのに。
「…別に」
俺は、冷たくそう言った。
俺は何も悪いことはしていない。
「でも、辰巳も悪いんだよ?俺との約束守るって言いながら、一日目で破ろうとするし」
「あれは、まだ破ってなかっただろ。」
「そうだけど…辰巳は俺のその、恋人なんだから。俺も嫉妬しちゃうんだよ。」
…っ!なんだよ。この、夏芽の顔グッとくる。
「まぁ、今後、俺が本当に破った時以外は、そういう手出しをしないって約束してくれ。」
「…うん。約束するよ。」
夏芽が開けた穴はどうしよう。近所の人にも謝罪しないと。だいぶうるさかっただろう。
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