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act.11-2 Ver.Wataru

 木製のベンチに横たわった莉音の姿は、奇跡のようにうつくしかった。  白桃いろの肌に、ステンドグラスから降り注ぐ色鮮やかな装飾が散らばっている。  そのひとつひとつを慈しむように、丁寧なくちづけで辿ってゆく。 「りお、ほんとうに綺麗……」  乱暴に触れたら壊れてしまいそうな気がして、そっとなめらかな身体に指をすべらせた。  ぎゅっと目を閉じたままの顔と、小刻みに震える身体。  与えられる優しい感触に耐えている姿に、普段なら芽生えるはずの感情。それは、すべて愛おしさに上書きされていった。 「ごめんね。オレ、もう嫌だって言われても止められる自信ない」 「そんなこと……言うわけ、ないだろ」  囁かれる低音は、これ以上ないくらいのやわらかさとあまさで環の鼓膜をくすぐる。  そっと昂りに触れると、莉音の身体が軽く跳ねた。 「りお、一回、一緒にイってもいい?」 「もう……いちいち聞くなって、」  あまやかな吐息と共に、しろい指が環のものに絡まる。そのまま、お互いを擦り付け合うように両手で包み込んだ。 「あ、これっ、すごく気持ち良いよっ」 「んっ……おれも、すぐイっちゃいそ……」  ぐちゅぐちゅといやらしい水音が壁に反響する。  気持ちよさそうに喘ぐ姿に、理性なんてものはどこか彼方へと吹っ飛んでいった。 「りお、可愛い。大好き。もっと、その顔見せて」  はあ、と切なげな声をあげた莉音のくちびるから、紅い舌がのぞく。蠢く様があまりにもいやらしくて、環は視界から隠すようにそれを喰むと、そのまま深く口付ける。  釣られるように手の動きが激しくなり、どくどくと脈打つ感覚が全身を支配していった。 「だ、めっ、もう……!」  腰を浮かせた莉音は、しなやかに背中を反らせて達した。寸分違わぬタイミングで環も精を放つ。 「やば、りおがエロすぎてぜんぜん萎えない」  思わず口にしたセリフに、とろんと溶けた瞳がふにゃりと笑みを象る。 「そのまま、はやく……おまえが欲しい」  ふわふわのあまったるい表情をしているくせに、飛び出した言葉はとんでもない破壊力で環の欲を刺激してくるのだからたまらない。 「ほんと、知らないよ? 泣いても止めてあげないから」  いいよ、とちいさく呟くと、莉音は膝を曲げておおきく両脚を開く。誘われるように顔を近付け、ひくひくと待ちかねている場所に舌を伸ばした。 「やっ、そんなこと、しなくていいから……っ、」 「でも、傷になったら大変だし」  言いながら指を差し入れると、それだけでびくびくと脚を痙攣させる。やわらかく絡みつく感触が、なによりも雄弁に自分を欲している、と感じさせた。

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