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prologue-2
片手で莉音のしろい頤を撫でながら、環は勃ちあがった自身の先端を目の前のやわらかなくちびるに当てる。
両腕を後ろ手に縛られている状態の彼は、躊躇うことなく、それを愛らしいちいさなくちに招き入れた。
「ほら、早くしないと誰か来ちゃうかも」
環は楽しそうに囁くと、この庭園の入口であるところの薔薇のアーチを一瞥する。
慎ましやかなこの教会のなかで、唯一悪趣味だと常日頃から不満に思っているそれ。
濃密な薫りの漂うこの薔薇園は、教会の建物から距離があるために、あまり他人が寄り付かない穴場だった。
「っは……、りお、舐めるの上手になったね」
静寂に包まれていたはずの秘密の花園に、卑猥な水音が響く。
そして、重なるように唸っているのは、この場には不釣り合いな機械音。
まるで蜂の羽音のような、か細いが耳につくモーター音は、莉音の下半身から漏れ伝わってくるものだ。
「それ、気に入った?」
問いかけると、困ったような顔が上目遣いに見上げてくる。
それでも、環のものを慰めることをやめようとはしない。
「あぁ、その顔すっごくえっちだね。やっぱり、りおは眼鏡が良く似合う」
目を伏せた彼の頬を手の甲で撫でると、ぴくりと肩が揺れた。
こんな風にふたりが戯れるようになったのは、出逢って半年ほど経った頃から。
最初は軽く拘束するところから始まった行為は、だんだんとエスカレートして今に至っている。
目尻に涙を浮かべながら、環を満足させようと舌を操る莉音。仔猫のようにいたいけなその様子が、欲を煽るばかりで。
「今日のはちょっと大きめだけど、すぐに慣れるよね」
環の脚のあいだにしゃがみ込んだ莉音の秘所は、グロテスクな造形の玩具を咥えこんで悦んでいるはずだった。
与えられる機械的な振動に、彼の腰がゆらゆらと誘惑するように揺れる。
環のものがびくびくと息づいて、やがて駆け上がる感覚がやってきた。
「もう、イきそう……っ!」
その瞬間、絡みついていたあたたかな感触が離れ、環は莉音の顔に向けて精を放つ。
濡羽色の髪に散る白。
眼鏡のレンズにもべったりと張り付いたそれは、莉音の上気した肌にまとわりついて離れない。
「やば、りおめちゃくちゃいやらしい顔してる。たまんない……」
芳香のなかに混じる雄の匂いが、辺り一面の空間を淫靡なものへと変えていく。
環は莉音の二の腕を掴むと、花壇のふちに座る自分のうえに導いた。
「あっ、わた、る……もう、これ抜いて」
手を拘束されたままではどうすることもできず、体内に入れられた異物の不快感に莉音は身を捩りながら耐えている。
白濁に塗れ、涙目で訴えてくる姿。
それは嗜虐心を刺激こそすれ、この遊びを止められる効果はまるでなかった。
「そうだなぁ。一回、おもちゃだけでイってみて?」
にっこりと笑う環に、莉音は身体を震わせながらちいさく首を振る。
「やっ、これ、きもちわるい……」
「えー、せっかくりおのために選んだのに。ひどい」
膝のうえの身体をわざと揺すると、莉音は胸をのけぞらせて反応を示す。
「あれぇ、すごく気持ち良さそうに見えるんだけどな〜」
「あ、あっ……やだぁ、これでイくの、」
ぽろぽろと涙を零しながら必死で快感に抗う様子に愛しさが込み上げ、環はやわらかな笑みを浮かべながら優しくキスをした。
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