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act.1-2 Ver.Haruka
環に連れられて教会まで来た悠は、礼拝堂でオルガンを演奏している莉音の姿を見て驚いた。
あの例の画像や環の意味有りげな発言から、もっと遊んでいる感じの人物をイメージしていたからだ。
「はじめまして。宗宮 莉音です」
艷やかで落ち着いた声に、悠はなぜかどきどきしてしまった。
生成りのシャツに焦げ茶いろのパンツを合わせたシンプルな服装が、漆黒の髪と陶器のような肌を引き立て、柔らかな印象を与えている。
眼鏡の奥の瞳は、ステンドグラスから射し込む光を受けて穏やかに揺れていた。
「ね、言った通りでしょ」
思わずこくりと頷いてしまい、悠はなんだか不思議な気持ちになった。
清楚な雰囲気のそのひとは、環と並ぶとますます華奢で可愛らしい感じになる。
「でも、好きになっちゃダメだよ? りおはオレのだから!」
その言葉に恥ずかしそうに俯く莉音の姿を、環は呆れるくらいに蕩けた顔で見つめていた。
***
狂ったように薔薇が咲き乱れる中、閉じ込められた香気が全身を覆う。
耳に届く湿り気を帯びた音と、ざわざわと胸をかき乱すあまい声。
視覚、嗅覚、聴覚――それらが渾然一体となって、悠の思考を侵してゆく。
目の前で繰り広げられるとても現実とは思えない光景を前に、彼は絶句してその場に立ちすくむしかなかった。
「ほら、りお。綺麗な顔、もっとちゃんと見せてあげないと」
にこにこと笑顔を絶やさずに話しかける環の膝のうえには、シャツだけを羽織った莉音の姿。
おおきく開かれた両脚のあいだで勃ちあがったものを、環の手が先程からゆるゆると扱いていた。
「あ、あぁっ……! わたる、も、イキたいっ……」
熱に浮かされたように喘ぐ顔は、もう視点が定まらないほどとろとろに溶かされている。
咲き誇る真っ赤な薔薇の園に、惜しげもなく晒された白磁の肌が映えて。
そのあまりにも妖艶な肢体は、この世のものではないようにさえ感じられた。
「りお、いつもより気持ち良さそう。見られてると感じちゃうの?」
ふるふると首を振る様子に、環は「可愛い」と言いながら手の動きを激しくしていく。
「だめぇっ、でちゃうっ……!」
がくがくと身体を震わせながら莉音が射精する。
他人が達する瞬間を初めて見た悠は、その背徳感に興奮してしまっていることを自覚せざるを得なかった。
「はるか、見た? イクときのりお、すごくいやらしくて綺麗でしょ」
そう言うと、環は白濁に塗れた自分の手を莉音の口元に持っていく。
呆けたように脱力したまま、紅い舌だけを器用に動かして丁寧に指を舐める様は、エロティックだけれどもどこか愛らしさを感じさせた。
ごくり、と生唾を飲み込む音がして、それが自分が発したものだと認識したときには、悠の下半身は痛いほどに張り詰めていた。
どうすることもできずに環の方を見ると、そこにはいまにも泣きそうな顔で、莉音の身体を抱きしめている姿があったのだった。
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